新型コロナウイルスを歴史に学ぶ(その5)
伊能忠敬研究会東北支部長
元日本大学工学部講師
松宮輝明
令和2年は、国難の大変な時代となりました。時季とか時期ではなく、歴史が大きく変わる時代になったようです。
須賀川市からは7名の感染者が出て、須賀川市内の小中学校は、4月22日(水)から5月6日(水)まで臨時休校になりました。
同じく、高等学校は21日(火)から5月6日(水)まで臨時休校です。
新型コロナウイルスの猛威は、収まらず市民の一人ひとりが、拡散予防の自覚をし、そのための務めを果たさなければなりません。
明治の初め、須賀川医学校(現岩瀬公立病院)に学び東京市長も務めた後藤新平(1856~1929年)が改めて注目されています。後藤新平は、医師で、日清戦争後の検疫事業を担うなど公衆衛生の普及に尽力しました。
医師として活躍しながら、公衆衛生の必要性を訴え続けた後藤新平。日清戦争後、世界でも類を見なかった24万人もの帰還兵を検疫する必要があり、不眠不休で奮闘しました。即席の検疫所を三カ所作り、「蒸気消毒缶」を製作し、感染者の動線を確保し、検疫スタッフの待遇改善をしながら集中し、検疫をわずか2カ月余で終えたことは世界医学界から絶賛されました。
「衛生の概念は、『生』を『衛(まも)る』という視点で、命を守るには何を為(な)すべきかを常に考えていた人です。
緊急事態宣言が発せられましたが、政府が何かをやってくれるとの期待感のみでは、コロナウイルスを撲滅できません。今こそ、後藤が説き続けた『自治三訣』を思い出し、国民が主権である民主主義を考えるべき時ではないでしょうか。
新潟県柏崎市の柏崎通信の梶谷恭巨氏は「今回のウイルス問題の解決には、京都大学の今西錦司博士の進化生物学を学ぶ必要があります。今西博士の提唱した棲み分け理論、こまどりの行動理論は、動物の安定した生態系を壊さないことなのです。新コロナウイルスの問題は、進化生物学の立場で考察し生態学、人類学や社会学などの問題を解決しなければと思います」とのコメントをいただきました。
コロナウイルスのシンクロニシティ(同時性)の現象は、ルネッサンスの時代に、ペストが蔓延し、日本でもペストは、安土桃山時代の日本版ルネッサンス時代に、同時期に起った感染症の流行です。
ルネッサンスとは、14~16世紀、イタリアから西ヨーロッパに拡大した人間性解放をめざす文化革新運動で、都市の発達と商業資本の興隆を背景として、個性、合理性、現世的欲求を求める精神運動が躍動し、ルネサンスという言葉が生まれました。
日本にも安土桃山時代にルネッサンスがありペストが流行しました。
人類には、遺伝的記憶がDNAに刻まれている様です。
平成前後から、欧米の小説や映画やドラマには、「パンデミック」を予想した作品があります。「ブレイクアウト」や「インフェルノ」等が、予兆を感じさせる作品です。
コロナウイルスの感染により、価値観が変わり、歴史の流れが大きく変わるのではないかと思われます。経済も芸術も、特に美術の世界は大きく変化するのではないかと思われます。
庭の草取りをしていると、季節の変化が実感できます。雑草の生育も年ごとに変化しています。今年は花の咲き具合、雑草の繁殖の仕方が、昨年よりも早い様です。
人が余り気にしない、雑草の繁殖は、もっとも気象を反映している生態系の変化です。二酸化炭素の増加により「地球温暖化」が進んでいます。
大阪大学の研究者が、新コロナウイルスの抗体を大腸菌より造りました。「疑似新型コロナウイルス」の抗体が作られたのです。9月には新薬の抗体として臨床実験が行われるようです。
「3密」にはマスクが必要です。小学校は家庭科の学習で裁縫があります。親に頼るのではなく、自らマスクを作り、コロナウイルスの飛散を防がなければなりません。
消毒液のアルコールは日本中には酒蔵会社がり、り簡単にアルコールを造ることが出来ます。手洗い、ウガイを徹底しコロナウイルスから身を守ることです。
これからは消毒液のアルコールは携帯する必要があります。
今は「油断大敵」です。「常在戦場」を意識しながら3密の決まりを守り、ウイルスに感染しないように、感染させないように、日常生活を送りましょう。
◎高野長英の遠縁でもある後藤新平は、ドイツで法医学を学び内務省衛生局長となりで衛生学を確立しました。