治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

世の中を甘く見ている教師の一例

2009-08-25 09:28:49 | 日記
警告。今日は辛口です。

某県某特別支援学校の教師からアプローチ。
翻訳書を出したいとのこと。

「出してください」という手紙と原書の目次、そして数ページのファクス。
「この本を出して、そして私を翻訳者として使ってください」という手紙。

原文にさっと目を通し、シュレッダーに直行。
原書はつまんない。第一この人とはとうてい仕事上でつきあうことはできない。

だって基本の基本をわかってないんだもん。

基本の基本というのは次の三つ。
1 翻訳にはスキルが必要
2 出版はリスクの伴う実業である
3 自分に仕事をさせてくださいと頼むのは自分に投資してくださいということである

つまり、翻訳者として仕事をしたいのなら
企画書とサンプル原稿くらいつけるのが最低のビジネスマナー&ストラテジーなんですよ。
じゃなきゃ実力がわからない。 実力がわからないものにどうやって投資できると思います? 貴重な時間と労力とお金を。
本を出すっていう事業には、うちみたいな小さい会社だって
車一台買えるくらいのお金が動いているんですけど。

それを理解しているからこそ、今までうちで本を出してくれたASDの著者たちだって
最低限そういうマナー&ストラテジーは守ってくれたんだと思います。
企画書とか、原稿とか送ってきてくれてきたからこそ検討できたし、いくつかは出版にたどりついたでしょ。
自閉っ子でも理解できるそういう基本の基本の社会常識にもたどりつけない教師もいるんだなあ。フシギ。

出版は、たしかに小規模なビジネスです。
でも本物の消費者が本物のお金を払って本を買ってくださって成り立っている実業です。
出版社も時間をかけ、人手をかけ、本を世に送り出すんですよ。もちろん本物のお金(身銭)を投資してね。
それでも売れない本もある。
自信を持って出しても売れない本がある。
結構投機的色彩が強い事業なんですよ。まあビジネスは多かれ少なかれそうですけどね。
もちろん予測はします。でも裏切られることも多いです。

だから最初から、持ち込んでくる人が不熱心な本を出すことなんてとうていできません。
良いと思って出したって、十分な数の読者がそう考えてくれなかったら、その本は赤字に終わるんだから。
本を出したい、っていうことはそういうビジネスに参加しようということ。なのに
実力の証明もなしに、原書を数ページファクスしてきただけで仕事ができるなんて考えは甘すぎるよ、センセイ。

あまりに非常識なので、返事は出しませんでした。
そうしたら後日再度アプローチが。
どうしてもその本を日本で出したくて、著者にメールを送ったんですって。
その前に試訳してみたらどうかな。順番間違ってるよ、センセイ。

その英文メールを見ると
基本的な英文法すら使いこなせていないのが一目瞭然。
受動態と能動態の使い分けもできていない。
前置詞も間違いだらけ。前置詞を間違えるっ人ていうのは、辞書を引く習慣が身についていないっていうこと。要するに語学に関して「地道な努力をしない人」であることがわかっちゃう類のミスなんですよね~。
この英語力で、本気で、本気で、本気で翻訳できているとカンチガイしているとしたら
あまりに世間知らず。じゃなきゃ他人の仕事なめすぎ。

願わくば、この世間知らずなセンセイが教師が就労指導とかしていませんように。
(英語も教えてませんように!)

学校のセンセイたちは、まず「大事なのは人間関係」って言うでしょ。
でもそれはきっと、仕事の現場を知らないからじゃないのかしら。
スキルも身につけずに人間関係だけで渡れるほど、世の中は甘くない。もはや昭和じゃないしね。右肩上がりの時代は終わったしね。
いくら愛想が良くたって、実力がなければ通じない高度情報化社会が来たんだけど。
気づいているかな?
頼むから間違った人間関係でっかちの教育をしないでね。
じゃないと被害者が増えるばかりだから。
また自閉っ子、ツッコミ力がないから、人間関係でっかちの教育を真に受けちゃうのよね。苦手なのに。

自閉症の人でもね、この「人間関係でっかちの教え」から解毒されてきちんと実力を身につける努力をした人は社会に受け入れられていくんですよ。多少癖があってもね。

でも教師の全部がバカなわけじゃない、という話ももちろんたくさんあります。
そう、中にはちゃんとした人もいるんです。
いい出会いもあることはあるんですよ(と一応フォロー)。でもほんとだし。そのうちまた「いい出会い」をブログに書きますよ。

ものすごく腹が立ったから、少しでもなごむために、
大好きなプーケットの空の写真をアップしました。
あ~また早く行きたいよう。この空を見つめてまったりしたい!