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要はる著『ある朝目覚めたらぼくは』シリーズのあらすじ・ネタバレ感想

要はるさんの『ある朝目覚めたらぼくは』シリーズあらすじ・ネタバレ感想。
現実味がなさそうで、ところどころ垣間見える主人公の過去が結構キツイ。
『ある朝目覚めたらぼくは ~機械人形の秘密~』は愛情を探すお話で、『ある朝目覚めたらぼくは ~千の知恵・万の理解~』は悪意との闘いでもあり、自分の居場所探しのお話だったと思う。


『ある朝目覚めたらぼくは』シリーズ 

著者:要はる
発行:株式会社集英社オレンジ文庫
ミモザの画像 tataraworks

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『ある朝目覚めたらぼくは』シリーズあらすじ・ネタバレ感想


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『ある朝目覚めたらぼくは~機械人形(オートマタ)の秘密~』

●あらすじ
赤ん坊の頃に両親が交通事故で他界し、施設や父方の親戚の家をたらい回しにされ育った坂垣遼(さかがきりょう)は、高校を退学し『エデン』へとやって来た。


学生の駆け落ち結婚だった為、母方の祖父母は遼を引き取ることを拒んだが、遼が8歳の頃に母方の祖父・坂垣賢蔵(さかがきけんぞう)が迎えに来てくれた。
以来、一緒に暮らした祖父が亡くなった。
祖父はエデンにアンティーク雑貨の店『エトワール』を開店予定だった。
遼は店を引き継ぐ為、エデンで暮らすことに決めたのだ。
そして、子供の頃から”仲間”として大切にしてきた自動人形(オートマタ)を店の出窓に飾ったことで、遼の運命が大きく変わる。


出窓のオートマタを見た『オルゴール館・かなで』の館長で、エデンの所有者でもある遠江(とおとうみ)家のお嬢様・遠江きらに突然抱きつかれてしまう。
きらは、人形は「ララ」と言う名で、元々きらの物であり返してほしいと言う。
”仲間”だった人形との別れに戸惑うものの所有者に返すことにした遼に、きらはWEBサイトに書いてあったことをどう考えているか尋ねる。
遼は、「できるだけ早くしたい、と考えています」(38ページ)と答える。
その晩、『エトワール』の2階には、白い猫とウエディングドレスをまとったきらと、きらを止めようとする若い男2人、そして…強盗がやって来た。

●感想
遼は本当の祖父である賢蔵さんのことを一度も「おじいさん」と呼べないまま永遠の別れを迎えたことを苦しく思っていた。
賢蔵さんのことが好きだったけれど、彼こそが両親の結婚を反対していたことや、両親の死後、遼の引き取りを拒んだことを耳にしており、賢蔵さんの本心が分からずにいた。
イマイチ信用できなかったってことだね。


あまり幸せな子供時代を過ごせず、大人に嫌われないように明るく、愛想の良い子供を演じてきた遼。
エデンできらや彼女の親戚の篤(あつし)、京平(きょうへい)と関わるうちに、他人と一緒に過ごすことを楽しいと思うようになる。
大きな幸せではないけれど、緊張せずにごはんを食べられるのって幸せだよね。


賢蔵さんが何故8年も経ってから遼を引き取ったのか分からずじまいだけど、きらのおかげでそんなことはどうでもよくなる。
きらは賢蔵さんから、引き取った後の遼が初めておかわりをしたのがお味噌汁だったことを聞いていた。
賢蔵さんが、パンでもごはんでも朝食に必ずお味噌汁を作ってくれたのは遼の為だったと分かって、遼は自分が愛されていたことに胸が熱くなる。
そして、おじいさんの愛情がある限り、自分は独りぼっちではないと知る。


愛情表現は分かりやすい方がいい。
離れて暮らしていたり、複雑な環境があったりして、遼も賢蔵さんも相手の気持ちに踏み込めなかったんだろうな。
だから、どこか不安。
自分の気持ちを思い切って言葉にできていたら、遼も賢蔵さんを「おじいさん」って呼べたかもしれないなぁ。

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『ある朝目覚めたらぼくは~千の知恵・万の理解~』

●あらすじ
『エデン』に引っ越して来た坂垣遼は、唯一挨拶ができていなかった『占いの館』の<おんバァ>さんこと恩田(おんだ)フミを訪ねることにする。
その事を告げると、遠江篤(とおとうみあつし)に空のリュックを背負わされる。
道すがら、遼がおんバァさんを訪ねることを知った人達は遼を引き止め、何かしらおんバァさんに渡してほしい物を遼に預ける。
篤が貸してくれた大きめのリュックは、おんバァさんの占いのお礼の品でいっぱいになり、品物を入れる為にスーツケースを貸し出してくれる人まで現れた。


『占いの館』までは徒歩20分程で着くはずだが、遼は迷いようがない一本道を1時間以上歩いている。
不安にかられた遼の前に、双子の小学生・千恵(ちえ)と万理(まり)が現れる。
遼は少女達と『占いの館』へ向かうが、辺りは自分の手さえ見えない程の濃いモヤに包まれる。
少女達が「嫌われているから館に行けない」と帰ってしまうと急にモヤが晴れる。


首をひねりながらも遼は『占いの館』を見つけることができたのだが、そこには金髪でミニスカートの先客がおり、ドアの外で声を荒げている。
遼が来たことで女性は引き上げるが、後に『占いの館』を訪ねてから行方不明になったと騒動が起きる。
ネット上ではおんバァさんに対する誹謗中傷があふれる。
そして、おんバァさんも居所が分からなくなり……。

●感想
おんバァさんはとても良い人で、エデンの守り神のように思われている。
千恵や万理はおんバァさんの従兄の孫で、名前はおんバァさんがつけた。
おんバァさんこと恩田フミは偽名で、本名は五十嵐瞳子(いがらしとうこ)と言う。
政治家の汚職を明るみに出そうとして失敗し、身を隠さねばならなくなった。
そんな瞳子さんを助け、エデンに連れてきたのがきらのおじいさんだ。


この巻『ある朝目覚めたらぼくは ~千の知恵・万の理解~』では、遼の子供時代や千恵と万理を取り巻く環境、おんバァさんの過去が描かれている。
遼は小さい頃、引き取ってくれた男に泣き止まないことを理由に刃物で肩を刺されたことがある。
千恵と万理は変わり者すぎて周囲から理解されず、引っ越してから不登校だ。
2人は母親の悩みの種であった。


子供が、自分がいると迷惑がかかるとか、自分は嫌われている、と自己否定するのって辛いことだ。
だから、千恵と万理の双子は、自分を肯定してくれる存在として名前をつけてくれたおんバァさんを慕っていたんだろうな、会ったことがなくても。
双子が遼を好きなのも、彼が2人のことを否定しないからだろうな。
最終的に皆が居るべき場所に落ち着けて良かったなと思う。


以上、『ある朝目覚めたらぼくは』シリーズのあらすじと感想でした。

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ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

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