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裏読み スマホ料金。

〇 eSIMを使えるMVNOが増加、どう使えばお得?

「eSIM」に対応するスマートフォンが増えている。eSIMとは、端末内に組み込まれたSIMを指す。そこに通信事業者が発行する情報を取り込む。スマホに挿入するICカードの「物理SIM」と同じだが、オンラインで申し込め、最短で当日から使い始められることが利点だ。

米アップルの「iPhone」はXS/XS Max/XR以降の機種がeSIMに対応する。「設定」→「モバイル通信」→「eSIMを追加」に進むと、eSIMを追加できる
画1、米アップルの「iPhone」はXS/XS Max/XR以降の機種がeSIMに対応する。「設定」→「モバイル通信」→「eSIMを追加」に進むと、eSIMを追加できる。
 
AndroidもeSIMに対応する機種が増えている。「設定」→「ネットワークとインターネット」にアクセスして「SIM」欄の「+」をタップ、または「モバイルネットワーク」→「eSIM」などからeSIMを追加できる
画2、AndroidもeSIMに対応する機種が増えている。「設定」→「ネットワークとインターネット」にアクセスして「SIM」欄の「+」をタップ、または「モバイルネットワーク」→「eSIM」などからeSIMを追加できる。

NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク、楽天モバイルの4社は、いずれもeSIMを提供している。オンライン申し込み専用の「ahamo」(ドコモ)「povo」(KDDI)「LINEMO」(ソフトバンク)もeSIMに対応する。申し込み当日から利用可能。大手キャリアの通常プランを一般的な物理SIMで利用し、格安プランのeSIMを追加して、1台で2回線を使い分けることも可能だ。

大手キャリアの回線を借りてサービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)においても、eSIMへの対応が進んでいる。ここでは2023年1月時点でeSIMを利用できるMVNOを紹介し、それらを利用するメリットを検証する。

IIJmioは「音声付き」と「データ専用」プランを選べる。

インターネットイニシアティブ(IIJ)の「IIJmio」は、eSIMを2019年7月から提供している。SIMフリースマートフォン向けとして国内初だった。従来はデータ通信のプランだけを提供していたが、2022年10月25日から音声通話が可能なeSIMも提供している。オンラインで本人確認ができるeKYCに対応し、申し込み当日から使い始められる。

IIJmioは2022年10月25日から音声通話付きのeSIMの提供を開始した
画3、IIJmioは2022年10月25日から音声通話付きのeSIMの提供を開始した。

IIJmioでは「ギガプラン」と「データプラン ゼロ(eSIM)」でeSIMを利用できる。主力の「ギガプラン」では、音声通話対応の「音声eSIM」(au回線)と、データ専用の「データeSIM」(ドコモ回線)から選べる。それぞれの月額料金(税込み、以下同)は下記の通り。

  • ●ギガプラン 音声eSIM
  • 2GB:850円
  • 4GB:990円
  • 8GB:1500円
  • 15GB:1800円
  • 20GB:2000円
  • データ追加料:220円/1GB
  • 通話料:11円/30秒(通話定額のオプションあり)
  • ●ギガプラン データeSIM
  • 2GB:440円
  • 4GB:660円
  • 8GB:1100円
  • 15GB:1430円
  • 20GB:1650円
  • データ追加料:220円/1GB

なお、ビックカメラがIIJと提携して提供する「BIC SIM」も同じ料金体系である。

IIJmioは、月額165円で回線を維持でき、必要なデータ量をその都度購入する「データプラン ゼロ(eSIM)」も提供している。

  • ●データプラン ゼロ(eSIM)
  • 月額料金:165円
  • データ追加料(最初の1GB):330円
  • データ追加料(2GB~10GB):495円/1GB

データプランは主回線のデータ量が足りなくなった場合だけ使うなど、ときどき使う人に適したプランだ。一定のデータ量を毎月利用する人はギガプランのほうが得だ。

mineoは通信速度を選ぶプランもeSIMに対応。

オプテージの「mineo」は、2022年8月からeSIMを提供している。同社の料金プランは、毎月に利用できるデータ容量で選ぶ「マイピタ」と、最大通信速度を選びデータ量に制限がない「マイそく」がある。eSIMはどちらのプランもすべて対応している。

