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平手友梨奈主演でドラマ化!〖風の向こうへ駆け抜けろ〗あらすじ・感想

平手友梨奈主演でNHKでドラマ化!
古内一絵著〖風の向こうへ駆け抜けろ〗あらすじ・ネタバレ感想。
元八百長ジョッキーと噂される調教師、厩務員は80過ぎの老人、エセ関西人、酔っ払い、失声症の美青年、そして勝てない馬たち。
藻屑の漂流先と言われる廃業寸前の厩舎から桜花賞に挑む新人女性騎手の物語。


〖風の向こうへ駆け抜けろ〗

著者:古内一絵
発行:株式会社小学館
桜の写真 tataraworks

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〖風の向こうへ駆け抜けろ〗あらすじ・ネタバレ感想



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〖風の向こうへ駆け抜けろ〗登場人物 

<緑川厩舎>
●芦原瑞穂(あしはら・みずほ)
 地方競馬教養センターを卒業→緑川厩舎へ
 鈴田競馬場初の女性ジョッキー
 “薔薇の騎士”として広告塔扱い

●緑川光司(みどりかわ・こうじ)
 緑川厩舎の調教師(社長にあたる)
 少し足を引きずっている
 やる気が一切感じられない
 元は中央で活躍したジョッキーだった

●徳永/“トクちゃん”
 エセ関西人でスーパーポポロン担当
●山田の“ゲンさん”
 酔っ払いで担当はツバキオトメ
 誠を喋らせたい
●蟹江/“カニ爺”
 先代の時代から緑川厩舎で働いている
 80過ぎだが年寄り扱いすると怒る
●木崎 誠(きざき・まこと)
 美形だが失声症で馬にしか興味がない
 実は保護観察中の身

<鈴田競馬の馬主>
●溝木(みぞき)
 鈴田一の馬主
 鈴田の女馬主はたいてい溝木の愛人
●奈保美(なほみ)
 ベルフォンテーヌの馬主
 瑞穂を騎手として認めていない
 実は溝木の愛人の一人
●船井(ふない)
 薬局の店主で一口馬主だった
 フィッシュアイズの馬主になる

<ジョッキー>
●池田
 鈴田競馬場のリーディングジョッキー
 (最多勝利騎手)
●鍋島
 鈴田の最年長ベテランジョッキー
●神崎 護(かんざき・まもる)
 JRAのリーディングジョッキー
 光司の競馬学校時代の同期
●平 陽介(たいら・ようすけ)
 地方競馬教養センターの瑞穂の同期生
●御木本貴士(みきもと・たかし)
 瑞穂と同期デビューの新人で栗東所属
●市橋
 中央で親切に瑞穂に声をかけてくれた

<そのほか>
●大泉(おおいずみ)
 鈴田競馬場の主催者である鈴田市の職員
 広報課所属
 瑞穂にアイドルとしての価値を求める
●光司の知人の厩務員の谷

<緑川厩舎の馬>
●ツバキオトメ
 ゲンさんが担当する高齢(18歳)の馬
●スーパーポポロン
 トクちゃんが担当する臆病な馬
●フィッシュアイズ
 白い面を付けたような顏で目が黒くない
 魚目(さめ)で風貌が怖い

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〖風の向こうへ駆け抜けろ〗あらすじ 

日本には、国営競馬を引継ぐ日本中央競馬会(JRA)が主催する中央競馬と、地方自治体が主催する地方競馬がある。
那須塩原市に位置する地方競馬教養センターを卒業した芦原瑞穂は、広島県の鈴田競馬場へ転厩になる。
候補生達の所属厩舎を決める為に毎年教官達が奔走しており、新人ジョッキーが厩舎を選り好みなどできるはずもない。
瑞穂には、プロとして迎えられる職場があることが有難かった。


古びた駅に降り立った瑞穂を緑川厩舎から迎えに来たトクちゃんは随分あっけらかんとしていてあやしい関西弁を話す。
馬房でイビキをたてて眠っている酔っ払いのオッサン、やたら声が大きい老人、失声症の美貌の青年と、緑川厩舎で働く人々は他では受け入れられない変わり者ばかり。
何より調教師の緑川光司に全くやる気が感じられないのだから困ったものだ。
そんな緑川厩舎は鈴田で“藻屑の漂流先”と言われていた。


ダメダメな空気が漂う厩舎では馬もまたダメダメでとても勝てそうにない。
だが、瑞穂に課せられた使命は地方競馬の知名度を上げること。
その為に『女であること』が最大の価値として鈴田に迎えられた瑞穂には、勝つことは期待されていなかった。


ある日、鈴田一番の馬主でもある溝木に呼び出された瑞穂が抵抗したことで、溝木は緑川厩舎から馬を引き上げてしまう。
圧力をかけられた緑川厩舎は廃業寸前だ。
光司は厩舎を継続する為、勝てる馬を手に入れようとする。


光司はジョッキー時代の知人を頼り、瑞穂と厩務員の木崎誠を連れ東京へ行く。
そうして牧場で出会ったのは漆黒の青鹿毛。
顏は覆面をつけたように白く、両眼が蒼白い魚目(さめ)の馬。
どう猛で暴れまくっている魚目の馬を誠が気に入り、光司は緑川厩舎へ迎える。
だが、魚目の馬の調教が始まると馬場にはトクちゃんの悲鳴が響き渡った。
魚目は人間も馬も追い回していた。

