多摩爺の「時のつれづれ(睦月の10)」
医療崩壊しているのか?
「日本は、もう医療崩壊している。」
「適切な医療が、適切なタイミングで受けられなければ医療崩壊だ。」
定例会見を行った日本医師会のトップは、そのようなショッキングなコメントを発し、
そのうえで「有事のいま、心を一つにしてコロナウイルスに立ち向かいましょう。」と呼びかけた。
「心を一つにして」のところは、全く持ってその通りだと思うし、是非ともそうあってほしいが、
その前段で述べられた「日本の医療は崩壊している。」については・・・ 本当にそうなんだろうか?
医療現場の最前線で戦う医療従事者の多くは、公的病院や大学病院等で働いておられる勤務医であり、
その方々の約半数は、民間の病院やクリニックなどの、開業医を束ねる日本医師会には属していない。
最近になってようやく、情報番組やワイドショーで取り上げられるようになってきた、
コロナ禍における医療体制だが、
開業医の多くは、新型コロナウイルスの治療には関わっていない。
日本医師会は、このことについて、役割分担をした結果であり、
開業医の多くは地域医療を支えているとしている。
持ち場、持ち場で、それぞれの医療従事者が、その役割を果たすことに全く持って異論はない。
それぞれが、それぞれの立場で尊い仕事をされており、
ド素人の第三者が、外野席からとやかく云うことではない。
とはいえ・・・ それは、平時を想定したスキームであり、役割分担であって、
コロナ禍に喘ぐ有事において、それで良いかという疑問が出てくるのは、必然だと思うがどうだろう?
「役割分担だから、これ以上は無理だ。」と言ってる組織のトップが、
GoToを止めろ、緊急事態宣言を出せと・・・ 政策に口をだし、
観光業界、飲食業界、さらにはその周辺にある様々な業界にブレーキをかけ、
首を絞め続けているにも拘わらず、自ら所管する団体を精査し、再編することもなく、
それが当然なんだと言い切られたら、国民だって黙ってはいられない。
いまは、平時ではない。
だれが、どのような角度から見ても、有事(戦時)であることは間違いない。
だから・・・ 緊急事態であり、非常事態なのである。
医療業界の大変さは、痛いほどわかるし、
その献身ぶりには頭が下がるし、感謝以外のなにものでもない。
しかし・・・ 町中で、地域医療を支えておられる、開業医の先生方の中には、
コロナ治療に関わる、素晴らしいスキルを持った逸材が、何人もおられるのではなかろうか?
日本医師会のトップには、会見の場で是非とも云ってもらいたいことがあった。
「人材は、日本国中を探して、なんとしてでもかきあつめてくる!」
「だから国や自治体は、必要な数だけ環境(コロナ専用病院と必要な設備)を至急整えてくれ!」
「必要なお金(かね)を用意しといてくれ!」と・・・ 熱く語りかけてほしかった。
生意気なことを言って申し訳ないが、
GoToをやるかやらないか、緊急事態宣言を出すか出さないかは、
政治が判断することであって、医師会が求めることではない。
医師会のトップが、それを口にした途端に・・・ 現状の役割分担を見直してくれと、
きついブーメランが返ってくるのは、必然のことだと思うが・・・ 間違っているだろうか?
医師会のトップが声を発し、GoToを止めさせても、緊急事態宣言を出させても、
医師会は、その責任を取ることはできない。
居酒屋談義ならいざ知らず、責任を取れない者が、記者会見まで開いて、
過剰な要求をすることは、混乱を招くだけではなかろうか。
以前のことだが、本だったか、雑誌だったか、新聞だったか、たぶん誰かのブログだったと思うが、
ちょっと気になった言葉があったので、書き留めておいたもののなかに、
「湿れる木より火を出し、乾ける土より水を儲けんが如く」という文言があった。
執念を持って、頑張ってほしいということである。
故に、日本医師会の幹部には、医療の継続に執念を見せてほしい。
感染が気にならない一部の人たちを除き、多くの国民にとって医療従事者は最後の砦である。
だから「既に医療崩壊している。」なんて・・・ 軽々に云ってほしくはない。
いまこそ、日本医師会の底力をみせてほしいと思っているが・・・ 無理なお願いなんだろうか?
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