治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

「自閉症って恥ずかしいの?」

2009-10-21 07:10:01 | 日記
「自閉症って恥ずかしいの?」とD君は私に訊きました。
しっかり目を見て(訓練の賜物だそうです。以前は視線が合わなかったそうです)。

「自閉症は恥ずかしくないよ」と私は答えました。

D君のママの答えはもっと明確でした。

「D、自閉症は恥ずかしくないよ。恥ずかしいのは大人になっても自分でご飯が食べられないことだ」

覚悟のできたお母さんだなと感心しました。
こういう方だから早めにD君の持つ困難に気づき、最大限配慮しながらも甘やかすことなくしっかり育てていらっしゃるのでしょう。

D君はお勉強もよくできて、文も書けて、言葉が豊かに思えます。
でもときどき、お母さんの口頭での指示が通らないことがあります。
そのときの絵カードでの指示の入り方は、言葉の比ではありません。
視覚支援ってすごいんだなと思わされました。

後ほど二人でお話したときに
私はお母さんに訊きました。
「D君に将来どうなってほしいですか?」

「自分でご飯が食べられるようになってほしいです」
お母さんは一瞬のためらいもなく答えました。

「でも今は、まだまだです。
季節によって体調を崩して学校に行きたくないとぐずったり
行事のたびにパニックになったり
そういう人を雇う会社はありません」

たしかに。よくわかっていらっしゃる。

私は「自閉っ子的心身安定生活!」を一冊進呈しました。
お母様は「ブログに出ていた本ですよね! うれしい!」と喜んでくださいました。

「藤家さんはね、私の知っている中でたぶん一番病弱な人でした。
とんちんかんな世界観を持っていました。
二次障害にも苦しんでいました。たぶん相当小さいころからね。
でも今は、週に五日外に出ているんです。
本当に奇跡みたいなんです」

そうお話しました。

そしてそのとき私は気づいたのです。
大人であれ、子どもであれ
私は自分を向上させよう、と前向きに取り組める人の本が出したいんだな~と。
定型発達であれ、ASDであれ。

写真は浅見家今期初松茸。
なんと210円です。アメリカ産の半額セール。
デフレですね~。ありがたいけど。
1合くらいご飯炊けるかな?

花風社史上最年少著者誕生?

2009-10-20 07:00:00 | 日記
今回、北海道までわざわざ著者候補に会いに行ったので、ある人に
「いつもわざわざ会いに行くんですか?」と訊かれました。
そうとは限りません。
でも今回は自分から行きました。
著者候補が8歳の小学生だったからです。

お勉強はとてもよくできるD君。
でも保育園のときから、集団生活になじめず、パニックを起こすことが多かったようです。
また、行事についていけず
元々仕事柄発達障害の知識があったお母様が絵カード等を使って
「どうしていやなのか?」
「どうしてその場にいたくないのか?」
気持ちを聞きだしてきたそうです。

その結果D君は、自分が不安になるとき、パニックになるとき、自分の気持ちを書くようになりました。
そして「僕はこういうことに気をつけなくてはいけない」と自分の取り扱いマニュアルをつくり、PCで自作の本にまとめ、療育の先生とかに配ったりするようになりました。
適性を見極めながらも厳しく、そして愛情をもってD君を育てる親御さんと先生方。
自然の豊かな環境で、D君はすくすくと育っています。
ときには
「どうして僕はみんなと一緒ではないのだろう?」
「どうして僕がこんなに嫌なことを、みんな平気なのだろう?」と悩みながら。

お勉強ができるために、就学のときには普通クラスに入りましたが、集団生活になじめない。
パニックを起こしてしまう。
その様子を見ていた特別支援教育コーディネータの先生がD君親子に声をかけると
D君は言ったそうです。「ぼくは脳の病気だと思う。教室でじっくり勉強ができない。検査をしてほしい」
そしてお試しで行った支援級にそのまま「居つく」ようになったそうです。
今は学年トップクラスの成績ですが、支援級でお勉強し、ときどき交流級に出かけています。
お勉強が大好きなんですって。放っておくといつまでも、いつまでも、いつまでもへとへとになるまでお勉強してしまうんだそうです。