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〖風の向こうへ駆け抜けろ〗ネタバレ感想 

騎手というのは男性が圧倒的に多い。
どの業種にも言えることだが、男社会で女性が仕事をするのは大変だ。
性別が女というだけで見下される。
瑞穂もプロのジョッキーとは言え、嘲笑とセクハラに苛つく日々を過ごす。
所属厩舎の厩務員も味方とは言えない。
何より勝てないのが辛い。


広報課が用意した瑞穂の勝負服はピンク地に判子で押したような薔薇がわざわざ胸に2つあしらわれている。
あまりにダサくて着られたものではない。
この勝負服を着てレースに出る瑞穂は当然いい笑いものだ。
おまけに広報課の大泉が瑞穂になりすまして『薔薇の騎士(ローゼン・ジョッキー)』などというブログをやっている。
耐えきれず文句を言えば大泉からは、ネットアイドルになってくれなきゃ困る、と返されてしまう。
ネットアイドル…それは騎手ではない。


四面楚歌すぎる。
主催者側が瑞穂に求めているのは、女の子がお馬さんに乗ってニコニコ笑っているだけの広告塔としての役割だ。
そんなだから光司は瑞穂に気張るなと言うが瑞穂は勝ちたいのだ。
自分の仕事がしたいのだ。
女のジョッキーは稀少だから成績に関係なく潰しがきく、などと言われて喜べるはずがないではないか。


「あいつだって同じだ。どっかに男でもできれば、すぐにレースなんか投げ出すぞ。結婚だ、妊娠だって、どいつもこいつも中途半端に引退する。だから女の乗り役は定着しないんだ。俺たちは死ぬまで馬に乗るしかないが、芦原、お前は違うだろ?」
268ページで池田がまくし立てる。
昔はどの職場だって女性はこんなふうに思われていた。
どうせ辞めるのだからと腰掛け仕事しか与えられなかった。
すぐ辞めるあてにならない人間に意見やアイデアを口にする機会もなかった。


厩舎馬とは馬主のいない、馬主に見捨てられた馬のことらしい。
溝木が自分があずけた馬を引き上げた為、緑川厩舎には厩舎馬ばかり残った。
そこに人間に虐待された魚目の馬が加わるのだが、魚目は暴れ狂った。
それを止めたのが18歳の老馬ツバキオトメ。
その後、おかんと娘状態になり、魚目の馬はツバキオトメのそばで足を投げ出してグースカ眠れるほどの図太さを見せる。
瑞穂や厩務員達に大事にされていることも理解するようになる。
光司に頼まれ薬局のおじさん・船井さんが馬主になりフィッシュアイズと命名し、魚目はレースにも出られるようになる。


見た目が恐ろしく、悪魔のような馬と揶揄されたフィッシュアイズだが、好成績を残すようになると緑川厩舎の面々も前を見るように気持ちに変化が表れる。
でも、良いことばかりじゃない。
勝てる馬として溝木に目をつけられたり、鈴田のリーディングジョッキー・池田が瑞穂の代わりに騎乗したがるようになる。
中央で勝つとマスコミも群がる。
女の子扱い以外意味が無かった瑞穂だが、勝てば勝ったで様々な欲望の渦に巻き込まれてしまう。


池田がフィッシュアイズに乗りたいが為にレース中に嫌がらせを行ったことで瑞穂が落馬、フィッシュアイズも骨折はしなかったものの支柱跛行と診断される。
誠は人間のことはどうでも良いが、馬が傷つけられたことが許せない。
保護観察中の身なのに池田を一生馬に乗れないようにしてやろうと寝藁カギを掴んで出掛けて行く。
失声症で声が出ないし、見た目が美しいので大人しそうに見えるが、その内側では本人も止めようがない衝動が渦巻いている。


そんな誠を変えようとしてくれたのは酔っ払いのゲンさんだった。
てっきりゲンさんは喋らない誠が嫌いで嫌がらせのように「喋れ」と言っているのだと思っていたがそうではなかった。


「お前、そうやって黙ってっから馬になんだ。わしらと喋れ。わしはお前と話したい。お前と馬の話がしたい」
280ページでゲンさんは誠に訴える。
13歳で母親に北の競馬場に捨てられたゲンさんはゲンさんなりに誠の将来を心配していたのだ。
誠が喋らない原因はどうやら母親にあるようで、誠と母親の関係は続編の『蒼のファンファーレ』で描かれるようだ。


緑川厩舎に来た頃は暴れ狂っていたフィッシュアイズだが、レース中に瑞穂を振り落としてしまったことを悪いことをしたと思っているようで瑞穂を避けるようになる。
でも、再び瑞穂との信頼関係が築かれる。
瑞穂は廃業寸前の厩舎から中央で捨てられたも同然の魚目の馬で桜花賞に挑む。
私は競馬のことはよく知らないが、それでもGⅠ桜花賞のエピソードは泣けた。


さて、〖風の向こうへ駆け抜けろ〗のドラマは平手友梨奈さん主演でNHK総合で放送される予定だ。
放送日は、2021年12月18日(土)と12月25日(土)で、放送時間は夜9時~10時13分となっている。
原作の芦原瑞穂の父親は病気で亡くなったのだが、ドラマでは震災後に亡くなった設定のようだ。
ちなみに小説では福島は無関係だ。
正直言って福島と絡めるのはどうかなと思うのだが、ドラマも楽しみに見ようと思う。
ドラマに魚目の馬なんて出るのかな?


以上、〖風の向こうへ駆け抜けろ〗感想でした。

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ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

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