映画と渓流釣り

あと一話、永遠に終わらなければいいのに


さっき「逃げ恥」のダイジェストが終った。今度の火曜日になれば、みくりさん平匡さん夫婦とサヨナラだ。
一年で一番ロマンティックな季節なのに、なんか穴が空いた様に寂しい😔。こんなにもドラマにハマったのはいつ以来だろう。こちらの感性が鈍っている事もそうだろうけど、そもそも、これほどまでに心踊らされる質の高さをテレビ製作者は創ろうとしていただろうか?

山田太一「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」、倉本聰「前略、おふくろ様」「北の国から」、鎌田敏夫「おれは男だ!」「俺たちの旅」「男女七人夏(秋)物語」こんな巨匠が元気だった頃は、本物を創ろうとしていたんだろう。
トレンディードラマとか言われて括られてしまうけど、「東京ラブストーリー」の坂元裕二や「101回目のプロポーズ」の野島伸司にだって心掴まれた。

女流脚本家が台頭してきて、決定的な北川悦吏子の登場で、それまでの男目線で描かれた物語が多様化する。「愛していると言ってくれ」「ビューティフルライフ」「ロングバケーション」はその代表格だろう。「世界の中心で愛を叫ぶ」のドラマ脚本を書いた森下佳子は、原作と映画の優れたところをうまく物語にしていた。そして、野木亜紀子の登場。

野木亜紀子、実は「逃げ恥」観るまでまったくノーマークだった。
でも、「空飛ぶ広報室」も「掟上今日子の備忘録」も「重版出来!」も、今年春先観た映画「アイアムアヒーロー」までもが彼女の作品だというのでビックリ‼みんな観てるよ。特に「重版出来!」は今年一番の出来だと思っていたくらい感心したドラマだった。「逃げ恥」の出現は偶然ではなく必然だったんだな。

さて、みくりさんと平匡さんをどう見送るか。
百合さんと風見だってもう少し壁を取り外してあげたい。
なんだか、田舎の世話焼きオヤジのようだけど、そんな感覚が嬉しかったりする。

振り向く後ろがほとんど無い若い頃なら、ドンドン進んでいけるし、その勢いあってこその結婚なんだ。反面、過去が重なれば「愛される人はいいなぁ・・・」と、心底愛する対象を具象化するのはドンドン難しくなってゆく。平匡が35過ぎてみくりさんに逢えた事を、自分のことのように幸せに思う。

新垣結衣という唯一無二の素材あってのことだけど、みくりという女性は本当に魅力的だ。ドジでちょっぴり天然だけれど心優しい女の子なんて、それこそ漫画の世界にしか存在価値無いし、真面目で融通効かない意地っ張りだけど誰よりも温かい心の持ち主で...なんていうステレオタイプのヒロインにもウンザリしている。ましてや、実は難病を抱えていて余命幾ばくもとかは勘弁してほしい。
みくりさんの魅力は、その小賢しさ故の先走りにある。
天然じゃない(妄想はするけど)。ちゃんと計算入っている(女だもん当然でしょ)。計算していない女なんて、かえって怖くて近付けない。頭良いから妄想混ぜながらも次の展開を先走って行く。平匡が追い付けないのは無理無い。だけど計算に悪意がないから、無敵に可愛い。「可愛いは最強なんです!」と平匡に力説するけれど、みくりさん、貴女こそが最強の可愛らしさそのものですよ。と。
シェアするんですかね?と、わざとらしく聞く計算高さ。
終っている家事を、まだですと言いながら後ろから抱きつくタイミングの妙。
...、でも、平匡の想像もしない電車チューの様に、意表を突かれたみくりさんも愛おしい。

百合さんの魅力も忘れないよう書いておこう。
みくりの叔母であるけれど、この物語中一番無垢な人だ。設定が、じゃなくてその存在が。振り向く過去は沢山ある。けれど彼女にはちゃんと生きようとする道筋を覚悟と共に持っている。無垢でありながら覚悟して生きようとしているから放って置けない。支えなくとも、ハグしなくとも彼女は倒れない。でも、寄り添ってあげたい。そこが百合さんとみくりさんの違いであり、魅力でもある。

沼田さんや日野さん、山ちゃんやっさん、みくり家平匡家の家族全てとももうすぐお別れだ。

最終話を観て、また、感想を書くかもしれないけど、今はただ、火曜日を待とう。

火曜日は心のハグの日だから。

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