よこ糸に たて糸二本 針運ぶ
こいという字に 想い縫い付け
「ねえ お母さんも 好きな人いた?」
「どうしたの 急にそんな事聞くなんて」
「んー 、、、、」
「もしかして 好きな人でもいるの?」
「私だけ想ってるから 片想いだけど、、、」
「そうか うーん ずっと昔 学生の時だけどいたわよ
たった二駅の電車の中だったけど」
「話せた?」
「うーん 一度も無かったわ」
「手紙は 渡せた?」
「渡す事も無かったし 貰った記憶もないわ」
「後で解ったことだけど 誰か他の人に間違って手紙を渡したみたい
でもそれ以来 逢う事も無かったから それで終わったの」
「私も 同じかな」
「これからまだまだでしょう」
「大事なのは それも運命と思う事かも
だから 想いを言葉に繋げるのも いい想い出になるからね」
「横糸二本はひらがなの こ
縦糸二本はひらがなの い
恋と言う字を 心に縫い付けたの」
初恋亭夢中