今日は風もなく暖かった。 そのせいかタビーが外へ出たがったので散歩に出た。
タビーは、車の走る音に耳を傾けたり、草の匂いを嗅いだり、遠くに目を凝らしたりしていた。
ある家の前に、タビーと同じくらいの大きさのキジトラが座っていた。
タビーが気づく前に私はタビーを抱き上げたつもりだが、タビーはキジトラに気づいていた。
タビーは低くウーッと唸った。
「タビー、お友だちだから喧嘩はダメだよ。仲良し、仲良し。」と、のんびりと私は言った。
タビーはキジトラから目を離す事なく睨んでいた。
「タビー、おかあさん寒くなっちゃった。風邪ひきそうだからお家へ帰ろう。」
タビーが腕からすり抜けてキジトラと喧嘩になったらどうしようとドキドキしたが平静を装いゆっくりと家へ向かった。
タビーが自分の親兄弟以外の猫を近くで見たのは今回が初めてかも知れない。