介護の仕事を辞めることを決めたとはいえ、次に何をやるかは決めてなかった。
次の就職先が決まっていないのに辞めてしまったのだ。
なんて短絡的だったんだと自分で思う。30歳も過ぎていたのに。
福祉関係以外の仕事を探したが、なかなか自分にできそうなのは見つからなかった。
1カ月位探したと思う。
だんだん「何の資格もないし新聞配達くらいしか自分はできるのはないのかな」と思うようになった。
1社面接を受けたが落ち、2社目で採用が決まった。
早速働かせてもらうことになった。
使用する新聞配達のバイクは、1台目は自分と会社で半々お金を出して買ったが
2台目からは自分で買わないといけなかった。
入社したとこは小さい会社で、持っている部数も区域では一番少なかった。
自分の配る件数も少ないので新聞配達の仕事にしては給料は少なかったと思う。
そのかわりノルマも厳しくなく、みんな他にアルバイトをしたりして適当にやっていた。
朝刊は2時半に配達する新聞を乗せたトラックが来るので、それまでに出社する。
朝刊を配り終えそのまま帰宅し寝て、今度は夕刊の配達のため3時頃出ていく。
単調な毎日で1カ月くらいすると仕事に慣れた。
1年ほどしたころ空しさを感じるようになった。
ただ金を得ているだけで、自分のためにはならないと思うようになった。
ただなにもなかったわけではなく、こんな未熟な自分と話してくれるお客さんがいたし、
他にも色々学ぶことはあった。
いや、だからこそ自分で何かしようと思ったのかもしれないな。
お客さんと話しているうちに自分の中で自己肯定感が上がったのかもしれない。
ある日ふと、何か資格でもとってみようと思った。