社会の鑑

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安倍晋三元首相は、国のために、特別に目立った業績を上げたのか?

2022-07-30 09:55:30 | ノンジャンル

安倍晋三元首相は、国のために、特別に目立った業績を上げたのか?国家ニ偉勳アル者」に該当するのか―

 すでに述べたように、国葬令は失効し、それに代わるものは存在しない。いくら岸田首相が強弁しようが、安倍国葬についての法的根拠はなく、そのための予算支出は違法そのものである。

 翻って、安倍元首相は、戦前の国葬令で規定されていた民間人が国葬の対象とされるべき要件「国家ニ偉勳アル者」に該当するのであろうか。これは、国家に立派な業績を残したものを意味している。

 東京新聞は安倍政権の緊急検証を行い、安倍元首相が退陣した直後の2020年8月30日から8回にわたり、<一強の果てに 安倍政権の7年8カ月>を掲載した。

 その内容は、次のようなものである。

第1回 世論を顧みず、敵と味方に分断 「安倍カラー」政策を押し通す

第2回 株価重視、生活上向かず 実質賃金低下、年収200万円以下増

第3回 コロナ下でも改憲に執念 「立憲主義に逆行」支持得られず

第4回 変えて隠して疑惑逃れ モリカケ桜の記録はどこへ

第5回 米兵器を大量購入 対米追従で膨らむ負担

第6回 原発寿命延長が前提 再生エネには後ろ向き

第7回 人事掌握、忖度広がる 文書改ざん・検事長定年延長

第8回 道徳の教科化、歴史教科書の検定で「教育に介入」 現場と溝

 安倍政権が行ったことを紐解いてみると、①モリ・カケ問題、②桜問題、③安保法制の整備=戦争への道を開き、自衛隊の海外展開を可能にした、④嘘をついてでも成立させた共謀罪法、⑤人事案件を掌握することによる官僚支配、⑥多くの事務を内閣府の所管事務に組み込み、強大な権力機構を誕生させた、⑦国民の意向を無視した外交の展開、⑧新自由主義政策を具体化したアベノミクスの導入による貧富の格差の拡大、➈朝鮮民主主義共和国の飛翔体発射を受けたJ-Alertの発信等々、キリがない。

 これらは国民のために役に立ったのであろうか。保守陣営からはよくやったと推奨されるかもしれないが、国民は冷めた目で見ていたのであろう。

 敵を作り、あおり、危機を造成する政策だ。その政策にだまされ、沈黙してしまった自公政権を支持する人々。人事統制により、異議を唱えられなかった自民党の議員諸氏。

 このように見てくると、安倍政権は国民のための政治を行わず、保守陣営のための政治を行っていたのだ。これが「立派な業績」といえるのであろうか。答えは、NOである。

 これに対し、海外での積極的評価も紹介されている。「安倍政権の実績と評価」―注目すべき海外メディアの日本報道―(2020年9月11日、公益財団法人フォーリン・プレスセンター)は、次のよう報じていた。

 各国主要メディアは、安倍首相の突然の辞任表明を大きく速報した後で、7年半にわたる長期政権を率いてきた「安倍首相の遺産」について、論説・分析記事を掲載した。一部には首相が果たせなかった公約について厳しい見方もあるものの、総じて欧米メディアは、安倍政権の経済、外交、防衛政策等を高く評価する論調が見られた。

【米国】 

The Washington Post「安倍首相が辞任。安倍氏はいかに日本の政治を改革したか」(9月3日付) 

The New York Times「安倍首相の後任にかかっていること」(9月2日付)と題する社説を掲載。

The Wall Street Journal「世界が内向きになる中、安倍首相の日本は外向きに」(9月2日付) 

【英国】
Financial Times「安倍晋三、習近平との苦闘」(8月31日付)

同紙「“日本化”に苦悩する世界にアベノミクスから6つの教訓」(9月1日付)

同紙「安倍首相の後継者は機微な両天秤策を維持しなければならない」(9月6日付)

The Economist「安倍晋三の遺産は、その静かな退任が示唆するよりも印象的だ」(9月3日付社説)

 これらは経済紙であり、経済的側面からの評価に過ぎない。

 安倍政権の評価は歴史が決することであろう。

 このように問題多き人物を国葬の対象にすべきではない。


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