つらつら日暮らし

マルティン・ルター『九十五箇条の提題』を学ぶ・45

ドイツ宗教改革の発端にもなったとされるマルティン・ルターの『九十五箇条の提題』の日本語訳を学んでいく連載記事である。連載45回目である。なお、英訳された『九十五箇条の提題』を、当方で日本語訳して掲載することとした。

20〔45〕 キリスト教徒は、助けを必要としている人を見てみぬ振りして通り過ぎた人に、恩赦のために「彼のお金」を与える人は、ローマ教皇による贖宥状ではなく、神の憤りを買うものだと教えられるべきだ。
    訳は当方


要するに、最初の部分はいわゆる「善きサマリア人」の喩えを受けたものか。本来救うべき人を救わずに、神の怒りを買い、そして、本来はその救うために使われるお金で贖宥状を買ったとしても、ますます神の怒りを買うのだから、お金は神やメシアが示した正しい方法で使われるべきだ、という内容だと言えよう。

【参考文献】
Works of Martin Luther:Adolph Spaeth, L.D. Reed, Henry Eyster Jacobs, et Al., Trans. & Eds.(Philadelphia: A. J. Holman Company, 1915), Vol.1, pp. 29-38
・マルティン・ルター著/深井智朗氏訳『宗教改革三大文書 付「九五箇条の提題」』講談社学術文庫・2017年
・L.チヴィスカ氏編『カトリック教会法典 羅和対訳』有斐閣・1962年
・菅原裕二氏著『教会法で知るカトリック・ライフ Q&A40』ドン・ボスコ新書・2014年
・ルイージ・サバレーゼ氏著/田中昇氏訳『解説・教会法―信仰を豊かに生きるために』フリープレス・2018年
・田中昇氏訳編『教会法から見直すカトリック生活』教友社・2019年

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