つらつら日暮らし

今日は人日の節句(令和6年度版)

さて、1月7日は「人日の節句」である。かつては「五節句」の一として扱われていたが、現在では暦の中で数える程度で、祝日などにはなっていない。なお、「人日」の語句の由来などは、【令和5年度版】をご覧いただければ良いと思う。

本日は、かつての曹洞宗寺院で行われていた「人日の節句」の故事を探ってみたいと思う。

  人日に茶を試す
茅庵無事の客、大徳天真に合す。
泉は前の渓水を汲み、茶を北苑の春に烹る、
安心の湖鑑の浄く、如意の月輪新たなり、
時に現ず優曇の瑞、元正の歳甲寅。
    『円通松堂禅師語録』巻3「偈頌」、『曹洞宗全書』「語録一」437頁上段


まず、この語録は現在の静岡県掛川市内に所在する円通院の松堂高盛禅師(1431~1505)の語録である。なお、この偈頌が詠まれたのは、歳甲寅とあるため、明応3年(1494)であることが分かる。なお、「人日に茶を試す」という題名だが、これは前年に収穫しておいた茶を、人日に初めて煎って飲むことらしい。引用はしないが、同じ松堂禅師には「人日煎茶」という偈頌が複数残されている。

それから、その茶を客へ振る舞うこともあったようなので、上記もそのような内容だろうか。簡単に訳してみたい。

この茅庵に訪れたのは無事の客であり、その大いなる徳は天真と同じである。茶を入れるが、その水は庵の前の谷から汲み、茶を北苑の春に煮る。その茶の香りは、我々に安心を得させ、それは湖が鏡のように清らかな様子であり、意のままとなる月輪はその都度新しい。その時には優曇華が現じているお正月は、寅年である。

それにしても、現在でも掛川茶は「深蒸し」で知られているようだが、松堂禅師の偈頌を見ていると、15世紀後半には同地で茶を飲んでいた様子が分かるといえよう。まぁ、現地で採れた茶葉かどうかは、ちょっと分からないのだが・・・ということで、人日はやはり、七草がゆなども健康を求めるために食べられるため、年初に健康を考える機会にしたいものである。

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