つらつら日暮らし

マルティン・ルター『九十五箇条の提題』を学ぶ・32

ドイツ宗教改革の発端にもなったとされるマルティン・ルターの『九十五箇条の提題』の日本語訳を学んでいく連載記事である。連載32回目である。

7〔32〕 贖宥の文書によって自らの救いが確実になると信じる人がいるなら、その人はそれを教える敎師とともに永遠に断罪されるだろう。
    深井氏下掲同著・22頁


この辺から、改めて「贖宥状」自体の問題へと切り込んでいく様子が見られるのだが、ここで「贖宥状」自体への信頼性が、どのようにして人々の間に広まったかが分かるようになっている。

それは、教師(カトリックの司祭などということか)によって広められた教えであり、「贖宥状」を買った結果、自らの救いが確実になると信じる人が出た、ということなのだろう。

それから、「永遠に断罪される」という表現は、極めて強い表現であると思われるのだが、もし、「贖宥状」に、敎師が説いたような効果が無いのであれば、結果として救われることは幻想になってしまうため、死後は永遠に救われないことになる。これはそういう読み解き方をしてみた。

【参考文献】
・マルティン・ルター著/深井智朗氏訳『宗教改革三大文書 付「九五箇条の提題」』講談社学術文庫・2017年
・L.チヴィスカ氏編『カトリック教会法典 羅和対訳』有斐閣・1962年
・菅原裕二氏著『教会法で知るカトリック・ライフ Q&A40』ドン・ボスコ新書・2014年
・ルイージ・サバレーゼ氏著/田中昇氏訳『解説・教会法―信仰を豊かに生きるために』フリープレス・2018年
・田中昇氏訳編『教会法から見直すカトリック生活』教友社・2019年

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