9月8日、衆議院議院運営委員会で閉会中審査が行われた。テーマは、もちろん安倍国葬である。岸田首相は、法的根拠のないことを認めたが、行政府の責任で「国の儀式」を行うことができると強調した。その根拠としたのが、内閣府設置法である。
たしかに、内閣府設置法には、所掌事務を定めた第4条第3項第33号に「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)」との規定がある。
そこで、根拠として挙げられている内閣府設置法第4条第3項第33号「国の儀式」が国葬実施の根拠となるのであろうか。
まず第四条第三項は、「前二項に定めるもののほか、内閣府は、前条第二項の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。」と規定し、無条件に国の儀式を内閣府の事務としているわけではない。その本文を受け、三十三号で「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)。」と規定され、これを根拠としているようだ。
その前提である第二条第二項の任務とはどのようなものなの手あろうか。すなわち、次のように規定されている。
第三条 内閣府は、内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とする。
2 前項に定めるもののほか、内閣府は、皇室、栄典及び公式制度に関する事務その他の国として行うべき事務の適切な遂行、男女共同参画社会の形成の促進、市民活動の促進、沖縄の振興及び開発、北方領土問題の解決の促進、災害からの国民の保護、事業者間の公正かつ自由な競争の促進、国の治安の確保、個人情報の適正な取扱いの確保、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保、金融の適切な機能の確保、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けた施策の推進、政府の施策の実施を支援するための基盤の整備並びに経済その他の広範な分野に関係する施策に関する政府全体の見地からの関係行政機関の連携の確保を図るとともに、内閣総理大臣が政府全体の見地から管理することがふさわしい行政事務の円滑な遂行を図ることを任務とする。
このうち、「男女共同参画社会の形成の促進」以降の事務については、「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること」とは無関係である。したがって、可能なものは、最初に規定されている「皇室、栄典及び公式制度に関する事務その他の国として行うべき事務の適切な遂行」であろう。国葬が、「皇室、栄典及び公式制度に関する事務」に該当しないことは明白である。そこで、残りは、「その他の国として行うべき事務の適切な遂行」に該当するか否かである。
法律に規定がなく、根拠のない国葬が「国として行うべき事務」に該当するのであろうか。「国として行うべき事務」には、法令の根拠がなければならない。それは、国としての義務なのであるから、当然である。
国葬は、国が行わなければならない事務ではない。
そのように考えれば、内閣府設置法第4条第3項第33号を根拠に国葬を実施することはできず、そのための予算支出は違法であることは明白である。
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