もう50年ほど昔の事になってしまうが、どうしてあの
中学、高校の頃(中学は市立、高校は県立)の服装とか
髪の長さとかの規則があれほど厳しかったのだろうか。
「風紀」が乱れる、というのが理由らしいが男子は
中学から高1の終わりまで4年間坊主頭にしていなければ
ならなかったし高2からは髪が伸ばせたが、びんの長さは
耳の穴の位置まで、なんていう今考えると信じられない
規定まであった。
靴下の色も黒か紺の他はダメで、中学の時それしかな
かったからだと思うが、薄い水色の靴下を履いていたら
数学の教師に目ざとく見つけられて
「オイ、○○、なんだ、その靴下は!」
と怒られ、その後授業でもその教師にイヤミな態度を
取られたりしていた。
高校では少しでも規則より髪が伸びていると注意されたし
制服は詰め襟で、当然窮屈なので時々首のホックを外し
がちになるけれど、ある日の美術の授業で教師が教室に
入ってくるなり、
「はい、今、ホック外しとる男子、一人ずつ前に出て来い」
と言って、木槌(けっこう大きめの)で頭を1回ゴンされ
たりしていた(ずい分痛かった)。推測するにたぶんこの
教師は、朝ご飯の時に奥さんと何か口論にでもなって、その
八つ当たりで生徒にそんな事をやっていたのかもしれない。
まあつまりは生徒達に関して、一切個性を封印して学校の
指示通りに従わせる、といった方針だったわけであるが、
しかしちょっとした逸脱も許さず、あまりに細かい事まで
イチイチ規則で縛るのはどうなんだろうと思ってしまう。
大げさにいうとまるで軍隊の兵士のようで、命令通りに動く
同一規格のロボットが扱いやすいごとく、結局は立場が上
の者の管理が容易で楽なようにするための規則だと思わざる
を得ない。
上官の命令一下、敵陣に向かって一団で突撃していく兵士や
戦後の廃墟から国を復興させるための企業戦士には、個性が
あってもらっては迷惑千万だったのだろうが、すでにそういう
時代ではないし、今の若い人一人一人が自由に個性を伸ばし
表現して、どんどん世の中が愉快に進化してゆけばと思うの
は私だけだろうか。