多喜二奪還事件研究室 ブログより
神村和美『小林多喜二全作品ガイドブック』が発行!多喜二奪還事件も掲載!
東京学芸大学助手の神村和美さんの『小林多喜二全作品ガイドブック』が佐藤三郎さんの編集で仕上がり、発行されました。神村さんの評論を冒頭において、全66作品を10のテーマに分けて、〈書誌〉〈成立〉〈あらすじ〉を書き上げています。ところどころ佐藤さんが〈MEMO〉で最新情報を語っています。10のテーマは〈よわき者への眼差し〉〈家族〉〈子どもの貧困〉〈“他者”としての女性〉〈性労働と女性〉〈女性の自立・活動〉〈地域性-中央・都会との拮抗〉〈国家権力への抵抗〉〈暴力・植民地・反帝国主義・反戦〉〈運動の周縁の人々〉です。まだ読み終わっていませんが、多喜二文学の全体が歴史上初めてわかりやすい形で提示されたものと感じました。『蟹工船』などを読んで、さらに読みたいと思う先導者の役割を果たすと思います。また、伊勢崎の小林多喜二奪還事件はMEMOとして取り上げられています。〈国家権力への抵抗〉の中の『飴玉闘争』に続く『監房随筆』のMEMOです。 MEMO〉伊勢崎・多喜二奪還事件 「多喜二奪還事件研究室」はhttp://www.takijidakkan.com/ |
3月10日(日) 開演:午後1時30分(開場:午後1時)
みらい座いけぶくろ(豊島公会堂)池袋駅東口徒歩5分
▼講演「太陽は総てのものを平等に照らす」-小林多喜二の文学
... 尾西康充
▼講演「わたしにとっての小林多喜二」
米倉斉加年
▼歌「ピアノ弾き語り」
佐藤真子
曲目:小林多喜二追悼の歌、君死にたまふことなかれ 他
▼青年トーク「現代に生きる小林多喜二」
秋元いずみ(作家)/岩崎明日香(民青同盟東京都委員会)/神部紅(首都圏青年ユニオン)/乙部宗徳(司会)
チケット発売中 1,500円(当日券1,700円)
主催:日本民主主義文学会/多喜二・百合子研究会
協賛(順不同):文化団体連絡協議会/全国労働組合総連合
/治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟/日本民主青年同盟/
全日本学生自治会総連合/婦人民主クラブ/日本ペンクラブ
【公演評】組曲虐殺
観客の胸の中の映写機が回り出す
![写真](http://astand.asahi.com/entertainment/starfile/images/OSK201302010053.jpg)
- スターファイル
- 月額315円(税込)
作家で劇作家の故井上ひさしの最後の戯曲「組曲虐殺」が2月3日まで、全国で巡演中だ。栗山民也が演出を手がけ、主演の井上芳雄ら初演時のスタッフ、キャストがそろった3年ぶりの再演は、作品は生き続けていく、そんな息吹に触れた仕上がりだった。(フリーライター・岩瀬春美)
「組曲虐殺」は、「蟹工船」などで知られるプロレタリア作家、小林多喜二を題材にした音楽評伝劇。2009年秋に初演されると、読売演劇大賞優秀作品賞をはじめ、各賞を受賞した。作者の井上ひさしは10年に死去。今回の再演では、井上の8作品を連続上演してきた「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」の締めくくりを飾る。
昭和初期、治安維持法のもと、自由な言論や思想が厳しく弾圧されていた時代。小林多喜二(井上芳雄)は、プロレタリア文学の旗手として社会に立ち向かっていた。本作では、特高警察による拷問の末、29歳の若さで死に至った多喜二の最後の2年9カ月を描く。ごく普通の青年が、なぜ作家となり、虐殺されなくてはいけなかったのか、を主軸に据えながら、周りの人々との交流を、ユーモアを交えて描写している。
登場人物は多喜二をはじめ、追い続ける特高刑事の古橋鉄雄(山本龍二)と山本正(山崎一)、多喜二を支える同志で後に妻となるふじ子(神野三鈴)、姉のチマ(高畑淳子)、もと酌婦で身請けした恋人の瀧子(石原さとみ)の6人。作者の井上ひさしは、それぞれの役者に当てて台本を書いた。
「ミュージカル界のプリンス」と言われる井上と、プロレタリア作家のイメージは一見、結びつき難いが、その配役に舞台を観て納得した。劇中で描かれる多喜二像は、優しくて朗らかで、周りの人々に愛される存在。そんな青年を素直に表現できるのは、やはり透明感のある井上なのだろう。悲劇的なイメージが先行しがちな多喜二だが、素顔は普通の好青年だったのかもしれないと思わせる雰囲気が、井上にはあった。