D君とD君のママと、楽しくおしゃべりしました。
D君は愛読している本をたくさん見せてくれました。
レゴの飛行機も見せてくれました。
楽しい出会いでした。

D君は会う前「東京から来る本のハカセ(←私のこと。ご両親がそう説明したそうです)に嫌われたらどうしよう」と心配していたそうです。
「さすが自閉っ子、つまんないこと心配するなあ」と思いました。つまんない心配しては脳みそを無駄づかいするのは、大人のASDの人とおんなじですね。

D君、私は楽しかったよ。
最後に飛び切りの笑顔で握手してくれたから、きっと仲良くなれたのだと信じることにします。

写真はカニキティちゃん。ちょっとだけカニも食べた楽しい北海道出張でした。

共感だけでは何も生まれない

2009-10-19 10:10:10 | 日記

土曜日朝、羽田へ。
そして新千歳へ。紅葉先取り!
今回は札幌じゃないところに行きました。温泉も入りましたよ。
一日目は著者候補の方とミーティング。
二日目は所用をこなしたり、海鮮丼をたべたりして
最後に新千歳で以前から会う約束をしていた北海道在住ASD当事者の方とおしゃべりしました。

そのときに出た会話です。

実は私は、ASDの人から話を聞きだすとき
あまり共感をあらわさないようにしています。
「わかるわ~」とか「私もおんなじよ」とか言う人はいますが
そういう会話の進め方があまりぴんとこないんです。
ていうか、場合によってはASDの人に不親切なんじゃないの? とか思うことも。

だって「わかんない」もん。
たとえば、ASDの人の多くが味わう「うつ」のつらさなんて、私にはわかりません。
私も落ち込むことはあります。
でも放っておくと脳が勝手に軌道修正してくれる。
「さあがんばろう」という気持ちが自然に沸いてくる。
何日も、何ヶ月も、何年も身体が動かなくなるほどの「うつ」なんて想像もつきません。
たいていの嫌なことは有酸素運動とビールで消えていくのではないでしょうか。
あるいは稀勢の里が勝ったりすれば(これが難しいんだけどさ)。

気分のコントロールに薬なんてどうして必要なのか「肌身では」わからない。
でも周囲に、薬が見る見る間に効果を上げる人たちもいっぱいいるんで
「必要な人もいるんだろう」とはわかります。

昨日もASDの当事者に
「なんでなんで?」の嵐でした。
その方は「なんでって訊いて貰ってよかったです」と言ってくださいました。
「なんでって訊かれないのもつらい」と。
私は言いました。
「私もこだわりネタがあったり(お相撲・キティちゃん)、ASDっぽいところが皆無なわけではありません。でも仕事が医療や福祉や教育じゃないせいか、少なくとも当事者の前では『わかるわ~』って言わないことにしているんです。それが礼儀なんじゃないかな、って。だって本当にわかんないもん。脳みそが違うんだからわかんないよ」

その方は言いました。「『わかるわ~』って言われるとむかつくことあるんですよね」

「うん。でも教育関係の方とかはとてもカンタンに『私にも同じようなところがある』とおっしゃいますよね。それでイヤミなのかなんなのか、講演の後とかに『浅見さんは違いを強調するんですね』とか言われることがあります。でも私の仕事は調べて、伝えることだから。共感することじゃないから。嘘の共感は当事者に無礼だから」

新刊「自閉っ子的 心身安定生活!」
http://www.kafusha.com/shinkanyoyaku/shinkanyoyaku.html)でも藤家ちゅん平さんに、「二次障害」のつらさと、そこからどうやって立ち直れたかをいっぱい訊きました。
実は定型発達者で、「なんでこんなに落ち込むのかわからない」ってフシギに思っている人結構いっぱいいると思います。みんな私みたいに口に出さないだけで。
その証拠に二次障害でのうつや不安を「甘えだ」って言われることも多いでしょう?
私は実はね、元々そっちの系統の人間なんです。今は違うけどね。
私を変えたものは共感じゃありません。「違うんだ」っていう知識です。

「どうしてわかってくれないんだろう?」って当事者は思うかもしれませんが
「脳みそが違うからわかんないんだ」ってところから出発したほうがかえって理解は広がるような気がするんですよね。

人間として共感するのは当然。
でも違うものは違う。

写真は北海道の鮭キティちゃん。
北海道のキティちゃんはもう全部持ってたかと思っていましたが、どんどん増えます。
さすが観光地!


