秋冬に比べると、春夏のドラマはチープなつくりのものが多いように感じる
寒い時期にはコタツでテレビという昭和感覚が今でも残っていて、作り手も力の入り方が違うのだろうか
但し、この春から放送されたドラマは序盤だけでみればそんなに悪くはない作品がチラホラ
NHKの看板番組は高水準の安定飛行だし
前クールのような傑作は期待薄だけど、連休明けくらいまで観て続けて観るかを決めようかな
「光る君へ」
清少納言が内裏に就職して、いよいよ紫式部も・・・と、話は進んできたが
確か、結婚して福井の方に住むんじゃなかったっけ?うろ覚えだけど
そうなるとまた楽しみにしていた内裏代理戦争のお話しが先にのびる
藤原氏の内輪揉めの筋書きも予習しておかないといけないな
ところどころに百人一首で歌われた有名な短歌とその登場人物が現れるのも楽しみ
「虎に翼」
伊藤沙莉がヒロインじゃ気乗りしないなぁと観始めて三週目。序盤は最近の朝ドラの中でも最上位の面白さだ
実はヒロインが幼少期に苦労する話からスタートするのにチョット抵抗があり、感情移入して泣けちゃったりするのだけれど朝の15分はやっぱり元気をもらいたい
このドラマは最初から裕福な家庭で育った明るい性格の女子学生からの登場。数年後に戦火に焼かれる日本の暗部までの間はこのノリで行ってほしいものだ。その立ち上がりに伊藤沙莉のキャラクターはとても合っていて、安心して楽しめる。脇に桜井ユキや平岩紙を配置しているのも安定感を醸し出しているけど、注目しているのは親友で義理の姉役をやってる森田望智。これまでも朝ドラに登場しているけど地味な役者で、映画とかで個性的な役を上手くこなす人だと思っていた。素顔の覚え辛い容姿を生かし、カメレオン女優として今後注目してほしい逸材
「からかい上手な高木さん」
永野芽郁ちゃん主演の映画が先行しての企画なんだろうけど、漫画アニメで鉄板の地位を築いたコンテンツの実写テレビドラマ。主人公の高木さんも西片も初々しい女の子と男の子だから、多少稚拙な演技でも大目に見てやれる
中学生の頃にあんなに可愛い女の子が隣の席に座って、登下校も一緒だなんてそれだけでファンタジーじゃない⁈海も山も近くにある小豆島を舞台にしているから、人が少ない分だけ一層二人の世界観満載だ
アニメの様に特別な仲良しまで描けはしないだろうから、ほんのり匂う初恋の清々しさくらいは期待したい
「季節のない街」
黒澤明映画の中でも「どですかでん」は苦手な作品で、あの作品以降の黒澤明は小難しくなってしまったと思っている。宮藤官九郎は逆に「どですかでん」が一番好きな映画だそうだ
ナニ(震災)のせいで仮設住宅に住む人々が主人公であるところは、クドカンが何時も時代背景に置いている震災経験ど真ん中設定で頭が下がる思いだ。特に第2話の出来は群を抜いて素晴らしく、人情劇を作らせると今や彼の右に出るものはいないと痛感する。今年の冬から春にかけて放送された話題作「不適切にもほどがある」でも震災悲劇に触れながら親子の情愛をうまく描いていたが、このドラマは「あまちゃん」と同じかそれ以上に真正面から震災に向き合っている
これまたクドカン作品の常だけど、上手くて味のある役者が揃えられていて楽しみだ
「花咲舞が黙ってない」
期待してなかった割に初回は面白く観れた
10年前の杏主演のドラマも観ているのでどうしても比べてしまうけど、決して負けてるようには思えなかった。主人公の花咲舞の融通が効かない真っ直ぐさは杏の方が体現できているだろうが、実はわたくし遊びのない正義感がとても苦手で杏の花咲舞は嫌な女としか思えなかった
それに比べると今田美桜の花咲舞は背の高さ分なのか大きな瞳の狸顔のせいなのか、どことなく愛嬌があって人間としての魅力があるように思ったのだ。権力にも正々堂々ものが言える器の大きさが誰でも欲しいと思う。そんな時代ではないのかもしれないけど、40年間サラリーマンやってて少しは聞き耳持とうとする世の中になってきているとは思うが、やっぱり令和6年でも花咲舞はドラマの中でしか生きられないみたいだ
定番のお仕事勧善懲悪ドラマとして奇をてらわず外連味のない正攻法でやりきってほしい
「9ボーダー」
39歳29歳19歳の三姉妹の日常を切り取るドラマ。設定は興味深い
この設定で脂の乗り切っていた頃の山田太一や鎌田敏夫に脚本書かせていたらどうだったろう。もっと贅沢言えば、向田邦子の脚本で観てみたかった。彼らなら令和のこの世代をどのように捉えて普遍性を持たせただろうか
10歳づつ歳が離れているのに、誰もが考えていることは仕事と色恋のことだけなのか?そんな筈ないだろう
凡庸な作り手に委ねられたドラマは結局この程度なのかとまた失望する
木南晴夏も川口春奈も一番売り時の時期だからもう少しマシなドラマにしてあげないと
「アンメット」
まだ二話しか観ていないけど、今シーズン一番面白いドラマになるかも
医療系ドラマはしっかり作りさえすれば高確率で面白いものになるけれど、薄っぺらな感動押し付けをやってしまうと見る目を持った視聴者には酷評されてしまうので諸刃の刃であるかも
優秀な脳外科医が事故で記憶機能を失ってまで医師であろうとする姿に違和感はあるが、出し尽くされた今の世の中ではそのくらいのインパクトがなければドラマにならないということなんだろう
去年観た傑作映画「市子」のカップルだった杉咲花と若葉竜也がこのドラマでも共演しているのも興味深い。特に若葉竜也の天才脳外科医役はどハマりしていて、映画界での彼のステータスは確立していたものの、とうとうテレビでも一般ウケしてしまいそうだ。かつての堺雅人や高橋一生のようになってしまうかも
AIMとしては、「裸の心」以来の民放テレビ主題歌である「会いに行くのに」が上手くハマっているのも嬉しい
「ブルーモーメント」
同じフジテレビ系列であっても関テレで制作した「アンメット」は筋の通った質の高いドラマなのに、フジテレビが作るとこれほどまでにつまらなくしてしまうとは。物語の作り方を勘違いし過ぎているとしか思えない
気象学で自然災害に立ち向かうというコンセプトは最近の日本を取り巻く環境からも絶妙な視点だと思う。それなのにこんなに酷いドラマにしちゃうと、早々にリタイアしてしまいそうだ。なんだかチャチイ設定と嘘くさすぎる非科学的な背景が無惨だ。気の抜けたコードブルーを見せられてもなぁ・・・出口夏希ちゃんをしばらく鑑賞しようか