北海道弁とコミカルな演技で引き付けるのは、チマ役の高畑。高畑が登場すると、場がぱっと明るくなる。瀧子役の石原は、シャープな演技と多喜二を想う女のいじらしさが合っていた。神野は、同志として命をかけて多喜二を守る、ふじ子役を熱演。自らの役割を知り、献身的に支えるとはこういうことか、と納得させる演技で、芯の通った姿勢を貫く。
ジャズピアニスト、小曽根真がこの作品のために書き下した楽曲とピアノ演奏が全編にわたって繰り広げられるのも圧巻だ。舞台の2階部分に設置されたピアノは、暗闇の中でスポットが当たると宙に浮いて見える。そこで奏でられる演奏は、音の洪水が五感を刺激するような、感情に直接訴えてくる力があった。
多喜二のせりふで、モノを書くときには「体ぜんたいでぶつかっていかなきゃねえ」(集英社「組曲虐殺」より)というのがある。作者の井上ひさしがそうやって執筆活動に取り組んできたのだろうと見てとれるシーンだが、ここではとりわけ、言葉に息吹が感じられた。作者が紡いだ言葉そのものの力に、演じる井上の意識が合わさり、多喜二がふっと降りてきたように感じられた瞬間がそのせりふにはあった。
多喜二は自分の胸のあたりを指して言う。「体ごとぶつかって行くと、このあたりにある映写機のようなものが、カタカタと動き出して、そのひとにとって、かけがえのない光景を、原稿用紙の上に、銀のように燃えあがらせるんです。ぼくはそのようにしてしか書けない。モノを考えることさえできません」(集英社「組曲虐殺」より)
その後につづく、6人の登場人物たちが「胸の映写機」を歌うシーンの立体的な演出は秀逸だ。背中合わせにひとつの輪になった6人が、止まりかけのオルゴールのような動きで、ゆっくりと回りながら歌う。その時、満席の会場では、観客一人一人の胸の中の映写機も回り、それぞれの光景を映し出すかのように、会場全体でカタカタ…と音の波動が広がっていくように感じられた。
物語には、もう1つの見方がある。それは特高刑事のひとり、山本の変化だ。山本が多喜二を追い続けた末に見せた行動は、意表をつくものだった。多喜二の初期の作品に、労働運動を取り締まる立場だった巡査のかっとうを描いた「山本巡査」という戯曲があるが、この劇中の山本刑事は「山本巡査」につながる存在とも受け取れる。追う者と追われる者、相反する立場でありながら、悲惨な死を迎えた多喜二に、本当の意味で光を当てたのは山本の存在かもしれない。またそれは、作者・井上ひさしの、人を見つめる温かさなのだろう。
終演後も胸の映写機は回り続け、あとからあとから、じわりと胸に迫ってくる。作品は生き続ける。そしてこれからもずっと見続けていきたい評伝劇だ。
◆「組曲虐殺」
《東京公演》2012年12月7日(金)~30日(日) 天王洲 銀河劇場
《福岡公演》2013年1月12日(土)~13日(日) キャナルシティ劇場
《金沢公演》2013年1月16日(水)~17日(木) 本多の森ホール
《大阪公演》2013年1月19日(土)~21日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
《新潟公演》2013年1月23日(水) りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場
《市川公演》2013年1月26日(土) 市川市文化会館大ホール
《広島公演》2013年1月29日(火) 広島市文化交流会館
※上記公演は終了しています。
《名古屋公演》2013年2月3日(日) 愛知県芸術劇場大ホール
⇒詳しくは、「組曲虐殺」公式サイトへ http://www.horipro.co.jp/usr/ticket/kouen.cgi?Detail=195
《筆者プロフィール》岩瀬春美 福井県小浜市出身。人生の大半を米国ですごした曾祖父の日記を読んだことがきっかけでライターを志す。シアトルの日本語情報誌インターン、テクニカルライター等を経て、アサヒ・コム編集部のスタッフとして舞台ページを担当。2012年1月よりフリーランスのライターとして活動。
平和プラザ2013の概要が決まりました!
