gooブログはじめました!

Wi-Fi 7 最新 事情。

〇 対応機器が増加中のいま製品選びはどう変わったか。

 「Copilot+ PC」の多くや、Appleの「iPhone 16」シリーズ、Googleの「Pixel 9」シリーズなど、Wi-Fi 7に対応するPCやスマートフォンが増えている。それに伴い、Wi-Fi 7対応のWi-Fiルーターも続々と新製品が登場している。

 Wi-Fi 7対応ルーターは登場当初、ハイエンドクラスの製品のみだった。だが現在は1万円台、2万円台という売れ筋価格帯の製品も出ており、Wi-Fi 7は身近なものになりつつある。

 こうした状況の変化を受けて、Wi-Fi 7を導入することにした人や、導入計画を考え始めた人もいるだろう。そこで今回は、Wi-Fi 7の最新事情として、いま製品を選ぶ際のコツや注意点を説明していく。

PC、スマートフォン、Wi-Fiルーターなど、Wi-Fi 7対応の製品が増えている。写真はWi-Fi 7に対応するGoogleのAndroidスマートフォン「Pixel 9」
画1、PC、スマートフォン、Wi-Fiルーターなど、Wi-Fi 7対応の製品が増えている。写真はWi-Fi 7に対応するGoogleのAndroidスマートフォン「Pixel 9」

そもそもWi-Fi 7とは?

 Wi-Fi 7は、7世代目にあたるWi-Fi規格の愛称だ。規格名はIEEE 802.11beで、現在主流のWi-Fi 6/6E(規格名:IEEE 802.11ax)の後継規格である。

 Wi-Fi 7の最大の特徴は、通信速度がWi-Fi 6/6Eから大幅に引き上げられたこと。理論上の最大通信速度は46Gbps。Wi-Fi 6/6Eの理論上の最大通信速度は9.6Gbpsなので約4.8倍になる。MU-MIMOの最大ストリーム数の増加、帯域幅を最大320MHzに拡大(6GHz帯のみ、5GHz帯は従来通り160MHzが最大)、変調方式の高密度化などで、Wi-Fi 6/6Eから大幅な高速化を実現している。

 Wi-Fi 7を利用するには、接続するWi-Fiルーターと端末の双方がWi-Fi 7に対応している必要がある。一方、Wi-Fi 7はそれより前のWi-Fi規格と互換性があるため、相互に接続できる。

Wi-Fi 7は、Wi-Fi 6/6Eから大幅に速度が向上している。画面はWi-Fiの規格を策定するWi-Fi AllianceのWi-Fi 7機器認定プログラム「Wi-Fi CERTIFIED 7」の紹介ページ
画2、Wi-Fi 7は、Wi-Fi 6/6Eから大幅に速度が向上している。画面はWi-Fiの規格を策定するWi-Fi AllianceのWi-Fi 7機器認定プログラム「Wi-Fi CERTIFIED 7」の紹介ページ。

Link Operation、以下MLO)にも注目したい。Wi-Fi 6/6E以前のWi-Fi機器は2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯といった複数の周波数帯に対応する製品でも、利用できるのはそのうち1つだけ。利用時はどれか1つを選んで接続する必要があった。

 これに対してWi-Fi 7のMLOは、これらの周波数帯を同時に束ねて利用することで、速度向上を狙える。また、Wi-Fi 6/6E以前は接続に必要なSSIDがそれぞれの周波数帯で個別に用意されており、それで周波数帯を選ぶ仕組みだった。MLOを使うと、接続に必要なSSIDを1つにまとめられるメリットもある。

 実際のところ、MLOによる速度の向上は利用環境に大きく左右される。筆者がMLOを何度か試したところ、速度が向上するケースも、大幅に低下するケースもあった。そのためか、Wi-Fi 7に対応するWi-Fiルーターの場合、初期設定でMLOがオフになっている製品もある。

Wi-Fi 7ではマルチリンクオペレーション機能が追加された。上は「Deco BE85」(ティーピーリンクジャパン)の設定画面
画3、Wi-Fi 7ではマルチリンクオペレーション機能が追加された。上は「Deco BE85」(ティーピーリンクジャパン)の設定画面。

端末側が原因で十分な速度が出ないことも。

 国内で販売されているWi-Fi 7ルーターの中には、6GHz帯で320MHzの帯域幅を利用できる製品がある。その場合、製品仕様に対応の有無が記載されている。では、端末側はどうか。

