帰り道,T君から後輩に対する指導方法に関して相談を受けた.
その時に上手く言葉にできなかったので,この場を借りて自分の考えを伝えたいと思う.
一番言いたかったことは,「物事の共通点を見つけること」が大事ということ.
まずは,使い古された例えかもしれないが,魚を釣ってあげるのではなく,釣り方を教えることについて.
仮に研究内容を発表する場で,研究の背景が適切に理解できていないようなスライドを後輩が作成してきたとする.
そのときに,この研究はこんな風な考えで取り組んでいるから,この点を修正してね.と指摘することはできる.
でも,これでは魚を釣ってあげているような状態になっていると思うのだ.
そのため指摘しても指摘しても,釣り方が分からないので,指導に時間を費やしている割にはスライドのクオリティーや後輩の能力の向上はあまり期待できないと思う.
ではどうすればよいか.
釣り方を教えるということになる.
研究成果を発表する場における"釣り方"とは「聴いてくれる人に自分の思いが伝わるかどうか」を意識できているかだと思う.(自分も上手くできませんが・・・)
スティーブ・ジョブズの本を引用すると,「一番言いたいこと」を明確にできているか,ということ.
そのゴール(河口)を目指して,上流側からスムーズに話が展開できているか.
いらない情報によって,変な方向に川の水が流れてしまっていないか.
そして,大抵の人はこの辺まででスライドの作成方法に関する指導は終わってしまうのだが,最近はここからが大事だと感じている.
ある魚の(土用の丑の日が近いので鰻だとする)釣り方を教わったとして,それが他の魚の釣り方に適応できないかを考えるのだ.
これが「物事の共通点を見つける」ということ.
スライドや研究発表では「一番言いたいこと(ゴール)を意識する」.
それでは論文執筆(鰻に似ているから,うつぼ?)では・・・
おそらく一緒で,一番言いたいことがアピールできるように論理展開することが大切.
では,実験では?
「どんな研究成果を期待した実験か」,「結果をいつまでに出さなくてはいけないか」を意識すると,今やるべきことが見えてくる.
先生や先輩に物事を相談するときは?
「一番相談したいこと」を明確にしてから話しかけると,相手も答えやすい.
スポーツでは?
「ゴールを意識したプレーをできているか」
目前のことだけではなく未来(ゴール)を予測した行動であれば,失敗したとしても成長する糧となる.
料理では?登山では?お金の管理では?芸術では?家族では?人生では?
色々な魚,もしくは動物?に適応できないか.
その共通点を見つけている人ほど,コツを掴むのが早い.要はセンス,勘が良いということになる.
そして共通点を意識できているほど,知識が数珠繋がりとなり記憶力も上がる.
これが「カンの構造」と「アイデアのつくり方」の2冊を読んで気が付いたこと.
この内容を記事にすること自体が魚を与える行為になっていて,皆さんの成長の機会を奪ってしまっていることになるのですが,最近気が付いたことを共有したい気持ちもあったので,ブログに書きました.
平たく言うと「一を聞いて十を知る」という言葉に,今回のブログで伝えたかった内容が凝縮されているかと思います.
これまでは「一つのことを聞いたら,同じ種類の魚をより多く捕る方法を思い付くこと」がこの言葉の持つ意味だと思っていましたが,真意は「一つの方法を教わったら,他の種類の魚を捕る方法を思い付くこと」だったのかな?と思う今日この頃.
教養がさらに身につけば,同じ魚もいっぱい捕れるようになるかも!?