時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

百貨店はどこへ向かうのか?

2023年09月01日 | 時のつれづれ・長月 

多摩爺の「時のつれづれ(長月の34)」
百貨店はどこへ向かうのか?

都心のターミナル池袋駅と一体化した老舗の百貨店が、外資ファンドへ売却されるようである。
先月末には、百貨店としては61年ぶりに組合がストライキを打ったものの、
同日の取締役会で承認されると、間髪を入れず翌日付けで売買することが確定してしまった。

ストライキの決行中に売却が承認されるという、なんともはや残念な結果となったが、
この百貨店は3年続けて赤字が続き・・・ 黒字の見通しが立たないらしい。

これについては、経営能力を疑問視する声もあるが、
もがいても無理だと分かったことから、傷口を広げないうちに売却するんだと捉えれば、 
資本主義社会では普通にあることで、社員を解雇して廃業するわけじゃないし、
経営に関する労使協議もあったはずだから、どうにもならないことだけは理解せざる得ないだろう。

企業であれば、このようなことが起こることは・・・ ある意味で自然の流れであり、
心情的には「なんとかならないものか?」と思うし、
ターミナル駅にある老舗百貨店は、昔を今に伝える文化財でもあって、
その名が消え、経営の形態が様変わりすることは・・・ いささか辛いし、残念で堪らない。

今回のストライキは、メディアの報道を見る限り、
我々がイメージするストライキとはちょっと違ってて、ネガティブなイメージは少なく、
ある程度の支持が得られていたように思えたが、
5,000名いると云われる組合員の雇用は・・・ 果たして守られるのだろうか?

視点を変えてみれば・・・ 雇用の条件に合わず、去る人もいるだろうが、
一方で新たな雇用を生むことも忘れてはならない。
それをもって新陳代謝と呼ぶのは、いささか虚しくもあるが、これもまた自然の流れなんだろう。

さて百貨店という名の、昭和のイメージをいまに伝えるビジネスは、
これから・・・ どこに向かうのだろうか?

私が子どものころは、年に数回家族ででかけ、エレベーターやエスカレーターに乗って、
上の階にある大食堂で、お昼ご飯を食べることが楽しみで堪らなかったが、
今の時代に、そんな子どもたちがいるとも思えないし、大食堂があるのかさえも分からない。

上京して間もないころ、歌にも歌われた有楽町駅前の百貨店が、大手の家電量販店に売却され、
その10年後ぐらいには、池袋駅前にあった老舗百貨店も、大手の家電量販店に売却されている。
少し前までは、吉祥寺にも府中にも、駅前に百貨店があったし、立川駅前には2店舗あった。

そう思えば、21世紀に入ったころから20年の時を経て
人々の買い物に対する思考や欲求と、
それにマッチした店舗の有りようが、時間をかけて変化したようである。

駅前の百貨店に代わって、郊外に大規模駐車場を備えた大手ショッピングセンターが進出すると、
人の流れは大きく変ってしまったが、
ブランドの力を借りたり、時流を上手く読み、巧みに掴んだ小売店を地域ぐるみで抱え込み、
流行を先取りしたり、流行を生み出した・・・ 魅力のある町も増えてきている。

女房がポツリと言ったのは・・・ 百貨店って、包装紙にブランド力があったけど、
いまの時代は、包装紙や紙袋に拘る人は少ないし、
「これからどうなるんだろうね?」と話していたが、私も全くもって異論はない。

銀座や、日本橋、上野、新宿には、まだまだ大手の老舗百貨店が頑張っているし、
そういった店舗が無くなることは想像できないが・・・ いつか、そんな日が来るのかもしれない。

百貨店のイメージが、どうしてもジュエリーや、婦人服、紳士服にいってしまうが、
新宿の百貨店では「駅弁大会」をやったり、上野の百貨店では、お歳暮の残り物を安価で販売したり、
その他の店舗では、地方の物産展などで工夫しており・・・ 我々も支えたいと思うが、
敷居が高いこともあったりして・・・ 如何ともし難い現実もある。

