特別なRB10

昭和の東武バス野田の思い出や東京北東部周辺の乗りバスの記録等。小学生時代に野田市内バス全線走破。東武系・京成系を特に好む

懐かしい運賃表示器の思い出

2018年07月01日 22時43分28秒 | 旅行
拝啓皆さまいかがバスにお乗りでしょうか。







こんにち運賃表示器というとWINDOWSをOSとし、運賃や停留所の一覧のみならず「次とまります」だの「扉が立つまで座ってお待ちを」といった啓発PR画面までもが綺麗なフルカラーLCDに映し出されるほどに発達していますね。




わたくしが路線バスに熱狂していた昭和56、57年頃、ワンマン化完了して間もない野田のバスたちの運賃表示器といえば、金属製筐体の中を運賃と停留所名がプリントされた透光フィルムが回って太陽光か方向幕照射用の直管蛍光灯を光源として車内に運賃額を照らす幕式のものでした。
それ以外の方式、当時だと三角表か紙式でしょうがそのようなバスに野田市内で出くわしたことは一度もありません。

幕式運賃表示器の外貌や挙動についてはyoutube等でいろいろ見れますので、ここでは表示器そのものではなく野田市駅の東武バスの幕式運賃表示器が表示していた事柄について2,3思い出話をしたいと思います。



今ここに枠がいびつでざっくり下手くそな野田市駅を出た直後の表示器の復元画を描いてみました。
その筐体はメーカーがどこか知りませんが水色とも緑ともつかない塗装がなされていました。
柏駅でも茨城境でもあるいは越谷でも岩槻でも乗ったバスはみな全く野田と同じ色そして同じサイズのものをつけていました。
均一運賃制の柏01 豊四季台団地循環もこれでした。
なので、この表示器は地球上のあらゆる路線バスに実装されているのだ、と思いました。

「まで」という欄には運賃区界停留所だけが書かれています。
すると区界でも何でもない中間の停留所を目指す人には現地到着まで料金がさっぱりわからないわけです。
普通の人には大変困ったやり方ですが、マニアにとってはテープアナウンスが教える途中停留所の名前を是が非でも覚えようという気にさせるのでモチベーション維持に大変役立つものでした。
わたくしが停留所名にうるさい人間になったのはこの体験からであろう、と思います。

運賃区界停留所しか表示されていないとなると次に停まる停留所の名を知るにはどうしたらよいか。
それは、前停留所を過ぎた後にたった1度しか流れない「次ハ・・・デゴザイマス」というテープアナウンスを注意深く待つより他ありません。
聞き逃したらお陀仏です。
車内に掲出された路線図を見る、という策もありますが路線図は運転士席すぐ後ろの席、たまに『第2オタク席』とも呼ばれる席の目の前のボードのただ一か所にのみ掲示されているのが普通で、
路線図を見ることができるのはその席に座っている人もしくは当該席すぐそばでつり革・手すりに掴まっている立客のみに許された特権でした。

昭和56年春頃だとそこにはカバ園長の笑顔が大きく描かれた開園間もない東武動物公園のポスターに差し替わっていることがあり、
肝心の路線図は「こんなとこ見る人誰もいないだろう」とツッコミたくなる車内後方の窓上部に移っていたことがあります。
バスに乗っていそいそ席に座ったら目の前にカバ園長しかいないので「しまった、ハズレのバスに乗っちゃった」と思い、初乗運賃で済む愛宕駅でさっさと降りて電車で野田市駅に戻ったことがあります。
 

区界停留所の文字の上には丸数字が付いています。
これは整理券番号のことではなく運賃区界の第1区第2区ということを表していてなかなか紛らわしいのですが、
当時わたくしの乗ったバスは全てこういう表記をしておりました。
乗務開始時に幕をセットするとき誤って違う区界を最初にもってこないよう目印にしていたのかな、と思います。

