つらつら日暮らし

四月一日 万愚節(令和5年度版)

例えば、昨年度もこの四月一日については、【四月一日 万愚節】という記事を書いていたりするのだが、今年度も少しく調べたことをまとめてみたい。

それで、日本では明治時代以降、欧米の様様な習慣などが国内に紹介され始めた。その中に、「万愚節」という名前で紹介されている。なお、断っていなかったが、「万愚節」とは、いわゆる「エイプリルフール」のことである。

なお、以前から興味があるのは、その起源なのだが、日本に紹介した研究者とか、留学経験者達はちょっと苦労なさった印象がある。

この戯れは独り英国のみではなく、大陸の方でも盛んに行はれるが、何うしてこんな馬鹿らしい風習が起つたのか、その因縁はよく分つて居らぬ、
    梅城生「英国の四月」、『新国民 1(1)』大日本国民中学会・1905年、収録


まずは、以上の記事の通りだが、由来は良く分かっていないと明言されている。確かに、この報告者は、「万愚節」を、この「馬鹿らしさに及ぶものは復たとあるまい」とするほどである。なお、上記の文章だが、ちゃんと読んでいくと、「好事者流の推測」が示されている。

昔しクライストが猶太人に迫害されて、甲の地から乙の地、乙の地から丙の地と、嘲弄侮慢の的となつて、備さに漂泊の苦を嘗めた故事から由来したのであらうと云ふことだ、
    前掲同文


・・・クライストとは、要するにイエス=キリストのことであり、イエスがユダヤ人に迫害された時の故事に由来するとのことだが、これは?

手元にあるキリスト教の歳時記系の書籍を一通り見てみたが、4月はいわゆるイースターに関連した日付の紹介が多く、4月1日に因む指摘は見当たらなかった。よって、多分関係が無い・・・と断言出来る情報も無いが、とはいえ積極的にいうべき起源とは言えない。

元来此戯れは印度に起りたるものにして印度にては印度暦三月晦日を以て行はれしものなり起原は恐らく羅馬の伝説ならんかといふ。此日の被愚老者を『四月馬鹿』と称す。
    「今月の注意:●All fools day」、『実業の世界 12(7)』実業之世界社・1915年4月1日号


こちらにも由来に関する指摘があるのだが、今度はローマの伝説かもしれない、といっている。さて、これはどうなのだろうか?確かに、ネットで調べると、関連する指摘も見られるようだが、ただ、そうかもしれないと書いてある文章が見られる程度で、典拠となる文献などを示していない。よって、確定は出来ないといえよう。

以前は欧州全体に此習慣が行はれたもので、欧州に於ける昔の三月廿五日の新年祭と関係のあるものである。
    ウイリヤム・イー・ラキソン・スヰート, 飯島東太郎著『英国風物談』大日本図書・1918年


そうそう、今、ネットで調べても、この「新年祭」との関係を挙げる説もある。16世紀のフランスのシャルル9世に因むという話らしいが、どうも、万愚節の起源の1つという程度で、実際のところは良く分からないらしい。まぁ、おそらくはエイプリルフールに、エイプリルフールの起源が語られたとしても、それ自体、正確かどうか分からないわけで、不明ということだろう。

4月1日、冗談はほどほどに AI進化で見抜けず?識者警鐘(時事通信)

最近、拙ブログでもAIについて書くことが多いが、その進化によって、この日の「ウソ」も凝ったものがあるらしい。要するに、ディープフェイクということなのかもしれないが、確かに当方でも参照した資料、一応、全て典拠を引用したけれども、この典拠もディープフェイクで作られたものだという可能性が否定出来ず・・・とかいうと、恐すぎるな。

なので、旧暦の日本でこの日に何をしていたか紹介して終わることとしたい。

○朔日 更衣、今日より五月四日まで袷を着るゆへ、けふを衣がへといふ、けふより九月八日まで足袋をはかず。
    三田村鳶魚編『江戸年中行事』中公文庫・1981年、40頁


・・・4月1日、現在の5月1日前後くらいにはなると思うが、衣更えの日だということである。万愚節のカケラも無いな。ということで、季節に合わせて生きていこう、という話で終わる。

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