○ 斜め方向からの聞きやすさに驚いた。
サウンドファンは2023年10月20日、音が聞き取りやすくなるスピーカーの新版「ミライスピーカーStereo」を発売した。同製品は弧を描くように湾曲させた振動板が特徴だ。この振動板から出た音は、一般的なスピーカーの音よりも聞こえやすいと感じる人が多いという。サウンドファンが実施したアンケートでは、87.9%の人が聞こえを改善できたという結果だった。
一般的なスピーカーは「コーン」と呼ばれる円すい形の部品を振動させて音を出す。一方、ミライスピーカーは長方形を湾曲させた振動板から音を出しており、「180度まんべんなく強い音が出る」(サウンドファンの田中宏取締役研究開発生産本部本部長)。
ただし、なぜ聞こえやすくなるのかは研究中であり、「まだ科学的に解明できていない」(田中取締役)という。筆者はサウンドファンから発売されたばかりのミライスピーカーStereoをメーカーから借りることができた。ここではレビューをお届けしたい。
入力端子やリモコンはとてもシンプル。
ミライスピーカーStereoは音を出す振動板が左右に備わっている。本体は黒色だ。従来製品である「ミライスピーカーHome」は振動板が白く、サウンドファンによれば「振動板の特性を変更せずに色を黒くするのに苦労した」という。黒い振動板により、製品全体が黒色に統一されて高級感が出ているように感じる。
本体サイズは、幅542×高さ87×奥行き160mm。ミライスピーカーHomeの出力方式はモノラルだったが、新版はステレオである。音声入力はアナログ端子に加えて、光デジタル端子を搭載する。
背面にある端子などは、とてもシンプルで分かりやすい。背面には、電源スイッチと電源端子、入力端子(デジタルとアナログ)のみで構成される。またミライスピーカーStereoにはリモコンが付属する。リモコンもとてもシンプルである。電源ボタンと音量のプラス/マイナスのボタンの3つのみだ。こうした作りは、機械が苦手な人でも楽に設置できるように「あえてシンプルにした」(サウンドファン)という。
筆者はテレビのすぐ前にミライスピーカーStereoを設置し、光デジタル端子を用いて接続した。テレビの正面1~2m付近で聞いてみると、テレビに備え付けられているスピーカーと差は感じなかった。筆者の主観になるが正面で聞くと、むしろややこもって聞こえるように感じた。ミライスピーカーStereoを配置した位置がテレビに備え付けられているスピーカーよりも下にあるからかもしれない。はっきりとした理由は分からない。
部屋のどこにいても聞こえる。
一方、テレビの斜め前に移動すると、はっきりと聞こえ方の違いが分かり驚いた。田中取締役はミライスピーカーStereoの特徴を「音が遠くまで届く。音量を上げなくても言葉がはっきり聞こえる」と説明するが、まさにその通りだった。
筆者がミライスピーカーStereoを設置した部屋には台所がある。テレビ正面からの角度でいうと30度付近に台所があり、これまで食器などを洗っているとテレビの音は聞こえづらかった。しかしミライスピーカーから出る音ははっきりと聞こえた。部屋の隅にいてもテレビの音が聞こえ、部屋全体に音が伝わっているように感じた。
ミライスピーカーStereoの価格は3万9600円(税込み)と筆者には高価に感じたが、テレビの音の聞き取りやすさは確実に良くなった。最近テレビの音が聞こえづらい、部屋のどこにいてもテレビの音を聞きたい――といった人は、ぜひ試してもらいたいスピーカーである。