ブログを新しく始めてみました。自分の趣味の音楽や本や映画のことについて気ままにのんびり書いていこうと思います。
ということで最初の投稿は河野裕子さんの歌集から。
先日、図書館で借りておいてまだ読んでいなかったので、ちょっとパラパラっと読んでみる。
歌集を読むという表現が正しいのかどうかわからないが、なんとなく目を通す。
この人の歌には独特の重力が働いているというか、とっても不思議な感覚を覚えることがある。この『歩く』の歌集は、全体的になんだかとてものっぺりとした悠遠な感じを受ける。この歌集は著者の晩年に詠まれた歌を集めているので、そのためなのか。いい意味で力が抜けている。でもどこか怖いくらいの迫力も感じる。歳をとっていると言っても、芭蕉のような軽やかな侘び寂びを感じさせてはくれない。それでも歌の節々にユーモアがあって、それが妙な親近感を持って語りかけてくる。
私は万葉集のような明るい男性的な短歌を好んで読むが、こうした控えめなそれでいて人生の機微に通じた短歌もまた趣があっていいものだ。では最後に好きな歌を一首。
田の真中にのんのんのんのん働きて機嫌よかりし脱穀機の音