名誉毀損は高くつく

2009-10-17 00:02:01 | 日記
「想像力の障害」は、きちんと早めに解決しないと、高くつくことがあります。

裏づけも取らずに想像で他人の名誉を毀損すると
200万円くらい取られたりします。
たとえ控訴しても
とりあえず仮執行できる権利も裁判所によって与えられたりします。

完全勝利でした。

ニキさんと浅見が同一人物だということは、裁判所に真っ向から否定されました。
「原告浅見淳子がニキ・リンコと同一人物であるとはとうてい言えない」
(判決文より引用)

執拗にそう主張することは明らかな不法行為であると、裁判所は認定しました。
「違法性を欠く旨の被告の主張は採用の余地がない」
「以上の認定判断を前提とすると、被告は、原告らの名誉を毀損したものとして、不法行為に基づき、本件各書き込みによって原告らに生じた損害を賠償をする義務を負うものと認められる」(判決文より引用)

ただし被告の展開していたブログについては
「被告の意見等が書きつづられたものにすぎないという本件ブログの性格などからすると、その影響力にも限りがあるといわざるをえない」
「もっとも、本件各証拠によっても、本件各書き込みにより、花風社や原告浅見淳子の営業活動、原告浅見昇吾の研究活動や職場における待遇等に具体的な不利益ないし支障が生じたことまではうかがわれない」
と「たいした影響はないのではないか」という判断でした。

被告の主張はことごとく退けられました。
「被告が本件各書き込みにおいて摘示している事実や意見の基礎となる事実が、およそ根拠のないものであることもすでに認定したとおりである」(判決文より)

被告の主張の悪質性も断定されました。
「また、本件各書き込みは、平成18年9月から平成21年3月にわたり、インターネット上において、約80回にわたって書き足されたものであり、同内容の書き込みを何度も繰り返すこともあったのが認められるのであって、公開された範囲の広範さ、期間の長さ及び書き込みの回数や態様といった点からみても悪質なものといわざるを得ない。
 さらに証拠(甲7)及び弁論の全主旨によれば、原告らは、従前被告と面識がなく、被告から一方的に本件各書き込みによる批判等を受けるに至ったものと認められる」(判決文より)

何よりも大事なこと。
私は「ペンネームで活動したい」という著者たちのプライバシーを守り通すことができました。
一日4~50回の電話を会社にかけてくる横暴な被告の行為から会社を守り通すことができました。
大切な家族を守り通すことができました。

このブログは後日、消すかもしれません。
詳しいご報告はまた、後日。

明日から北海道。
また新たな才能を見つけに行くのです。

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追記:
仮執行というのは私も今回初めて知った制度です。

勝訴者が不利益をこうむることに配慮し、民事訴訟において判決が確定する前に財産上の支払いなどの請求を認めること。民事訴訟法に基づく。

だそうです。
また損害賠償金には結構高い金利がつくのも、初めて知りました。
弁護士さんに一つ一つ教えていただきました。

新刊情報アップしました!

