『100回泣いても変わらないので恋することにした。』あらすじとネタバレ感想。
著者は堀川アサコさんです。
実は、小さいおじさんが出てきます。
『100回泣いても変わらないので恋することにした。』のあらすじ
手島沙良は、私立博物館・静謐館に学芸員として務めている23歳。
子供の頃に父が亡くなり、母親は沙良を父方の祖父母に預けたきり音信不通。
ある日、街歩きツアーのガイド中に体長15㎝ほどの小さいおじさんを目撃する。
小さいおじさんは槇原伝之丞という地域の偉人だった。
孤独な人にしか見えない小さいおじさんとともに暮らすことになった沙良。
超イケメンのフリーライター・遠野ワタルと出会って舞い上がっている頃、音信不通だった母親が訪ねてくる。
だが、母親は東京で詐欺まがいのことをしていた上、ワタルとは愛人関係にあることが判明。
そんな時、務めている静謐館の親会社・貝森温泉グループの社長・貝森太郎が、街歩きボランティアでクレームを入れられていた轟木比斗志とともに刺殺される。
沙良は、会長の武太郎の依頼で事件の真相を調べることになる。
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『100回泣いても変わらないので恋することにした。』ネタバレ感想
『小さいおじさん(新潮文庫)』同様、ファンタジー色が強いが、個人的にはミステリー部分が好きだな。
主人公の沙良は、祖父母には大事に育てられたが、母親が結構最低なのだ。
18年間も音信不通ってのもひどいし、突然現われた理由も後妻業みたいなのに娘が利用できるからってのもひどい。
好きになった男性は母の愛人で、沙良を東京におびき寄せるために口説くように命じられていたってのがもっとひどい。
私だったら二度とこんな母親には会いたくないなぁ。
『100回泣いても変わらないので恋することにした。(新潮文庫)』でも、『小さいおじさん(新潮文庫)』同様、主人公が資産家の依頼で殺人事件の真相を探る。
殺害された貝森太郎には、赤ん坊の頃に誘拐された双子の弟がいた。
これが高校生の頃に、家政婦に誘拐された子供であると判明するのだが、育ての母を選んで貝森家には戻らなかった。
ところが40年も経つと、見た目どころか人生そのものがパッとしない不細工なおっさんになっていた。
40年経ってリストラされて生活に困っていた弟・次郎は貝森家に戻ると言うのだが、その姿を見た実母の213ページの言葉がまた悲しい。
「わたしの次郎が、こんないやなにおいがする、みすぼらしい人なわけがないでしょう」
「悪い冗談ですよ、不愉快です。あなた、この人に早く帰ってもらって」
「悪い冗談ですよ、不愉快です。あなた、この人に早く帰ってもらって」
双子でも育った環境によって、人生が大きく違ってしまったのね。
実の息子に「みすぼらしい」と言わねばならないお母さんも気の毒。
人間関係を表すエビソードは暗くて重いのだけど、読むのが辛くならないのはファンタジーベースのせいだと思う。
小さいおじさんやら河童やら登場するので、それほど嫌な気持ちにならない。
ただ、『100回泣いても変わらないので恋することにした。』というタイトルは…内容に合っていないような気が…。
なぜ『小さいおじさん2』ではないのだろう?
そして、一応ハッピーエンドで終わるのだけど、個人的には納得いかない。
付き合っても結婚しても、必ず母親とのことがチラチラチラチラ頭に浮かんでくるだろうのに。
ほんとにあの男でいいの?
以上、『100回泣いても変わらないので恋することにした。(新潮文庫)』のあらすじと感想でした。
ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)
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