 現在販売されているWi-Fi 7対応のPCやスマートフォンの多くは、アンテナを2本備える。送信機×受信機で「2×2」などと表記される。その場合、Wi-Fi 7を使って6GHz帯で接続したときの理論上の最大通信速度は、約5.8Gbpsとなる。ただしこれは、6GHz帯で320MHzの帯域幅を利用できる環境に限られる。

 PCやスマートフォンなどの端末側で、日本国内において6GHz帯で320MHzの帯域幅を利用できるのは、認可された一部の製品に限られる。そして現状では、どの端末が6GHz帯で320MHzの帯域幅を利用できるのか、製品紹介ページや製品仕様だけでは判断できない。メーカーサポートに尋ねると解る場合もある。

 320MHzの帯域幅が認可されていないPCやスマートフォンの場合、ファームウエアやデバイスドライバーなどで、半分の160MHzに制限される。その場合の理論上の最大通信速度は5GHz帯と同じ約2.9Gbpsとなる。それでも同2.4GbpsのWi-Fi 6/6Eよりも速い。

320MHzの帯域幅を利用できない端末もある。画面はIntel Wi-Fi 7 BE200(Wi-Fiカード)を搭載するノートPCで接続したときのプロパティ画面。リンク速度が仕様の半分の2.9Gbpsになっている
画4、320MHzの帯域幅を利用できない端末もある。画面はIntel Wi-Fi 7 BE200(Wi-Fiカード)を搭載するノートPCで接続したときのプロパティ画面。リンク速度が仕様の半分の2.9Gbpsになっている。

実際どれぐらいの速度が出る?

 Wi-Fi 7対応のスマートフォンで、6GHz帯を利用し帯域幅160MHzで通信したときの速度を測定したところ、2Gbps弱だった。Wi-Fi 6Eと比べると1割程度、Wi-Fi 5と比べると約2.9倍速かった。

 ただしインターネットアクセスの速度向上を狙うなら、インターネット回線が速いことが前提となる。例えば、最大通信速度が1Gbpsの回線だと、回線速度がボトルネックとなり、Wi-Fi 6EでもWi-Fi 7でもインターネットの速度は変わらない。Wi-Fi 7は最大通信速度が2Gbps以上のインターネット回線があるような環境で初めて、その性能を活用できる。

同一環境で各規格に対応した端末を用意し、ダウンロード速度を比較した。Wi-Fi 7は320MHz帯の帯域幅を利用できない機器での測定だが、それでもWi-Fi 6Eより1割程度速く、Wi-Fi 5だと約2.9倍速い
画5、同一環境で各規格に対応した端末を用意し、ダウンロード速度を比較した。Wi-Fi 7は320MHz帯の帯域幅を利用できない機器での測定だが、それでもWi-Fi 6Eより1割程度速く、Wi-Fi 5だと約2.9倍速い。

Wi-Fi 7ルーターを選ぶ際によく注意したいこと。

 Wi-Fi 7対応のWi-FiルーターやPC、スマートフォンを選ぶ際に注意したいのが、対応する周波数帯だ。実は「Wi-Fi 7対応」と表記されていても、6GHz帯に対応しない製品があるので注意したい。

 6GHz帯は認可されて日が浅い。利用者は2.4GHz帯や5GHz帯と比べると少なく、また電波干渉がほかの2つの周波数帯と比べると圧倒的に少ないため、速度向上が見込まれる。Wi-Fi 7ルーター購入時に予算があれば、6GHz帯対応製品を選ぶべきだろう。

 逆に、6GHz帯に対応しないWi-Fi 7ルーターには、安価というメリットがある。Wi-Fi 7は5GHz帯でもある程度速度向上を見込めるので、Wi-Fi 7を安価で導入したいなら選択肢として“あり”だろう。

写真の「WN-7D36QR」(アイ・オー・データ機器)は、6GHz帯には非対応だが、大手家電量販店での販売価格は1万6280円程度と安い
画6、写真の「WN-7D36QR」(アイ・オー・データ機器)は、6GHz帯には非対応だが、大手家電量販店での販売価格は1万6280円程度と安い。

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「〝 たぬき の 「 スマホ & パソコン 」 ワールド 〟」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事