2012(平成24)年12月20日に行った実行委員会で、「平和プラザ2013 平和をねがう中央区民の戦争展」の概要が下記の通り決まりました。
イベントタイトル:平和プラザ2013 平和をねがう中央区民の戦争展
全体テーマ:アジアの中の日本 戦争と平和の近現代史
TOKYO中央区から考える。
開催期間:3月8日(金)~10日(日)
会場:中央区立月島社会教育会館4階ホール(月島区民センター4階)
メーンイベント:3月9日(土)午後1時30分~午後3時30分
東アジアの平和はどうなる!?尖閣問題で岐路に立つ日本外交
ベストセラー『戦後史の正体』著者からの問題提起!(仮称)
孫崎享さん(元外務省国際情報局長・元駐イラン大使)
まごさき・うける(孫崎享)プロフィール
1943(昭和18)年生まれ。1966(昭和41)年、東京大学法学部中退、外務省入省。駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使をへて、2009(平成21)年まで防衛大学校教授。著書に『日米同盟の正体―迷走する安全保障』(講談社)、『日本の国境問題―尖閣・竹島・北方領土』(ちくま新書)、『戦後史の正体』(創元社)、『検証 尖閣問題』(編、岩波書店)など。
主催:「平和プラザ2013 平和をねがう中央区民の戦争展」実行委員会
【主な展示】※2012年12月現在の予定です。
特別展:「隅田川から
辿(たどる)戦争の記憶」(仮称)
私たちの町から戦争を考える。
「月島Ⅰ―国公法弾圧堀越事件」
「月島Ⅱ―橋本夢道」
「築地―小林多喜二虐殺」
戦争のあやまちを繰り返さないために
「歴史から見つめる。尖閣諸島&竹島問題」
「国防軍って? 憲法改正の危険な動き」
3.11から2年~原発事故から何を学ぶか
【主な企画】※2012年12月現在の予定です。
●3月8日(金)午後6時30分~午後8時30分
トーク 橋本夢道と小林多喜二
月島ゆかりの反戦俳人の研究者と、多喜二研究の第一人者のクロストーク
●3月9日(土)午後1時30分~午後3時30分
東アジアの平和はどうなる!?尖閣問題で岐路に立つ日本外交
ベストセラー『戦後史の正体』著者からの問題提起!(仮称)
孫崎享さん(元外務省国際情報局長・元駐イラン大使)
●3月10日(日)午前11時~正午
トーク 岐路に立つ日本国憲法
憲法問題にくわしい弁護士、笹山尚人さんによる時事解説
ささやまなおと(笹山尚人)1970年生まれ、中央大学法学部卒、『労働法はぼくらの味方!』(岩波ジュニア新書)ほか著書多数
●3月10日(日)午後1時30分~午後2時30分
映像とトーク ドキュメンタリー映像「中央区戦災体験者の証言」
(空襲編、疎開編)
映像文化製作者連盟2012アワード最優秀作品賞受賞
終了後に、勝どき在住の80代の女性がご自身の戦争体験を振り返ります。
(ご高齢のため、ご欠席の場合があります。予めご了承お願いいたします)
以上
広島県呉市の日本民主主義文学会呉支部はこのほど、市内で創立40周年記念文学講演会を開き、約50人が参加しました。
文芸評論家の宮本阿伎氏が「小林多喜二―その作品が現代に問いかけるもの」のテーマで講演しました。
宮本氏は、多喜二が活動した頃、呉市でも海軍の中で共産党機関紙「聳(そび)ゆるマスト」が発刊されたことが「呉市史」に記載されていることを紹介。
多喜二の『蟹工船』が再評価されていることについて「現実の問題から逃げず、その解決を求めて一途に歩んだ多喜二の生き方が、現代の人々の共感を生んだ」と語りました。
(2012年10月18日,「赤旗」)
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銀座シネパトス 「小林多喜二」上映スケジュール・上映時間
上映スケジュール・上映時間
小林多喜二
公開日 | 2012年4月10日 |
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評価 | -![]() |