主力プランの「マイピタ」はドコモ回線、KDDI回線、ソフトバンク回線に対応している。ただしeSIMを使えるのは2023年1月時点ではKDDI回線のみ
画4、主力プランの「マイピタ」はドコモ回線、KDDI回線、ソフトバンク回線に対応している。ただしeSIMを使えるのは2023年1月時点ではKDDI回線のみ。

ただし、利用できる通信回線が限られる。2023年1月時点で利用できるのは、KDDI回線を使う「Aプラン」のみ。同年2月にはドコモ回線の「Dプラン」でも利用できるようにする予定だ。ソフトバンク回線を使う「Sプラン」の提供は未定。月額料金は物理SIMと同じで下記の通り。

  • ●マイピタ デュアルタイプ(音声通話+データ通信)
  • 1GB:1298円
  • 5GB:1518円
  • 10GB:1958円
  • 20GB:2178円
  • データ追加料:55円/100MB(最大1.5Mビット/秒の使い放題オプションあり)
  • 通話料:22円/30秒(*通話定額オプションあり)
  • ●マイピタ シングルタイプ(データ通信のみ)
  • 1GB:880円
  • 5GB:1265円
  • 10GB:1705円
  • 20GB:1925円
  • データ追加料:55円/100MB(最大1.5Mビット/秒の使い放題オプションあり)
  • ●マイそく デュアルタイプ・シングルタイプ共通
  • ライト(最大300kビット/秒):660円
  • スタンダード(最大1.5Mビット/秒):990円
  • プレミアム(最大3Mビット/秒):2200円
  • 通話料:22円/30秒(通話定額のオプションあり)

日本通信は音声付き、かけ放題プランも。

日本通信は「日本通信SIM」ブランドで、2022年4月6日からeSIMを提供している。

日本通信のウェブサイトには、eSIMを使い始める手順について詳しく紹介するページがある
画5、日本通信のウェブサイトには、eSIMを使い始める手順について詳しく紹介するページがある。

eSIMを利用できるのは、下記のプランで、いずれもドコモ回線で音声通話も利用可能。申し込み後に住所確認コードを郵送で受け取る必要があるため、開通までには数日かかる。

  • ●合理的シンプル290プラン
  • 月額料金(1GB付き):290円
  • データ料:220円/1GB
  • 通話料:11円/30秒(*通話定額オプションあり)
  • ●合理的みんなのプラン
  • 月額料金(6GB):1390円
  • 追加データ料:275円/1GB
  • 通話料:70分まで無料(超過後は11円/30秒)
  • ●合理的20GBプラン
  • 月額料金(20GB):2178円
  • 追加データ料:275円/1GB
  • 通話料:70分まで無料(超過後は11円/30秒)
  • ●合理的かけほプラン
  • 月額料金(3GB):2728円
  • 追加データ料:275円/1GB
  • 通話料:国内通話かけ放題

LinksMateは様々なデータ容量を選べる。

LogicLinks(ロジックリンクス)の「LinksMate(リンクスメイト)」は、主にゲームを楽しむ人向けのサービスだ。ドコモ回線を利用しており、eSIMは2021年10月から提供する。オンラインで本人確認を済ませるeKYCに対応し、申し込み当日から利用できる。

LinksMateのeSIMは申し込み当日から利用できる
画6、LinksMateのeSIMは申し込み当日から利用できる。

LinksMateは1カ月に使えるデータ量を細かく分け、多くのプランを用意する。eSIMでも様々なデータ容量のプランを選択できる。ここでは一部の料金を掲載する。

  • ●音声通話+SMS+データ通信
  • 1GB:737円
  • 3GB:902円
  • 5GB:1210円
  • 10GB:1870円
  • 20GB:2970円
  • データ追加料:88円/100MB、550円/1GB
  • 通話料:11円/30秒(通話定額のオプションあり)
  • ●データ通信のみ
  • 1GB:385円
  • 3GB:550円
  • 5GB:858円
  • 10GB:1518円
  • 20GB:2618円
  • データ追加料:88円/100MB、550円/1GB

