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『きみと見つめる、はじまりの景色』あらすじ・感想|騎月孝弘著

騎月孝弘著『きみと見つめる、はじまりの景色』あらすじと感想。
高校生になったら自分を変えたい、新しい事を始めたい、と入部した弓道部。
己と向きあう弓の道と初恋の物語。

『きみと見つめる、はじまりの景色』

桜の写真 tataraworks
■著者:騎月孝弘
■発行:スターツ出版株式会社
■発売日:2018年4月28日



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『きみと見つめる、はじまりの景色』登場人物

『きみと見つめる、はじまりの景色』あらすじ・ネタバレ感想




『きみと見つめる、はじまりの景色』登場人物

●葛城 秀(かつらぎ・しゅう)
 浜松第二高等学校通称ニ高の1年生
 弓道部の見学であずみに一目惚れ
●真野あずみ(まの・あずみ)
 弓道初心者。弓道部に入部
●夏目彼方(なつめ・かなた)
 成績優秀で見た目も良い
 弓道部に入部
 新入生代表の挨拶で「僕は犬になります」

●佐伯清太(さえき・せいた)
 みんなから「セイタ」と呼ばれている
 弓道部のムードメーカー
●士野マリア(しの・まりあ)
 弓道部の3年生で金髪、口癖は「バカ」
 試合になると“早気(はやけ)”が出る

●柊(ひいらぎ)
 40代の物理教師で弓道部顧問
●川中弓具店の店主と妻
 店主は二高弓道部初代主将だった

●秀の両親
●ホシナ
 あずみとは中学時代に因縁あり



『きみと見つめる、はじまりの景色』あらすじ

中学時代はサッカー部に所属していた葛城秀は、十分に力を発揮することができなかったことに後悔があった。
高校では新しいことに挑戦しようと決意。
そんな秀の目に弓道部の先輩達の道着姿は眩しく映る。


部活動の見学で弓道部を訪れた秀は、矢のない弓を持ち、射位に並ぶ。
すると、前に立つ女子・真野あずみがふいに振り返って秀を見た。
目が合った秀はあずみに一目惚れ。
だが、自分の後ろに立っていたのが、新入生代表でいかにも女子に好かれそうな容姿の夏目彼方だったことに気づき……。



『きみと見つめる、はじまりの景色』ネタバレ感想

私も高校生の頃、弓道部に憧れを抱いた。
いや、弓道だけでなく剣道部にも憧れた。
袴姿がとてもカッコ良かったからだ。
クラスメイトが弓道部に入っていたのだが、道着と弓を持った姿が本当に「凛」としていてとても大人っぽく見えた。
不思議と背が低い人も大きく見えた。


葛城秀は先輩達の姿に憧れ弓道部に入り、イケメンの夏目彼方と友達になる。
彼方は新入生代表の挨拶で
「僕は犬になります」
(16ページ)
と言う第一声を放ち、生徒達をざわつかせ教師達の顔面を蒼白とさせた。
もちろんその後は立派な演説へと続く。
犬の1年は人間の7年に相当することを例に挙げ、これからの高校生活3年間を7倍の濃度の深い時間にするとスピーチするのだ。
そしてスピーチ通り、彼方は本気で7倍濃度の高校生活を送ろうとする。


彼方は秀に全国を目指そうと言う。
まだろくに弓を握ってもいないうちから大きな目標を掲げられたら、情熱が暑苦しくて引いてしまいそうだ。
秀には、自分を変えたい、変えよう、という強い想いがあったから、彼方と同じ目標を持つことができた。
彼方は、マラソンをしながら日本史の重要人物の名前をそらんじたり一度に複数の事をこなそうと頑張る。
一番の友人のそんな姿を見たら自分も頑張らないわけにはいかない。
切磋琢磨できる良い友達関係だと思う。


頭が良くて大人びている彼方は、いつも他の人の気づきなるようなことを言う。

「打算じゃないんですよね、弓道って。プロ目指してとか、それで儲けたいとか、就職が有利とか、そういうの、ないじゃないですか。でも、それでも、やる意義を自分で決められるのって楽しいし、気楽です」
(48ページ)

確かに、弓道にはオリンピックも関係ないし、宣伝に繋がるわけでもないから社会人の部があるわけでもない。
自分と向きあうスポーツだ。


潔い。
剣道とか合気道とか、日本の武道は、誰かを倒してイエーイと喜ぶよりも己の精神的な弱さと向きあうもののように思う。
メリットとか打算とか関係ない、その潔さがカッコイイ。

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…

ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

コメント一覧

tataraworks-lynx50
@29qlove ラムネちゃんとキーちゃんのママん様、コメントありがとうございます。
なんとっ!弓道部だったのですか!?カッコイイ( ´艸`)
実は、京都アニメーション制作の『ツルネ』というアニメを見て高校生の頃に憧れたのを思い出して、弓道ものの小説を読んでみたのです。
弓道経験者なら弦音のカッコ良さって分かると思いますが、私は何と言っても弓を構える前の立ち姿が好きです。
背筋がスッと伸びて、精神統一するかのような特別な空気をまとった立ち姿が美しくて…。
ちなみに私の友達は、今は弓は引かず合気道をやっています。
袴好きなんですかね(笑´∀`)
tataraworks-lynx50
ヌマンタ様、コメントありがとうございます。
日本の弓は独特なのですね。
知りませんでした。
やはり刀の方がインパクトがあるのでしょうね。
弓は地味な感じがしますもの(~_~;)
29qlove
高校時代、私も弓道部で打つ矢に自分の心を見出そうとしていました(^^)
たたらさんが書かれてあるように、他のスポーツと違って常に自分の心の乱れとか、邪な心との闘いのスポーツです。洋弓の様にカッチリお決まりの狙いやコースなど無く、自分が乱れていれば飛んでく矢も乱れ、おかしなことに。(^_^;)
スっと何事も無かったように弦から指を離すって、至難の業なのです。
どうしても力んだり、自分の思うコースにねじ曲げようとしてしまったり。力もないのに矢を飛ばせる為に弾いてしまったり。そんな浅い心を戒めてくれる弓と矢だった気がします(^^)
ヌマンタ
私は違う意味で弓道に憧れました。鉄砲が普及するまでは、弓こそが最も殺傷力の高い武器でした。特に日本の弓は独特で、中央アジアの騎馬民族や、欧州の弓ともことなる思想で作られ、それゆえに弓道として今日も存在しています。侍は剣よりも弓や槍で戦ったこと、なぜかあまり知られていないのが残念です。

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