2009-10-16 07:47:47 | 日記
先日、ニキさんと電話で交わした会話。

浅見「ニキさんは私にとって大事なビジネスパートナーだけど、ちゅん平に対する気持ちはまたちょっと違うの。ビジネスパートナーでもあるんだけど、なんか年の離れた妹みたいな感じ」
ニキ「ふーん」
浅見「年が16歳違うから、私がヤンママだったら生んでいてもおかしくないくらいの歳の差なんだけどね。
でもちゅん平とは出会ってからこれまで、調子がいい時期とか、もう死にそうになった時期とか、支援を受けて立ち直った時期とか、と思ったらまた崩れた時期とか、色々あったでしょう? そのたんびに喜んだり悲しんだり、ときには『だめじゃん!』って叱ったり、忙しかったせいか、なんか身内みたいな気持ちを持つようになっちゃったんだな。
それでもう今は、あんなに弱かったちゅん平が今週に五日勤務していることが、自分のことのように嬉しいし、誇らしい。色々な方々に自分のことのように威張ったりしている。『藤家さん最近どうしてます?』とか訊かれると、鼻の穴ひくひくさせて『すごいんですよそれが』って自慢げに話してしまう」
ニキ「だってすごいもん」
浅見「もちろん普通の人から見たら、なんでそんなことで喜ぶ? って言われちゃうかもしれない。だって社会人の入り口にたどりついたところだから。でも私は本当に嬉しいの」
ニキ「いや、ちゃんとそれは嬉しがらなきゃ。だって本当にすごいことじゃない」
浅見「以前の弱かったことを知っているから、本当に嬉しいんだ」
花風社のサイトに10月発売の新刊「自閉っ子的 心身安定生活!」の情報アップしました。
書店発売は10月下旬。HPでの購読お申込みは送料無料で承っています。

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私は週末、もう雪虫の舞っているという北の大地へ飛びます。
新たな著者候補の方とお会いします。
温泉にも入ってまったりしてきます! おいしいものも食べるつもり。
そしてまた頑張って仕事するんだー!
「やること」と「いるばしょ」があることに感謝。
それが心身安定のコツですね。それは自閉っ子も同じみたいですよ!

子ども孝行な親

2009-10-15 09:00:22 | 日記
昨日YAHOO!の記事を見ていて
「これってうちの母じゃないだろうか?!」と思った。

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社会人の常識・非常識から恋愛事情まで、様々な分野でのスタンダードを探るコラム、オリコン『働きビト』。本日10月14日は、日本に初めて鉄道が開通したことを記念して制定された“鉄道の日”ということで、第14回目は『通勤電車内で遭遇した“ちょっとイイ話”』を収集。「若者がお年寄りに席を譲ろうとすると『いいのよ、私たちは遊んできた後だから。あなたは仕事してきたんでしょ! 座っていて』と話している場面に遭遇。自分もそんなお年寄りになりたいです」(東京都/30代/男性)など、電車内で“人生の教訓”を得たというさまざまな声が集まった。

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来月74歳になる母は、よくこの台詞で席を譲られても辞退している。
自分が電車で出かけるときはだいたい、デューク更家のウォーキングレッスンに行ったり、フラダンスに行ったりするときだ。
だから働いて疲れている人に席を譲られる道理がないというのが母の考えだ。
母は電車以外の手段も使う。
車を運転して湘南まで海水浴に行ったり、ときには京都まで行ったりする。

夫と私には合わせて親が四人いる。
四人とも健康で、老後の生活をそれなりに楽しんでいる。
私たちが仕事に専念できるのは、親たちが健康でいてくれるおかげだ。

子ども孝行な四人の親に感謝の日々である。

連休明け

2009-10-14 07:55:00 | 日記
今やアメリカ人より労働時間が短くなった日本人。
ていうか休暇の数は、ローマ帝国末期より多いそうである。
これで景気がよくなるわけはない。

というわけで連休中もわりと仕事をした。
おかげで連休明けは結構疲れていた。

朝ボーっとニュースを見る。
羽田ハブ空港化は、もちろん大賛成である。
自宅から近いという事情もあるが、国際的な競争を考えれば成田は不利だ。

広島・長崎オリンピックも実現したら素晴らしい。東京も落選した甲斐があるというもの。
この際博多から長崎までリニアモーターカーでも通してあの不便な長崎空港をお払い箱にしたらどうだろう。
博多から20分くらいで着くんじゃないかな。佐賀を素通りすればね。
九州は福岡以外、空港と街が遠すぎる。土地はいっぱいあるのに。えんえんと道路を通して得する人がいるんだろう。

