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『死神のノルマ 二つの水風船とひとりぼっちの祈り』感想。何度も泣ける

宮田光著シリーズ第2弾『死神のノルマ 二つの水風船とひとりぼっちの祈り』あらすじとネタバレ感想。
白血病が完全寛解後、無為な毎日を過ごしていた響希は死神の下請け・ケイの仕事を手伝いながら成長していく。


『死神のノルマ 二つの水風船とひとりぼっちの祈り』

著者:宮田光
カバーイラスト:海凪コウ
カバーデザイン:西村弘美
発行:株式会社集英社(オレンジ文庫)
『死神のノルマ 二つの水風船とひとりぼっちの祈り』 tataraworks

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『死神のノルマ 二つの水風船とひとりぼっちの祈り』あらすじ・ネタバレ感想


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『死神のノルマ 二つの水風船とひとりぼっちの祈り』登場人物

●志田響希(しだ・ひびき)
 14歳の誕生日に急性白血病で入院
 完全寛解し現在は大学生
 右耳が聞こえないが霊の声は聞こえる
 死神の下請け・ケイの仕事を手伝う

●ケイ 本名は一条啓(いちじょう・けい)
 18歳の時に死神と下請け契約し12年経過
 人間に戻る為に死神のノルマを達成したい

●ルリオ
 陽気で気さくなナイスバード(本人談)
 喋るイケメンオオルリ(本人談)
 ケイの相棒の青い鳥

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●一条晴一(いちじょう・はるいち)
 響希と同じ学部で英語のクラスメイト
 実はケイの義理の弟
 響希をアルバイトに誘ってくれる

●響希の両親

●死神
 ケイと契約を交わした死神
 右目は金色、左目は銀色
 燕尾服を着ている
●ジョイ
 死神の相棒のカナリア

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●益子ゆうな(ましこ・ゆうな)
 1巻では7歳で響希の同室だった
 11歳で再発し入院、響希に会いたがる
 既に治療は止めている
●益子真美子(ましこ・まみこ)
 響希に見舞いを頼む
●益子さりな(ましこ・さりな)
 ゆうなの姉で中学生
 妹の苦しみを知る為ある危険な行動を…
●ゆうなの父

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●多田裕也(ただ・ゆうや)
 駅の忘れ物センターにいる霊
 “ユーグレ・ユーヤケ”という漫画家
 作画担当のユーヤケ裕也
 『サムライXサイボーグ』最終回原稿紛失
●木暮(こぐれ)
 “ユーグレ・ユーヤケ”のストーリー担当
 ペンネームはユーグレ木暮
 現在は漫画家はやめて会社員、妻子有り
●新山諒太(にいやま・りょうた)
 オタク
 『サムライXサイボーグ』最終回原稿所持
●諒太の母
 家から息子を追い出す
 『サムサイ』原稿をフリマに出す

●磐田みつ子(いわた・みつこ)
 呉服店にいる霊
 生前店子の内田理子に振袖を作っていた
●内田理子(うちだ・りこ)
 磐田の[コーポまんげつ]の住人
 人生を諦めている
●根岸(ねぎし)
 理子のDV彼氏

●広崎修也(ひろさき・しゅうや)
 17年前のお祭りの日に自動車に轢かれ死亡
 恋人だった琴音に会いたがる
●本川琴音(ほんかわ・ことね)
 現在は古着屋[harp]のオーナー
 婚約者がいる
●純平(じゅんぺい)
 琴音の5歳下で婚約者の鞄職人

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●はなまる食堂の店主の息子・村田
 響希のバイト関係
●加藤
 響希と一緒にかき氷販売を担当

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『死神のノルマ 二つの水風船とひとりぼっちの祈り』あらすじ

せっかくもらった命を大事にすることなく無為な毎日を過ごしていた響希だったが、死神の下請け・ケイの仕事を手伝いながら学生生活を楽しもうと前向きになりつつある。
そんな中、中学生だった響希が入院中に知り合った小学生の女の子・益子ゆうなが再び入院したことを知る。
ゆうなは既に治療を止めている。
その意味の重さに響希の母親は響希がゆうなを見舞うことを強く反対する。


霊の声を聞くことができる響希のおかげでケイが霊から重石を取り出す作業は、以前のような「穴の空いたバケツで水を汲む」ようなものではなくなった。
それはケイが死神のノルマを達成し人間に戻れる可能性が高まったということだ。
そんな折、ケイを下請けにスカウトした死神からケイと響希、2人の手に余る事はいつか起こると忠告を受ける。


ある日、ゆうなのお見舞いに病院へ行った響希は屋上から飛び降りようとしているかのような少女の姿を目撃し……。

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『死神のノルマ 二つの水風船とひとりぼっちの祈り』ネタバレ感想

たった11歳で死を受入れているゆうな。
ゆうなと同じ病気を患っていた娘・響希の再発の恐れを考えると、ゆうなの再入院と余命がわずかである現実は母親としては娘に知らせたくない。
全て娘を思えばこそだが響希にとって母の気持ちはちょっと重い。
245ページで響希は母を思いやる。
「お母さんだって怖かったよね……」
「大丈夫だよ、お母さん。私はもう、お母さんをひとりぼっちにはしない」

響希の言葉を聞いて、母親は娘が大人になったことに安堵する。


響希とケイ、そしてルリオのトリオはうまく霊の重石回収をしていた。
113ページで死神は響希のことをこう言う。
「そう。なんの見返りもないっていうのに、健気なことだよねぇ」
死神はケイの心に翳りを残してさっさと姿を消してしまう。
霊の声を聞ける響希のおかげで霊の未練が何か知ることができ、未練を断ち切る方法を考えることができる。
一方で、ケイは響希に何も返せない。
響希はゆうなのことで悩んでいたが、ケイは響希が話さない以上ズケズケと心の垣根を越えることもできない。
ケイは響希に何もしてあげられないことを寂しく思う。


余命わずかのゆうなには中学生の姉・さりながいるが、さりなは親と一緒に病院に来ても病室には顔を見せない。
さりなは死を受け入れている妹の気持ちを知りたいと思う。
その為に、わざと屋上のフェンスから上半身をはみ出したりして“死の恐怖”を感じようとする。
死ぬのは怖いと想像できる。
だけどそれがどんな怖さか分からない。
死を受け入れて覚悟を決めた人の気持ちなど分かりようもないのが本当だろう。
さりなは妹の気持ちを分かってやれないから会わせる顔がないと考える。


ゆうなはゆうなで姉に会わせる顔がないと考えている。
最初に入院した時(1巻でちょろっと出てくる)、ゆうなは7歳だった。
でも、11歳の今は、自分のせいでこれまで姉のさりなにたくさん我慢をさせてきたのだと知っている。
両親の関心は常に自分にあり、姉にはイベントも諦めてもらうことが多かった。
姉からいろんな物を奪っておきながら、その上死んでしまうことで姉に苦しみを残してしまうことを申し訳ないと思っていた。


理不尽な死と向きあう本人、その家族、何のわだかまりもない幸せな最期なんてない。
それでも受け入れなければならないとして正解なんて誰にも分からないだろう。
さりなのように一見冷たく思える行動だって相手を思いやってのことだ。
抗えないものと向きあうのは辛い。
勇気が要ることだと思う。

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ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

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