5月17日と18日の両日、神戸ポートアイランド国際会議場で、日本刑法学会が開催された。第一目の午後は、三つの分科会が開かれた。第一分科会は「自由と安全と刑法」、第二分科会は「裁判員制度実施に向けた課題と展望」、第三分科会は「刑務所への民間参入の意義と課題」である。
私は、第一分科会に出席し、立命館大学の松宮孝明氏の「組織犯罪対策に見る『自由と安全と刑法』-共謀罪立法問題を含む-」という報告に対し、質問表も提出した。ここでは、その際に言わんとしたことを記しておく。
1.共謀罪の立法提案は、跨国組織犯罪条約の批准を唯一の根拠としていた。これについては、法制審議会刑事法部会の審議の際に、「共謀罪については、国内的には立法事実は存在しない」といい、法務省当局が認めていたことである。ところが、衆議院法務委員会での審議が始まると、与党の議員やその立法化に賛成する者たちから、「組織犯罪対策としての必要性」が主張されるようになった。つまり、暴力団対策としては必要であるというのである。しかし、これについては、条約が必要とする「跨国性」の要件が欠落している。先ほどの報告及び質問に対する回答で、報告者は、「犯罪組織については跨国性は要件とされず、犯罪が跨国的であればよい」と述べたように、今日の報告も、組織犯罪対策としての考え方が強く主張されており、もう少し、「跨国性」にも触れたほうがよかったのではないだろうか。これは感想です。
ところで、そのように「組織犯罪対策一般」という形に抽象化するのではなく、「跨国組織犯罪条約」として考えた場合、報告者は、「共謀罪の必要性」について、どのように考えているのか。また、それとの関連において、報告者は、立法ガイド51節を引用し、第三の道による解決を主張したように見えるが、現行法の枠内での批准は不可能なのであろうか。報告者の見解を伺いたい。
2.共謀罪が国会に登場してから、既に13回の国会を経過した。このように長期間たなざらしにされる法案も珍しい。国会の構成を考えた場合、与党が強行突破しようと思えば出来たにもかかわらず、それもせずに、たなざらしにされている。
今や、廃案の可能性すら見えてきた。このような現状において、この学会の会員でもある人たちが法制審刑事法部会の委員又は幹事として立法作業にかかわっていた。その人たちは、すべて、法務省にべったりであり、イエスマンであった。しかし、社会の力は、その立法を許さず、現在に至っている。自己の信念を捨て、法務省べったりの答申をした人たちの責任は大きいと思うが、報告者は、どのように考えているか。
3.先日、革労協主流派に属するもの7人に対し、福岡県警は、組織的犯罪処罰法を適用し、組織的詐欺罪で逮捕した。このように新左翼系党派に対する同法の適用について、報告者はどのように考えているか。
私は、第一分科会に出席し、立命館大学の松宮孝明氏の「組織犯罪対策に見る『自由と安全と刑法』-共謀罪立法問題を含む-」という報告に対し、質問表も提出した。ここでは、その際に言わんとしたことを記しておく。
1.共謀罪の立法提案は、跨国組織犯罪条約の批准を唯一の根拠としていた。これについては、法制審議会刑事法部会の審議の際に、「共謀罪については、国内的には立法事実は存在しない」といい、法務省当局が認めていたことである。ところが、衆議院法務委員会での審議が始まると、与党の議員やその立法化に賛成する者たちから、「組織犯罪対策としての必要性」が主張されるようになった。つまり、暴力団対策としては必要であるというのである。しかし、これについては、条約が必要とする「跨国性」の要件が欠落している。先ほどの報告及び質問に対する回答で、報告者は、「犯罪組織については跨国性は要件とされず、犯罪が跨国的であればよい」と述べたように、今日の報告も、組織犯罪対策としての考え方が強く主張されており、もう少し、「跨国性」にも触れたほうがよかったのではないだろうか。これは感想です。
ところで、そのように「組織犯罪対策一般」という形に抽象化するのではなく、「跨国組織犯罪条約」として考えた場合、報告者は、「共謀罪の必要性」について、どのように考えているのか。また、それとの関連において、報告者は、立法ガイド51節を引用し、第三の道による解決を主張したように見えるが、現行法の枠内での批准は不可能なのであろうか。報告者の見解を伺いたい。
2.共謀罪が国会に登場してから、既に13回の国会を経過した。このように長期間たなざらしにされる法案も珍しい。国会の構成を考えた場合、与党が強行突破しようと思えば出来たにもかかわらず、それもせずに、たなざらしにされている。
今や、廃案の可能性すら見えてきた。このような現状において、この学会の会員でもある人たちが法制審刑事法部会の委員又は幹事として立法作業にかかわっていた。その人たちは、すべて、法務省にべったりであり、イエスマンであった。しかし、社会の力は、その立法を許さず、現在に至っている。自己の信念を捨て、法務省べったりの答申をした人たちの責任は大きいと思うが、報告者は、どのように考えているか。
3.先日、革労協主流派に属するもの7人に対し、福岡県警は、組織的犯罪処罰法を適用し、組織的詐欺罪で逮捕した。このように新左翼系党派に対する同法の適用について、報告者はどのように考えているか。