生物学者で東京大学定量生命科学研究所の小林武彦教授によると、人間本来の寿命は55歳程度だそうです。
ところが進化の過程で老いた個体がいる集団のほうが生存に有利に働くため、本来より長生きできるようになったと言います。
寿命の限界は120歳程度とみられ、過去最も長生きしたのは122歳で1997年に亡くなったフランス人女性だそうです。
意外だったのは栄養状態が良くなり、医学が進歩したことが寿命が延びた理由だと思っていたのですが、小林武彦教授によるとそうではないようです。
老いた個体がいる集団のほうが生存に有利に働くため。
そんなことは想像の外でした。
そうだとすると、栄養状態よりも医学の進歩よりも進化の過程で得た生存に有利な条件こそが原因だということになります。
遺伝子のなせる技というか、深謀遠慮というか。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教のヤハウェの三宗教では神様が全てを創造したということになっているので、寿命が延びたのも予め神様によってプログラミングされていたと解釈するのかもしれません。
しかし何から何まで神様が創ったとするのは無理があるように思います。
キリスト教原理主義者は進化論を否定し、滅んでしまった動物の化石など、進化論の裏付けになっている物については、神様が世界を創造する時に化石も創って埋めておいたそうです。
かなり苦しいですが、原理主義を守るためには屁理屈みたいな物に縋る他無いのかもしれません。
どんな宗教であれ原理主愚者というのはおのれの信条を守るために無理目な解釈をするのが普通ですから、それは放っておきましょう。
現代の日本社会は、老いた個体がいるほうが集団の生存に有利に働くというような、生易しい年齢構成ではありません。
老人ばかり増えて若い世代が減っていっているのが現状で、今後少子高齢化はますます進むでしょう。
そうなると、老いた個体だらけになってしまい、かえって集団の生存に有利に働かなくなってしまうのではないでしょうか。
要はバランスです。
老人が少ない時代には老人を増やそうと働いた遺伝子ですが、老人が増えすぎたら減らそうとするような気がします。
しかしわが国の現代医学はなんでもいいから生かそうとします。
と言うか、死ななければ良い、みたいな思考のように思います。
それが生命として相応しいのか無視して。
ヨーロッパ諸国が認めているような尊厳ある安楽死を認めても良いかもしれません。
小林武彦教授はこのあたりについてどう解釈しているのか知りません。
当然、生物学については全くの素人である私には何のことやら分かりません。
じっくり教授の著作を読んでみましょうか。
この記事はネットの情報によるものですので。