のそのそと出社。
途中東京メトロで珍しい生き物を見た。「Calvin Klein」のパンツを見せた平成のバカ者だ。
もうすっかり絶滅したかと思ってたよ。
それともまだ渋谷あたりには生き残っているのだろうか。

のそのそと仕事。
途中ニキさんに電話。明日あたり盛岡講演の主催者さんから航空券が送られてくるので、着いたら確認のメールをくださいと頼む。主催者さんが心配なさるからね。
ニキさんには「浅見さんホテル一人で着ける? 駅で迎えに行こうか?」と心配される。
ニキさんは結構私の弱点を知っているからね。

仕事を終え、帰宅。
自宅最寄り駅の込んだホームで、白杖を持った視覚障害者の女性を見つける。
この駅ではよく駅員さんが視覚障害者の方の乗り換えアシストをしている。でもこの方は、駅員さんは頼んでいないみたいだ。
声をかけると「地下鉄に乗り換えたい」とおっしゃるので、地下鉄までお連れする。
ただひじを掴んでもらえばいいだけかと思ったが、小柄な女性とは歩幅が違うし、一緒に歩くのもなかなかコツが必要だとわかる。
かえって申し訳なかったかなと思ってしまったが、地下鉄までお送りする。
やっぱり駅員さんたちは普段から訓練されているんだ。もっと颯爽とこなしている。
それと、身体的な障害の方への援助が手厚くて、発達障害への理解がなかなか進まない理由もわかる。
視覚障害の方は、たった乗り換えるということだけにあれだけお礼を言わなくてはいけないのだろうか。
発達障害者の場合、全部の人がお礼を言えるわけではない。お礼を言うべきところで怒り出したりする。そうすると一般人としては、いったいどうすればいいのかわからなくなる。
もちろん、きちんとお礼が言える人もたくさんいる。

帰ってきて「クローズアップ現代」を見ながら食事。
今度のアメリカ駐日大使は政治経験のない人で頼りない印象だったが、来日後すぐに広島に行ったそうだ。

今日は疲れているからジムやめようかなと思っていたが、少し休息を取って元気が出てきてしまう。
何しろジムに行くとビールのおいしさが違う。
夜の街を自転車で走り、ジムへ。70分ほど運動する。

帰りにコンビニで週刊朝日を買う。
作家の室井佑月氏のコラムに、中川昭一氏への追悼が載っていた。
「やっぱり断酒が悪かったんじゃないか」
酒好きな人は、意見が一致するんだなあ。

有酸素運動とビール。
これにまさる睡眠薬はないだろう。
いつものごとくこてんと寝る。あっという間に朝。

編集者とカウンセラーは仕事が違う

2009-10-13 09:10:55 | 日記
先日ある面談の申し入れを断ってしまった。
それが正しい判断だったかどうか、自分でもわからない。

何回かお会いしたことのある臨床心理士の人が
アスペルガーと診断されたばかりの人がいるので会ってもらいたいというのだ。
苦労しながら一応専門職についている人だという。

私は取材をする立場なので、お会いするのはかまわない。
でもむこうになんかのメリットがあるのか
それがわからなかった。
私は誰かの相談に乗るキャラではない。
カウンセラーでもない。支援者でもない。
自閉圏の人に向って共感を表明する習慣もない。
本を書くことに興味がない自閉の人が私に会っても、楽しいことはあんまりないぞ。

それよりも「ちょっと違うかも」と思ったのが
間に立っている臨床心理士の人が
定型文化(「会って仲良くすれば悩みはとけていく」)ってヤツを
自閉圏の人に押し付けているんじゃないか、って匂いがしたことだった。

それははっきり言った。
編集者が飲み会を仕事にしているみたいに
誰かと会って話をすることで何かが解決するような気がするのはこっち(定型発達側)の文化じゃないのかと。
それを押し付けてはよくないんじゃないか、と。
自閉圏の人に、目的のはっきりしない会合はむしろ苦痛なことも多いと。

結果的にお断りした。
会ったらかえって相手にマイナスかもしれないと思ったし
臨床心理士の人に、自閉文化って違うんだよ、ってわかってほしかったから。
ついでに、臨床心理士と出版社の仕事も違うんだよ、ってわかってほしかったのかもしれない。

