四戒とは、一つには舎那戒、二つには釈迦戒、三つには菩薩戒、四つには衆生戒なり。
舎那を本と為し、伝授の釈迦を迹と為す。釈迦、此れを復た諸菩薩に授くることを得て、諸菩薩、此の戒を復た凡夫衆生に伝授することを得るなり。
『菩薩戒義疏』巻上
当方的に意味が分からなかったのは、「舎那戒」である。他は大体意味が分かるのに、この語だけは良く分からない。しかし、解読するヒントはある。それは、上記引用文後半の「舎那を本と為し、伝授の釈迦を迹と為す。釈迦、此れを復た諸菩薩に授くることを得て、諸菩薩、此の戒を復た凡夫衆生に伝授することを得るなり」とあることで、「舎那戒」というのは、「釈迦戒」よりも本源的であることを意味している。
それから、この文献が、いわゆる『梵網経』を註釈していることを思うと、この「舎那戒」というのは、「盧舎那戒」を意味していると言えよう。
しかし、「舎那戒」で調べてみると、『奮迅王問経』とかいう大乗経典に、「奢摩他戒に安住し、毘婆舎那戒に随順す」とかあるのだが、これは「シャマタ」や「ヴィパッサナー」がそのまま戒になるということか・・・でも、ここでは「盧舎那戒」が妥当だろう。
それにしても、「四戒」については、次第に授けられていくと考えると、最初は「盧舎那仏の説いた戒」があり、それを釈尊が「釈迦戒」として菩薩に伝え、菩薩は釈尊から伝授された「菩薩戒」として示し、最後は凡夫・衆生に伝授する「衆生戒」となる。この辺は、『梵網経』を思想的な基盤とした教えであることが理解出来よう。
いわば、根本としての盧舎那仏から、衆生に対してどのように展開されるかを示したのが、「四戒」だったと言えよう。そう考えると、天台宗系の「菩薩戒」は、いうまでもなく、最初から衆生への授戒を含んだものだったということになるわけである。
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