十 現世の中

裸足で胸をはだけて
現世の人々とまじわる
着物は貧相で汚いが
心は至福にみちている
寿命を延ばすために
魔法を使わないが
目の前で死んだ木々がよみがえる

九 本源に辿りつく

本源に辿りつくために
多くの階梯を経てしまった
はじめから盲目であれば
かえって良かっただろう
人は真実の居場所にいる
川は静かに流れ
花は赤く咲いている

八 牛も自分も忘れる

鞭、たずな、自分、牛
全ては無の中に統合される
この天国はとても広大で
どんな言葉もそれを表すことはできない
燃えさかる火のなかで雪片が存在できるだろうか
ここにブッダ方の足跡がある

七 牛を忘れて

牛にまたがり家に着いた
人は朗らかで
牛も安らいでいる
夜明けがおとずれ
至福の休息にひたる
草葺きの家の中に
鞭とたずなをしまった

六 牛にのる

牛にのってゆっくり家に帰る
笛の音が夜通し響く
手拍子で音頭をとりながら
永遠のリズムをあらわす
この曲を聴くものは
誰でも参加するだろう

五 牛をならす

牛をならすために鞭とたずなが必要だ
彼は道からはぐれるかもしれない
訓練すれば彼はおとなしくなる
放たれても主人に従うようになる

四 牛を捕まえる

すごい苦闘によって牛を捕まえる
牛の大きな意志と力は無尽蔵だ
彼は雲の上の高原に向かおうとする
通り抜けられない峡谷に立とうとする