企業の営みも、人の世も・・・ 栄枯盛衰とはいうものの、
昭和に生まれ、昭和を生きぬいてきた世代からしたら、
昭和がどんどん遠くなってしまうようで・・・ 寂しさを隠せない。

とはいうものの・・・ 一つだけ、気になることがあるとすれば、
一夜が明けた池袋駅東口、そこにはなに事もなかったかのように、いつもと同じ営みがあり、
昨日ここで、ストライキがあったことは・・・ すでに忘れ去られ、
メディアの中継すら、なかったことではなかろうか。

あのストライキは・・・ なんだったのだろうか?
成功だったのか?
それとも、失敗だったのか?
その問に応える、明快な解がないことだけが・・・ 残念で堪らない、


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4 コメント

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Unknown (1948219suisen)
2023-09-01 16:39:47
わたしの住む川西市にも駅前に百貨店がありますが、賑わっているのは地下の食料品売場だけで、上の階は閑散としています。つぶれたら困るからこの夏もサンダルを買いに行きましたが、バーゲンになっているのにサンダルが軒並み1万円以上で買えませんでした。いまの庶民の懐事情から乖離していると思いました。バブル長者のいた頃ならいざしらず、今の時代には合わない値段設定だと思いますから早晩淘汰されてしまうのも仕方ないかもしれません。百貨店で夢を見させてもらった世代としては悲しいことですけれども…。
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お邪魔します。 (Jiro)
2023-09-01 16:56:51
「厚利寡売」のブランド力と自社製品の開発の衰退?
昔は、高くても良い商品への購買力が高かった?
ショバ代で稼ぐ戦略は間違っていた様に感じます。

「薄利多売」が脚光を浴びて、スーパーへの期待値が増加?
値段より実用的な期待が増加した?

ここで問題なのが商品のコストと販売価格だと思います。
庶民は所得収入が増加しないから妥当な金を支払わなくなった。

障害は「激安」というキャンペーンで消費を減速させた気がします。
マスコミの罪は重い気がします。

現状では更に深刻で、スーパー及び家電店も苦戦し収益は悪化して
きていると思います。明日は我が身?

勝手に想像すると....
米国ファンドが買い叩き、香港ペーパーカンパニーが買い取る?
実質運営は中国というストーリーでは?と思います。

要は、健全経営ではなく、投資目的ですからリストラ優先?
例えば、年収500万の1000人削減で50億の節約?
人件費も買い叩く?円安は相当に魅力だと思います。

恐らく短期間で利益を上げて、さっさと退場するのでは?
と思います。カルロスゴーンは何処にです。

社員の方々がデモして主張してみても無意味です。
なので、沈みかけた泥船に無理に乗り込もうとする人、
諦めて下船する人、その他の人の前途は多難ですね。
いずれにしてもリストラは免れないと思います。
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Unknown (多摩爺)
2023-09-01 17:42:10
水仙さん、こんにちは

高級品や、婦人服、紳士服がメインでは、集客が難しいのは仕方がないですね。
いずれはフロアの半分くらいを、家電量販や、家具量販、さらにはユニクロやワークマンに集客を依頼するしかないでしょう。
まずはどうやって集客をするのか、そこに知恵を絞らないと、ブランド名だけで集客するのは難しいでしょう。
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Unknown (多摩爺)
2023-09-01 17:50:16
Jiroさん、こんにちは

私はフロアをテナントに貸し出して賃料で儲ける戦略は有りだと思ってますが、
どこに貸し出すのか、どこが借りてくれるのかで集客が違いますし、
そういったビジネスのウェイトが増えれば、そもそも百貨店じゃなくなるので痛し痒しだとも思っています。
リストラ云々以前に、激安とか、セールとか、バーゲンという言葉が、前面に出てこない百貨店に、
残念ですが、魅力を感じなくなっているのかもしれません。
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