区界停留所として愛宕駅と愛宕神社の2つ並んで書かれています。愛宕駅の次が愛宕神社なのですが、これではどちらが区界かわかりません。
これは野05&野06、野田市駅~大利根温泉線にだけ見られた不思議な幕で、同じルートを通る他の系統では一切見かけないものでした。その理由は今もってわかりません。
他系統では「愛宕駅」だけしか書かれていませんでした。





一行にまとめると文字が潰れて読みにくくなりそうな長い停留所名の場合2行にわけますが、綺麗にインデントをとって表記していました。
「大利根温泉」はバス停柱にも方向幕にも大利根温泉としか書いていませんでしたが、音声テープがそう言ってたのと同じく「大利根温泉チサンセンター」と長々しい名前で書かれていました。
なおチサンなる企業はとっくの昔に清算されて大利根温泉から姿を消していますが、当地を走る東武バスイーストはいまだにチサンセンターと言っていますね。






野田市駅からは境営業所の路線もありました。
境は運賃区間数の多い路線を持っていたので4行にわたっていて、野田よりも遥かに大きい整理券番号まで表示していました。
一行目は11か12のどちらかまでありましたが、とりあえず12で描いてみました。
トータルで50を超えてしまいましたが、40いくつまでだったかも知れません。

「火の見下」というのは今はなき境車庫~野田市駅線にあった停留所でわたくしが川間在の祖母にバス代兼ガンプラ購入費をせびりに行くのに乗降した停留所です。
マス1つ1つが野田よりも遥かに小さくてその分数字もフォントが小さくされてはいましたが、百の位の「1」が固定枠に隠れて見えない時もありました。



終バスだと運賃表示器までもが赤々と照らされました。

また、例えば方向幕を柏14柏駅西口から柏03野田市駅に変えているときには運賃表示器の幕も柏14用の「⑪ 柏駅西口」から柏03用の「① 警察署前」が出るまで運転士さんがポチポチとコンパネのボタンを押して延々回し続けるのです。
そのときの表示器の映り変わりはもはや様式美の感があり時を経つのを忘れてしげしげ眺めていたものです。
大人が見て面白いのですから当時小学生の子供だったわたくしに面白くないわけがないのです。





以前このブログのどこかで高校生になって久しぶりに柏駅からバスに乗ったら、フィジカルな運動を伴わないただのデジタル数字になっていてガックリした、というようなことをお話ししたと思います。

もう十年以上前、日経新聞の「私の履歴書」見ていたら、会社名も名前も忘れましたが、「車掌さんに惚れて電車ではなくバス通勤していたらワンマン化された。車掌さんはクビになったと聞いてバス会社に抗議した」というエピソードがあって、対象物は全く異なりますが、運賃表示器が幕式でなくなったのを知ったときの自分と似ているな、と思いました。

車掌さんもあの運賃表示器も見ることができなくなってしまいましたが、クルリンクルリンと方向幕を回していた野田市駅頭のバスの姿とともに今なおわたくしの脳内にはあたかも昨日乗ったバスで見た光景のように残っているのです。


2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして! (よこちゃん)
2018-07-11 21:49:30
当方、北陸地方を拠点に撮りバスを楽しんでいる、よこちゃんといいます。
いつもこのサイトを楽しく拝見しています。
さて、誠に勝手なが、当方のブログ、「よこちゃんのバス写真館」に、「特別なRB10」さんのサイトのリンクを貼らせて頂きました。
当方のブログにも、是非一度お立ち寄り下さい。
また、これからもどうぞ宜しくお願い致します。
返信する
ありがとうございます (surrender90)
2018-07-14 00:23:50
よこちゃん様。リンクをいただきましてありがとうございます。ただちにブログを拝見いたしまして、ツキダ観光のトヨタ・コースターでしょうか、その素朴なたたずまいに妙に心惹かれるところがありました。今後も味わい深い写真をアップされますよう切に願いましてこのたびのご挨拶に代えさせていただきたいと思います。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。