見たい度 | -![]() |
上映時間 | 119分 |
映倫区分 | - |
4/8 (日) | 4/9 (月) | 4/10 (火) | 4/11 (水) | 4/12 (木) | 4/13 (金) | 4/14 (土) | 4/15 (日) |
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12:30 16:40|終18:41 | 12:30 16:40|終18:41 | 12:30 16:40|終18:41 | 12:30 16:40|終18:41 | 12:30 16:40|終18:41 |
《生誕百年 今井正監督特集 第二部》
- ※情報提供元:ぴあ株式会社
- ※上映時間・作品が変更になる場合がありますので、正確な情報は劇場までご確認ください
住所 | 東京都中央区銀座4-8-7映画館公式ページ |
---|---|
交通アクセス | 銀座三越先歌舞伎座手前 |
連絡先 | [電話] 03(3561)4660 |
映画館情報をケータイへ | ![]() |
駐車場 | × | テープによる上映案内 | × |
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車イス席 | × | 3D上映方式の対応可否 | × |
車イス用トイレ | × | アルコール販売 | ○ |
基本料金
一般 | 1800円 |
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大高 | 1500円 |
中小・シニア | 1000円 |
身障者 | 1000円 (要手帳) |
割引情報
- 水曜女性 1000円
- 金曜ペア 2500円 (男女不問)
- 20:00以降一般・大高 1300円
- 毎月1日 1000円
- どちらかが50歳以上なら夫婦で 2000円 (要年齢証明)
- 高校生3人以上なら1人 1000円 (同一作品に限る・要学生証)
- 身障者介添えの方(1名のみ) 1000円
- 共通前売3回券 3600円
座席数・音響スペック
座席数 | 音響スペック | |
---|---|---|
銀座シネパトス1 | 177 | DS/SR |
銀座シネパトス2 | 130 | DS/SR |
銀座シネパトス3 | 72 | SR |
音響スペックの説明
レベル | 音響スペック |
---|---|
最良 | SRD-EX:ドルビーEX SDDS:ソニー・ダイナミック・デジタル・サウンド SRD:ドルビー・デジタル DTS:デジタル・シアター・システムズ |
優良 | SR:ドルビー・スペクトラル・レコーディング DTS-S:DTSステレオ |
良 | DS:ドルビーステレオ |
治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟(治維法国賠同盟)滋賀県湖北支部は22日、長浜市内で第2回湖北多喜二祭を開きました。同県本部会長の川端俊英・同朋大学名誉教授(日本近代文学)が「多喜二の青春と啄木歌」と題して講演しました。
川端氏は、治安維持法のもとで特高警察により、29歳の若さで虐殺された日本共産党員作家・小林多喜二(1903~1933)と啄木の関わりについて、多喜二が啄木の影響を受けて読んだと思われる短歌や、多喜二が好意を寄せた田口タキに送った啄木の短歌を朗読して紹介しました。「多喜二が革命的な作家として成長していくプロセスにおいて、タキを愛したことが、彼にとっては大きな力になった」とのべました。
北村富生湖北支部長は「治安維持法と現代―歴史を学ぶ」と題して報告。橋下・「維新の会」の危険性をナチスドイツの台頭と比較しながら告発しました。
参加者からは「多喜二と啄木のそれぞれについては知っていましたが、2人のつながりを知ることができてよかった」などの感想が聞かれました。
(2012年03月23日,「赤旗」)