HISモバイルは月額290円から。

H.I.S.Mobileの「HISモバイル」は、2022年8月からeSIMを提供している。ドコモ回線を使うサービスで、音声通話付きプラン「自由自在290プラン」のみがeSIMに対応する。オンラインで申し込めるが、郵送される住所確認コードで本人を確認する必要がある。利用できるようになるには数日を要する。月額料金は下記の通り。

  • ●自由自在290プラン
  • 1GB:550円(100MB未満の月は290円)
  • 3GB:770円
  • 7GB:990円
  • 20GB:2190円
  • 50GB:5990円
  • データ追加料:200円/1GB
  • 通話料:9円/30秒(*通話定額オプションあり)
ウェブサイトにeSIMの動作確認済みの端末や、申し込みから利用開始までの流れなどが掲載されている
画7、ウェブサイトにeSIMの動作確認済みの端末や、申し込みから利用開始までの流れなどが掲載されている。

使い方に合う容量のプランがあればMVNOがお得。

MVNOは大手キャリアよりも安い料金で利用できることが利点だ。ただし、キャリアもサブブランドやオンライン申し込み専用の割安な料金プランを用意し、MVNOと競合する構図になっている。これは物理SIMだけでなく、eSIMも同様だ。MVNOのeSIM対応プランと大手キャリアのオンラインプランの料金を比べてみた。

eSIMを使えるMVNOの主な料金プランと大手キャリアのオンライン専用プラン
 
eSIMを使えるMVNOの主な料金プランと大手キャリアのオンライン専用プラン
 

各社のサービス内容や通話料、オプションサービスが異なるため単純には比較できないものの、MVNOは自分の使い方に合ったデータ量のプランがあれば割安感がある。ただし、1カ月のデータ量が3GBほどで足りるのであれば、povo、LINEMOのミニプラン、楽天モバイルもMVNOとほぼ同水準の安さといえる。

MVNOのeSIMは、データ通信のみのプランも選べる。大手のオンラインプランはデータ通信のみのプランは提供していないので、MVNOのお得感が増す。

MVNOのデータ専用プラン。
MVNOのデータ専用プラン
 

MVNOのデータ通信プランは、1GB当たりの料金が安く、メインで契約するプランのデータ量を使いきった場合に補足するものとして使うにはちょうどいい。IIJmioのギガプランならデータ追加料も220円/1GBと安い。mineoのマイピタは、月額385円(10GBコース以上は無料)で、最大1.5Mビット/秒のデータ通信が使い放題になるオプションも追加できる。

ただし、スマホが物理SIMとeSIMの併用に対応していても、実際には併用できない場合があるのは要注意だ。例えばiPhoneではMVNOのSIMを使う場合に、APN(アクセスポイントネーム)を構成するプロファイルのインストールが必要になる。このプロファイルは1つしかインストールできず、新たにインストールするには、既に入っているものを削除しなければならない。

大手キャリアのSIMでiPhoneを使う場合、このプロファイルは要らないので、MVNOのeSIMを追加して併用できる。しかしMVNOのSIMを挿して、プロファイルをインストールして使っている場合は、MVNOのeSIMのプロファイルを追加できない。

IIJmioのWebサイトには、2つのSIMを併用する場合の設定手順を確認できるようになっている
画8、IIJmioのWebサイトには、2つのSIMを併用する場合の設定手順を確認できるようになっている。
 
LinksMateのWebサイトには「APN構成プロファイルのインストールを必要とする他社のSIMカード、eSIMとの併用はできません」と記載されている
画9、LinksMateのWebサイトには「APN構成プロファイルのインストールを必要とする他社のSIMカード、eSIMとの併用はできません」と記載されている。

MVNOとMVNOという組み合わせに限らず、物理SIMとeSIMを併用したい場合は、あらかじめ各社のWebサイトの注意事項などを読んで、自分が利用したい組み合わせで使えるかを確認しておこう。


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