つらつら日暮らし

三帰戒が失われる条件について

今日見ていくのは、以下の一節である。

  問俗人受三帰後違失
 問う、若し俗人、三帰を受けての後、却って鬼神を祀れば、為に帰戒を失するや、否や。
 答う、優婆塞戒経に云く、若し人、三帰戒を受けての後に、舎宅、及び身命を護る為に、鬼神を祀る者は、失せず。若し志心に外道・鬼神を礼する者は、失と名づく。若しくは祠祀すれば、生命を殺すことを得ざれ。
    『釈氏要覧』「戒法」章


この一事であるが、思った以上に重いテーマを扱っている。要するに、信仰の帰趨をどう表現するか?という話なのである。三帰とは当然、仏法僧の三宝への帰依であるが、それを自ら表明し、和尚から三帰戒を受けた後で、もし、仏教以外の鬼神などを祀った場合、三帰戒が失われるかどうかを取り沙汰しているのである。

答えとしては端的で、『優婆塞戒経』を典拠に、もし人が、三帰戒を受けてから、自分の家や、自分の命などを守るために、鬼神を祀るのであれば、三帰戒は失われない、としているのである。これは、場合によっては、信仰の寛容性に関わるということなのだろうか。或いは、仏教と神祇の道との関係性ということにもなるだろうか。

それで、三帰戒が失われる条件としては、仏道ではなくてむしろ、仏道以外の教え、鬼神を礼拝し信仰する場合には、失われるという。結局、三宝帰依については、仏道を主としている限りに於いて継続され、それ以外の教えを主とする場合には失われるのである。ただし、三帰戒は何度でも受け直すことも出来るし、我々も、何かあればその都度唱えて三帰依を明らかにしている。

つまり、一時的に他の信仰にふらついたとしても、結果として三帰依に戻れば良いのだろう、ということである。

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