「あと3時間で終了します!!」と紹介すると、続々と会場に集まる人々が増え、搬出・撤になっても人足がとだえなかったといいます。
1600名という入場者数にどういう意味があるとはいえないけれど、1600名に「いま多喜二の勇気に学ぶ」という、多喜二のメッセージをとどけることができたのなら、成功といえるだろう。
「朝日新聞」秋田版 2012年03月19日
http://mytown.asahi.com/akita/news.php?k_id=05000001203190002
デスマスクや直筆ノートなど、小林多喜二ゆかりの展示物が並ぶ=秋田市のアトリオン
小説「蟹工船」で知られる大館市出身のプロレタリア作家・小林多喜二(1903~33)ゆかりの展示会が秋田市のアトリオンで開かれている。19日まで。
拷問の末に亡くなった多喜二の顔をかたどったデスマスク、愛用した茶色のオーバーコート、推敲(すい・こう)を重ねた跡がわかる「蟹工船」の草稿ノート、などが展示室に並ぶ。県多喜二祭が始まってから50周年を記念したイベントだ。格差社会が取り沙汰された08年に多喜二ブームが起き、世界各国で翻訳された刊行物も展示されている。3日間で1300人以上が来場した。
主催した県多喜二祭実行委員会の工藤一紘委員長は「社会の根本を見つめる目や、迫害されることを知りながら反戦を訴えた勇気、多喜二の生き方は震災後の日本を鼓舞するものだ」と話している。
午前10時~午後5時。入場無料。
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小林多喜二展
秋田県出身のプロレタリア文学の作家、小林多喜二が、戦前に、特高警察に虐殺されてから、80回忌を迎えるのに合わせた展示会が、秋田市で開かれています。
展示会は、今の大館市出身の小林多喜二が、亡くなってから80回忌を迎えるのに合わせて、秋田県内の市民有志が、開きました。
小林多喜二は、戦前、カニを、船の中で直ちに缶詰にする過酷な労働の実態を描いた小説・「蟹工船」や、共産党員に対する弾圧を描いた「1928年3月15日」を発表し、プロレタリア文学の作家として活躍しました。
しかし、昭和8年に、東京で特高警察に逮捕されて拷問を受け、29歳の若さで亡くなりました。
今回の展示会では、亡くなった時の顔から型をとって作ったデスマスクが、展示されました。
また、執筆活動で使い、インクが染みついている机や、愛用のコート、それに、直筆の手紙も、見ることができます。
さらに、近年、働いても貧困から抜け出せない非正規雇用の若者が増えているのを背景に、再びベストセラーとなった「蟹工船」は、中国語や韓国語、それにフランス語などに翻訳された本も、展示されています。
この展示会は、今月19日まで秋田市のアトリオンで開かれています。
NHK 秋田 03月17日 18時41分
韓国から李貴源、李相昊、金泰京の三氏
母校・小樽商大でシンポジウム
各国の研究者が集まって行われた小林多喜二シンポジウム プロレタリア文学作家・小林多喜二(1903~33年)の研究者が成果を発表する「2012小樽小林多喜二シンポジウム」が21日、小樽商科大学(小樽市)で始まった。多喜二は同大の前身・小樽高等商業学校の出身で、大学が創立100周年を記念して開催した。シンポは、これまで東京や英国・オックスフォード大などで4回開催されたが、小樽商科大での開催は初。
シンポには、日、米、中、韓、ノルウェーなど8か国の研究者約30人が参加。三つの分科会に分かれて23日まで研究報告や討論が行われる。
21日は、「多喜二文学の国際性」と題した第1分科会が行われ、海外で評価の高い「蟹工船」の翻訳、出版に携わるなどした研究者が成果を発表した。
多喜二が用いた漁師の方言を、ノルウェーの方言に置き換えたノルウェーの翻訳家は、蟹工船とノルウェーのかつての捕鯨船の労働環境が似ていることを紹介し、「多喜二文学の国際性、普遍性を再確認させられた」と述べた。
