つらつら日暮らし

「聖ヴァレンタインの日」について

最近、キリスト教に於ける歳時記などを扱った書籍を手元に置くようにしたので、今日、2月14日についても調べてみた。思った内容ではなかった。確かに、キリスト教の人は、バレンタインデーについて、醒めた感じで見ているなぁ、とは思っていたのだが、理由があったらしい。

ローマ・カトリック教会では、一九六九年にこの聖人を祝日リストから削除した。だが、この日に殉教した聖人ヴァレンタインにちなんで、恋人たちが互いの愛のあかしとして花やカード、ロマンティックな贈り物を交換しあう風習は、教会の外でますます盛んになってきている。
    八木谷涼子氏『キリスト教の歳時記』講談社学術文庫・2016年、96頁


以上の通り、ローマ・カトリック教会では、既にこの日を聖ヴァレンタインの祝日にしていないという。なお、この「聖ヴァレンタイン」について、この日に殉教したという話になっているのだが、3世紀頃にローマで殉教した人のことらしい。とはいえ、この聖人は伝説上の人らしく、しかも、2~3名の候補がいるというから、本当によく分からない話らしい。

ただし、商業ベースに関わりがあるのかどうか分からないが、この「恋人たちが互いの愛のあかしとして贈り物を交換しあう風習」については、どうも、伝統があるそうで、この日には即席のカップルを作る習慣があったらしい。とはいえ、古代ローマの豊穣の神に因んだお祭りであり、14世紀以降には「恋人たちの日」とされて、18世紀には「ヴァレンタインカード」まで作られたという。

ただ、その古代ローマの祭りについては、若い未婚女性が、自分の名前を書いたクジを壺に入れて、それを引き当てた男性と1年間カップルになるという、何とも放埒な内容だったようで、当時のローマ教皇が禁止したという。いやまぁ、確かに昔にはありそうな話ではある(この辺の詳細は、八木谷氏前掲同著参照)。

日本では、菓子業界(チョコ業界)の強力な後押しによるお祭りになっているが、海外では花屋とカード業者による後押しがある祭りらしく、男性・女性の関係性も日本とは違うというのは、良く知られていると思う。とはいえ、日本でもこの辺は曖昧になってきており、いわゆる多様な内容になっているといえよう。菓子業界的には、どんな理由であれ、チョコが売れれば良いわけで、細かな決まりがむしろ売り上げを阻害するのであれば、自由な感じにした方が良いのだろう。

とはいえ、当初の「愛」や「カップル」といったような話も、こうなると本来のキリスト教に於ける「神の愛」などとの関係が、どこまで構築されるべきか迷うところだが、その布教が上手くいかなかったからこそ、「聖ヴァレンタイン」の祝日を外してしまったのかな?とか思ったが、どうなのだろうか・・・

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