○ Wordによる目次作成の悩みを解消、スタイルを手際良く整える。
[今回のテーマ]目次を見やすいデザインにする。
Word文書の目次は自動で作成でき、レイアウトも数種類から選べる。ただ、既製のレイアウトはいまひとつパッとせず、不要なタイトルや見出しが表示されたり、ページ番号が思い通りに表示されなかったりして、手直しが必要な場合もある(図1)。
図1、Wordで目次を作成すると、不要な文書タイトルが入ったり、デザインにメリハリがなくて構成がわかりにくかったりすることがある。表紙がある文書では、2ページ目の本文の先頭を1ページ目にしたい場合もある。
目次のレイアウトには、見出しのレベルごとに専用のスタイルが適用されているため、修正にはちょっとしたコツがいる。今回は、目次を見やすく修正するテクニックを紹介しよう(図2)。
図2、文字スタイルや配置を修正するだけで、見やすい目次になる。ページ番号の変更も可能だ。目次のデザインを手早く修正するコツを覚えよう。
作例は、十数ページの「防災マニュアル」。文書は「Chapter」の連番を振った章見出しと、下位の節見出しで構成されている。目次は表紙部分に作成し、2ページ目から始まる本文ページの先頭をページ番号「1」とする。
不要な目次項目は事前にカット スタイル変更は1カ所でOK。
まずは、目次作成の基本操作を見ていこう。文書内の見出しを目次項目として抜き出すには、各見出しをレベル分けする必要がある。レベル分けには、Wordの組み込みスタイルを利用するのが簡単だ。「見出し1」スタイルには「レベル1」、「見出し2」スタイルには「レベル2」が設定されているので、見出しに適用するだけでよい。作例でも、章見出しに「見出し1」スタイル、節見出しに「見出し2」スタイルを適用した(図3)[注1]。
Θ 目次に表示される見出しを確認する。
図3、「見出し1」「見出し2」などのスタイルを適用した見出しは、目次項目としてレベル分けされる。「ホーム」タブの「スタイル」ボタンをクリックして「スタイル」ウインドウを表示すると、カーソル位置のスタイルを簡単に確認できる(1)(2)。ここからスタイルの適用や変更も可能
[注1]なお、作例ではアウトライン機能を使って見出しに連番を振っているため、見出スタイルにも連番の設定が追加されている
なお、Wordの組み込みスタイルでは、「表題」スタイルにも「レベル1」が設定されている。そのため、文書タイトルに「表題」スタイルを適用していると目次に抜き出されてしまう。目次項目は「ナビゲーション」ウインドウに表示されるので、事前に確認しておこう(図4)。目次に不要な文字列には、「目次に表示しない」を設定しておけばよい(図5)。
図4、「表示」タブにある「ナビゲーションウィンドウ」をチェックすると「ナビゲーション」ウインドウが開き、「見出し」パネルに目次項目が一覧表示される(1)~(6)。作例では、「表題」スタイルを適用した文書タイトルも表示された(7)。
図5、目次に表示しない文書タイトルをクリックする(1)。「参考資料」タブの「テキストの追加」メニューから「目次に表示しない」を選ぶ(2)~(4)。「ナビゲーション」ウインドウの文書タイトルが非表示になる(5)。
目次を作成するときは、「目次」ダイアログボックスを開いてレイアウトを指定する(図6)。ここでは、見出しとページ番号を結ぶ線「タブリーダー」を変更した。なお「アウトラインレベル」欄では、目次に表示するレベルを絞り込める。例えば「1」に設定すると、レベル1の章見出しだけが目次項目として抜き出される。
Θ 目次を作成する。
図6、目次の作成位置にカーソルを移動し、「参考資料」タブの「目次」メニューから「ユーザー設定の目次」を選ぶ(1)~(3)。表示される画面の「目次」タブで目次のデザインを指定する(4)。ここでは「タブリーダー」メニューで一番下にある線を選んだ(5)。「OK」ボタンをクリックする(6)。
「OK」ボタンをクリックすると、カーソル位置に目次が作成される(図7)。目次内の見出しには、レベルごとに組み込みスタイルの「目次1」「目次2」が適用されるので、「スタイル」ウインドウで確認してみよう(図8)。
図8、目次にはレベルごとに「目次1」「目次2」などの目次スタイルが適用される。確認するときは見出しの行全体を選択する。なお、目次は「フィールド」という要素になり、操作によって網かけ表示されることがある。
具体的にどのようなスタイルが設定されているかは、画面上で確認できる。例えばルーラーを見ると、目次の文字列やページ番号が「左インデント」「左揃えタブ」「右揃えタブ」で配置されているのがわかる(図9)。「目次1」スタイルと「目次2」スタイルではそれぞれの位置が異なっているので、カーソルを移動して確かめよう[注3]。
Θ タブとインデントで目次の配置を調節する。
図9、連番が付いた見出しの目次では、行頭が「左インデント」、見出し文字の先頭が「左揃えタブ」、ページ番号の右側が「右揃えタブ」で配置されている。目次のレベルによって、それぞれの位置は異なる[注2]。