この日は定員の70人を上回る約90人が聴講。多喜二の出身地、秋田県大館市から来た長崎恵子さん(65)は「外国人研究者が多喜二文学のどこに共感したのか興味があった。様々な視点からの意見が聞けた」と話していた。
夜には、小樽市民センターで記念講演会が開かれ、日本文学・日本文化研究家の米・シカゴ大学ノーマ・フィールド教授が「小林多喜二を21世紀に考える意味」と題して講演した。
(2012年2月22日 読売新聞)
明らかとなり、それへの関心と批判は、2008年に至って、
ワーキングプアや「名ばかり管理職」などの現状告発とともに
、「蟹工船」ブームを巻き起こし、一躍、小林多喜二を時の人
にした。
【 3分科会と講演 】
そうした多喜二への現代的関心の機運醸成に寄与したのが、
白樺文学館多喜二ライブラリーの過去4回におよぶ多喜二シ
ンポジウム(東京2003年・04年、中国・保定2005年、オッ
クスフォード2008年)であった。それらは多喜二研究の水準を
大きく引き上げ、とくにオックスフォード・シンポは、「多喜二を単
一の出発点としながら、池に広がる波のように、時空を貫いて
多様な領域に広がる、多喜二研究のもたらす大きな衝撃力」
(へザー・ボーウェン=ストライクの総括)を示すことになった。
この開催は、偶然にもリーマン・ショックと重なった。
第3回シンポジウムの準備過程において、関係者の間では締
めくくりのシンポジウムを小樽で開催したいと話し合われていた。
それを受けて、創立100周年を記念する事業の一つとして、
多喜二の母校小樽商科大学の主催で、雪の2月に小樽小林多
喜二国際シンポジウムが開催されることになった。3日間の日程
で、3つの分科会と記念講演会が企画されている。
近年の多喜二浮上の社会的要因が国際的・構造的なものであ
ることから、欧米アジアの日本研究者にも注目され、独自の論点
が提示されるとともに、中国・韓国・アメリカ・フランス・スペイン・
イタリア・ノルウェ―などにおいては『蟹工船』を中心に新たな翻
訳書が刊行されている。
第1分科会ではこうした国際的な受容と評価・翻訳のあり方など
について、各国のプロレタリア文化運動研究などとも関連させ、比
較文学の観点からの報告と討議を行なう。7か国語の翻訳者が
一堂に会し、多喜二文学の国際性を論議する様子は壮観であろ
う。
昨年2月に刊行された「DVD版 小林多喜二草稿ノ―ト・直筆
原稿」では、多くの多喜二作品の草稿段階での構想、その修正
、原稿への推敲過程などが全面的に明らかになった。
第2分科会では、これを本格的に用い、『蟹工船』や「オルグ」
「党生活者」などの具体的な草稿分析を通じて、新たな読みと論点
の提示が成される。
第3分科会では、若い世代の研究者によって多喜二小説への斬
新なアプローチがなされるほか、北海道・北洋を舞台とする『防雪
林』や『蟹工船』の独自な捉えかえしが試みられる。
私は軍事的な観点から「北洋漁業」を概観する。
【 内容濃いものに 】
2月21日の記念講演会では「小林多喜二を21世紀に考える意味
」と題して、ノーマ・フィールドさんが語ってくれる。多喜二文学・思想
ノ現代性や国際性、さらに普遍性と個性などについて、どのような
展開がされるのか、楽しみである。
この小樽でのシンポジウムが、これまでのシンポの成果を確かな
ものとして受け継ぐだけでなく、今後の多喜二研究をさらに進展させ
ていくような、実質的で内容の濃いものになることを願ってやまない。
( おぎの・ふじお 小樽商科大学教授 )
《 2012小樽 小林多喜二国際シンポジウム 》
★ 記念講演会 「小林多喜二を21世紀に考える意味」
~ノーマ・フィールド (シカゴ大学教授)
2月21日(火)午後6時半~8時45分
於 小樽市民センター マリン・ホール
★ シンポジウム
2月21日(火)~23日(木) 各日午前9時~
於 小樽商科大学 大学会館多目的ホール
問い合わせ TEL0134(27)5492
小樽商科大学創立百周年記念事業推進室
* しんぶん赤旗 2012年1月18日(水)文化・学問ページより