つらつら日暮らし

今日は憲法記念日(令和6年度版)

今日5月3日は、憲法記念日である。いうまでもなく、第二次世界大戦の敗戦後、日本はGHQの指導などにより、新たな憲法の制定に入り、1946年11月3日に公布、翌47年5月3日に施行されたのが、現行『日本国憲法』である。前文と全103条からなり、現代的な国民主権や、基本的人権の確立などを基盤とする内容である。

それで、この憲法について、以下のような報道があった。

憲法改正「賛成」63%、9条2項「改正」は最多の53%…読売世論調査(YomiuriOnline)

詳細は上記を見ていただければと思うのだが、これを見て、未だに「憲法改正はけしからん」とか思う人は一定数いるという理解で良いのだろうか?とりあえず、そういう人は上記の世論調査の限りは少数派になっているようだ。

なお、拙僧自身は今日のような日に因み、『日本国憲法』を読むようにしている。そして、全103条を見ていくと、以下のような構成になっていることが理解出来る(以下は、鵜飼信成先生『憲法』岩波文庫・2022年を参照)。

前 文
第一章 天皇(第1~8条)
第二章 戦争の放棄(第9条)
第三章 国民の権利及び義務(第10~40条)
第四章 国会(第41~64条)
第五章 内閣(第65~75条)
第六章 司法(第76~82条)
第七章 財政(第83~91条)
第八章 地方自治(第92~95条)
第九章 改正(第96条)
第十章 最高法規(第97~99条)
第十一章 補則(第100~103条)


拙僧などは、その立場上、第20条(信教の自由)や第89条(公の財産の支出利用の制限)などを参照するのだが、先に挙げた『読売新聞』の記事は、お決まりの第9条についての言及である。それで、これは以前から拙僧などは周囲の人に申し上げているように、『日本国憲法』を改正してはならない、というのは意味が無い言動であり、憲法そのものに改正の手順が書いているのだから、それが認められれば改正出来るのである。上記の通り、「第九章 改正(第96条)」がそれである。

第九十六条〔憲法改正〕 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
    鵜飼先生『憲法』383頁


それで、この改正について、それこそ鵜飼先生御自身はどのように言及されているのだろうか。『憲法』では「憲法改正権の限界」という一節で、この問題を論じておられるが、鵜飼先生は『日本国憲法』の内容について、大きく2つの部分に分けられるとしている。それは、「憲法の基本原則」と「同原則を具体化した制度的な規定」である。その上で、憲法改正権には、一定の限界があるとし、具体的には「その憲法の基本的原則とし、もしそれが変更されれば、その憲法の同一性、継続性が失われるであろうと考えた諸原理」(前掲同著、45頁)は改正出来ないという。そして、この「原理」について、第一は「主権の所在」であるという。現行憲法は、明確に国民主権を謳う(前文及び第1条)が、それは変更出来ない原理であるという。

また、以下も注目されるべきであろう。

憲法の基本的人権尊重主義と永久平和主義とは、国民主権主義と不可分の一体をなしており、それを変更することは、当然に憲法の同一性を失わせることになるというべきだろう。
    前掲同著、45頁


そして、ここでいう「永久平和主義」については、第9条に「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」(前掲同著、365頁)とあることを典拠としている。よって、武力による威嚇、武力の行使を、国際紛争を解決する手段に用いることは、永久に放棄されたのであるから、今後も変更出来ないというのが、鵜飼先生の主張である。

ただ、今回取り沙汰されているのは、第9条2項の方である。つまり、陸海空軍の戦力の保持、あるいは交戦権の問題ということになるのだろう。前者は既に、各自衛隊という形で、戦力化がなされており、その現実に見合った改正が行われるべきなのだろう。後者については、日本から開戦しなくても、実際に戦争に巻き込まれた場合の問題について、余りに楽観的に過ぎる。よって、現状、東アジアが中国による軍拡の影響から逃れられない状況を考えると、果たして今のままで良いのか?という国民の不安は当然というべきなのだろう。

などなど、ちょっとした文章を書いてみたが、とにかく『日本国憲法』をしっかり読んでみることをお勧めする。条文を読むだけなら、たいした時間は掛からない。それこそ、ネット上でも全文閲覧可能である。

日本国憲法(衆議院)

まずは上記ページを紹介させていただいて、記事を終えたい。

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