[注2]連番のない見出しを目次にした場合は「左インデント」の位置が見出し文字の先頭となり、「左揃えタブ」は設定されない
[注3]ルーラーが表示されていないときは「表示」タブにある「ルーラー」をチェックする
文字サイズとフォントも「ホーム」タブでチェックする。作例では目次全体が10.5ポイントの「游明朝」で表示されていて、メリハリが足りない一因となっている。これらを踏まえて、レイアウトを修正していこう。
Wordの目次スタイルは、画面上の修正によって自動的に更新される。そのため、どこか1カ所を修正すれば、それが同レベルの目次すべてに反映される。ここではまず、1行目の章見出しを選択し、文字サイズとフォントを変更して目立たせた。これで「目次1」スタイルが更新され、ほかの章見出しのスタイルも変更される(図10)。
図10、目次の1行目全体を選択して、フォントとサイズを変更する(1)(2)。ここでは12ポイントの「游ゴシックMedium」にした。同じレベルの目次は自動的に文字スタイルが変更される(3)。
表紙のページ番号をゼロにする 内容を変更したときは目次更新。
文字列、ページ番号、連番の位置はバランスを見ながらタブやインデントで調節する(図11、図12)。作例では章の間を少し空けるため、段落の前に0.5行の空きも設けた。なお、目次スタイルは手動でも更新できる(図13)。レベル2の節見出しの目次も、同様にレイアウトを変更すればよい(図14)。
図11、1行目を選択したままルーラーの「左揃えタブ」マーカーを右にドラッグし、見出し文字の先頭位置を少し下げる(1)。続けてルーラーの「右揃えタブ」マーカーを左にドラッグし、ページ番号の位置を少し内側にする(2)。同じレベルの目次は自動的に位置が変更される(3)。
図12、1行目を選択したまま、「レイアウト」タブの「左インデント」に「1字」、「前の間隔」に「0.5行」を指定する(1)~(3)。目次の行頭が1文字分字下げされ、行の上に0.5行分の空きが挿入される(4)。
Θ 目次スタイルを手動で更新する。
図13、1行目の変更が同じレベルの目次に反映されない場合は、手動でスタイルを更新する。1行目を選択したまま、「スタイル」ウインドウの「目次1」メニューを開き、「選択個所と一致するように目次1を更新する」を選べばよい(1)(2)。
図14、レベル2の目次も同様に文字スタイルや配置を修正する。目次の2行目だけを選択して修正すればよい。配置の修正では、左揃えタブと右揃えタブを1行目のレベル1と同じ位置にした。また左インデントは「4.5字」に変更し、連番の行頭をバランスの良い位置まで字下げした。
2ページ目の本文ページの先頭を1ページ目にしたい場合は、表紙のページ番号を非表示にして(図15)、さらに初期値を「0」にする(図16上)。これで2ページ目のページ番号が「1」になる(図16下)。なお、ページ番号はフッターの領域に入力しているので、画面モードを切り替えて操作した。
Θ 本文の先頭を1ページ目にする。
図15、1ページ目の下余白部分を右クリックして表示される「フッターの編集」を選択し、フッターの編集画面に切り替える(1)~(3)。作例ではフッターにページ番号を挿入している。「ヘッダーとフッター」タブの「先頭ページのみ別指定」をチェックする(4)(5)。これで1ページ目のページ番号が消える(6)。
図16、「ヘッダーとフッター」タブの「ページ番号」メニューから「ページ番号の書式設定」を選択(1)(2)。表示される画面で「開始番号」を選択し、数値に「0」を指定する(3)。「OK」ボタンをクリックすると、2ページ目のページ番号が「2」から「1」に変わる(4)(5)。「ヘッダーとフッター」タブの「ヘッダーとフッターを閉じる」ボタンをクリックして通常の編集画面に戻る。
ページ番号が変わったときは、目次の更新をしよう(図17)。あとは全体を見渡して、レイアウトを確認するだけ。作例では少しの手直しで、すっきりと見やすい目次になった(図18)。
Θ ページ番号の変更を目次に反映する。
図17、「参考資料」タブの「目次の更新」ボタンをクリック(1)(2)。表示される画面で「OK」ボタンをクリックする(3)。なお、見出しを増減したり文字列を書き換えたりしたときは「目次をすべて更新する」を選択する。
図18、目次のページ番号が変更された。レイアウトで気になる箇所があれば修正する。作例では、「目次」のタイトル行と目次の間にある空白行を削除した。
目次項目は、PDFのしおりとして書き出すことも可能だ(図19)。画面上で閲覧する際、目次として使える[注4]。
Θ 目次項目をPDFのしおりにする。
図19、Word文書をPDF化する際、目次項目(「ナビゲーション」ウインドウに表示される見出し)をPDFの「しおり」にすることができる。PDFファイルの保存画面で「オプション」ボタンをクリックし、表示される画面の「次を使用してブックマークを作成」をチェックして「見出し」を選択する
[注4]目次を作成している文書では、PDFのしおりが正しく書き出されないことがある。その場合は目次を削除しよう。作例でも目次を削除してPDFファイルに保存した。