断ってしまってから、珍しく少し考えた。
そんなに意固地にならずに会ってもよかったのではないかと。
どっちみち臨床心理士の人は、これからもなんの屈託もなく定型文化を押し付けるかもしれないし。
無駄な抵抗だったかもしれない。

信頼できる人に相談してみた。
「断ったのは大人げなかっただろうか?」

その人は言った。
「大人げないことはたしかだが、会わなくて正解だろう」

うん、そうかも。
そういう考え方もあるなあ。

写真は江ノ島の弁天様キティちゃん。
芸事の神様です。

サッカーは国境を越える(そしてビールも)

2009-10-12 10:52:27 | 日記
先週赤坂に住んでいる友だちがスコットランド人の群れにつかまり
「ビール飲むところを教えてくれ」と言われたとブログに書いていた。
青山一丁目のライオンに案内して
「一緒に飲まないか」と誘われたけど仕事があるから断ったそうだ。

土曜日、スコットランド人は横浜に移動。
キルトを身につけたスコットランド人軍団が
日産スタジアムの周囲に現れた。
キリン・カップ「日本vsスコットランド」の観戦のためにね。
「エビス、冷えてます」の幟が立った店の前にテーブルを出し、ビールを飲んで大騒ぎしていた。
この店、ふだんは戸外にテーブルは出していない。
どうしても外で飲みたがるのがヨーロッパ人の面白い習性だ。

試合はつまんなかった。
日本は勝ったけどつまんなかったのだから
負けたスコットランド人たちはもっとつまんなかっただろう。

でもフシギと、勝とうと負けようとビールは進むのだ。
サッカーじゃなくて相撲を観ていてもビールは進むのだ。
ていうか何も観ていなくてもビールは進む。

サッカーは国境を越える。
そしてビールも。
エビスはどこに出しても恥ずかしくない日本最強のビールだ。
はっきり言ってサッカー日本代表より、エビスのほうが世界で通じると思う。

それにしてもスコットランドから日本にサッカーを見に来る人がたくさんいるなんて
世界は狭くなったものだ。
ならば関東から九州に相撲を観にいく人がいてもおかしくはないよね?

もう来月は一年納めの九州場所。
大分出身千代大海、14回目のかど番。
もうやめろ。

写真は体育会系サッカー部のキティちゃん。

等身大のセルフ・エスティーム

2009-10-11 08:42:30 | 日記
今度出す本
「自閉っ子的 心身安定生活!」では
セルフ・エスティームのことにも結構触れました。

私から見ると、藤家寛子さん(ちゅん平さん)のセルフ・エスティームって
元々割合まともなんです。
高すぎもせず、低すぎもしない。

でもそう見なかった人も多かったみたい、以前はね。
セルフ・エスティームはまともなのに
以前は発言が時々高慢ちきだったからです。

そういう誤解を呼びそうな発言が支援を受けてからすっかりなくなった。

どうしてなくなったのか、今回初めてはっきりと訊いたんですが
「なるほどなあ」って思いましたよ。

結果として藤家ちゅん平さんは今
すごくまっとうなセルフ・エスティームを持っているし
それが外から見てもわかるようになりました。

まっとうなセルフ・エスティームを持っていると
努力する必要性がわかるし
努力すれば今よりよくなることも信じられるでしょ?
それが心身の安定に結びつきます。

私はよくASDの人に
「定型発達の人だって毎日毎日努力の連続なんだよ」という話をします。
びっくりされることあります。

ASDの人はよく、定型発達の人が
大変にラクちんに毎日を送っていると誤解していることがあるから。

でもそうじゃない。
仕事を維持していくっていうことは、定型発達の人にとってだって本当に大変なんです。
そういう話をします。

このブログのタイトル「定型発達者もつらい・・・かな?」には、そういう意味もこめられているんです。

たしかに私たちは自閉っ子よりはラク。
でもやっぱり毎日毎日どれだけ頑張るかが勝負なんだよ、って。