わたくし世代(昭和36年生まれ)は所謂、巨人・大鵬・卵焼きの尻尾に辛うじてつかまって少年時代を過ごした
巨人のV9に慶喜し、大鵬の32回目の優勝土俵は鮮明に映像として記憶している。今でも好きなのは卵焼きだけになったけど、日本国中の人が強さとか正義なんかを疑いなく信じていたんだな
そんな世代には音楽に関しては、間に合わなかったと言うジレンマを抱えている
わたくし達はビートルズを実体験した思いに乏しい。テレビニュースで解散を伝えていたことは覚えているのに、彼らの音楽の素晴らしさに感動したのは随分後になってからだ
高校生の頃、田舎町に何軒かあったレコード店のうち、棚揃えが自分の好みと合っていた吉田屋というお店に入り浸った。バスが来るまでの僅かな間にも顔を出したから店員とも馴染みになって、新譜の情報交換もよくやった
あの頃、LPレコードは2500円。そうそう購入することは叶わなかった
今みたいに配信はおろか試聴する事もできなかったから、針を下ろすまでは博打のような物。でもあの感覚、最初の音がスピーカーから流れでた刹那、痺れるような感動はもう味わえない
毎月一枚づつ集め聴いた音楽がわたくしを作り、今もサブスクで垂れ流されてくる音の中で新しい才能に出会う