たたらワークス★漫画・ドラマ・小説のネタバレ感想

乾緑郎著『鷹野鍼灸院の事件簿』あらすじと感想。作者が鍼灸師だけにリアル

乾緑郎さんの『鷹野鍼灸院の事件簿』のあらすじとネタバレ感想。
乾緑郎さんと言えば映画化した『完全なる首長竜の日』が有名だが、『鷹野鍼灸院の事件簿』は乾さんの鍼灸師としての知識が詰め込まれていて興味深い。
ダイエットのツボがないことをこの本を読んではじめて知ったよ。


『鷹野鍼灸院の事件簿』

著者:乾 緑郎
発行:株式会社宝島社
   (宝島社文庫)
センニチコウ画像 tataraworks



『鷹野鍼灸院の事件簿』あらすじ 

鷹野鍼灸院は、院長の鷹野夏彦(たかの・なつひこ)と助手で新米鍼灸師の五月女真奈(さおとめ・まな)の2人だけで切り盛りしている。
鷹野は往療に出ることが多く、実質真奈が1人で患者対応することがほとんどだ。
ある日、安産のお灸を受けに来た史恵に真奈が施術していると、往療から戻った院長の鷹野は念のための経過確認を史恵に申し出る。
真奈にしてみれば若干腹立たしくもあったが、妊婦というデリケートな体を扱う以上、鷹野にも診てもらった方がいいと考える。
そして、鷹野の予想通り、史恵の夫がやって来て施術をやめるように言う。

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…

『鷹野鍼灸院の事件簿』ネタバレ感想 

殺人事件がからむミステリーではないが、真奈が関わる人々は何らかの問題がある。
新人鍼灸師の真奈は好奇心旺盛で、そういう部分に首を突っ込んでいく。
でも、経験値も少なく未熟な真奈が簡単に解決できるわけもなく、最終的に真奈から話を聞いた鷹野がヒントを出したり解決したりするわけで、そこら辺は真奈の成長の物語でもある。


鍼灸の治療に関しては、作者の乾緑郎さんが本物の鍼灸師でもある為、リアリティーがあって面白い。
ダイエットのツボがないとは…知らなんだ。
テレビや雑誌でよく見かけている気がしてたけど、騙された気分になった。


世の中には図々しい人がいる。
真奈が一度だけのつもりでご近所さんの絹枝に、母・真紀子の安請け合いで鍼灸治療をしたところ、当然のように家にやって来てただで治療をせがまれるようになった。
オバサンになると本当に図々しいので、こういうのはよくあることだ。
オバサンの申し出には、最初は言いづらくても、期限や回数などをキッチリ伝えておく必要がある。
職場にもこういう人はいて、「あなたがやってくれるんじゃないの」と半ばマウント気味に仕事を押しつけてくる人がいる。
だが、こちらが手伝ってあげたとしても、あちらが手伝ってくれることはない。
そして思い通りにいかないと拗ねる。
オバサンとはそういう生きものだ。

モンスターのような絹枝は余計なお世話で真奈に自分の甥を紹介する。
あの絹枝の親戚ということで全く乗り気ではない真奈は雑な格好にノーメイクで初対面を果たすのだが、思いのほか絹枝の甥・吹石修一が優良物件であった。
動物病院の経営者の吹石から治療に鍼灸を取り入れたいと話があり、真奈はレクチャーをすることになる。


絹枝の余計な情報に加え、何度か会ううちに吹石に好意を抱くようになる真奈。
義肢であることを伝えようかどうしようかと思案しているうちにあっさり失恋。
何のことはない。
吹石は患畜の飼い主の女性に恋をしていて、その治療に鍼灸の知識が必要だった為、一生懸命真奈の話を聞いていのだ。


吹石は、真奈を宝石店に連れて行ってお礼だと言ってネックレスをプレゼントしたりするのだから勘違いしても仕方ない。
告白する前に失恋って……キツイな。
でも、余計な事を言わずにすんで良かった。
うっかり告白して、相手に困惑の表情を浮かべられたらその方がもっとキツイ。


結局彼氏ができることもなく、真奈の1年は過ぎていくのだけど、最後にとても嬉しいことがある。
成長物語の1巻だった。



ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

コメントを投稿するにはgooブログのログインが必要です。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「小説のあらすじ・ネタバレ感想」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事