ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

双極

2024年12月27日 | 精神障害

 昨夜、「双極性障害の診かたと治しかた」という薄い入門書を読みました。
 おそらく精神医学の初歩的な内容で、医大に入って間もない学生向けと思われます。
 双極性障害について詳しく述べられ、かつて私が通った道が鮮やかに思い起こされました。

 うつ病や適応障害はすっかり有名になり、よくある疾患とされるようになりました。
 うつは心の風邪、と言った方がいましたが、風邪のように一週間かそこらで治るものではなく、早くても半年くらいはかかるので、うつは心の複雑骨折と言ったほうがよいかもしれません。

 それに比べて統合失調症と並ぶ2大精神病とされる双極性障害はうつよりも圧倒的に患者が少なく、まだ世間に十分認知されているとは言い難い状況です。
 患者が少ないということは症状に悩む当事者も家族も少ないはずで、本を書いても大して儲かりません。

 「躁鬱大学」という当事者によって書かれたエッセイのような物を読んだことがあります。
 でもピンと来ませんでした。
 そもそも私はⅡ型で、著者がⅠ型らしいことが原因と思われます。

 双極性障害にはⅠ型とⅡ型があって、Ⅰ型は激しい躁状態とひどいうつ状態を伴い、入院加療が必要であり、ほぼ働くことは不可能とされています。
 で、障害者年金に頼ったりします。
 Ⅱ型は軽躁状態とうつ状態を繰り返すもので、適切な服薬治療によって寛解状態が期待でき、寛解に至れば労働が可能となります。
 私の場合15年ほど前に躁エピソードがあり、服薬治療を続けることで寛解状態が続き、今も再発せずに働いています。

 15年再発しなくても、この病気は再発率が極めて高いので、再発予防のための服薬が必須となります。

 「双極性障害の診かたと治しかた」は分かりやすいものですが、治療者側から書かれているので、当事者としては戸惑う記述があります。
 例えば新しい薬の治験では、プラセボを○○週間飲ませた患者群と新薬を投与した患者群で有意に新薬の患者群が回復傾向を示したため、新薬には効果があると実証された、などと書かれている点です。

 多くの患者を診る精神科医にとってそれは有効なのでしょうが、当事者はおのれ独りに薬効が認められれば、その他の患者のことなんてどうでもよいのです。
 そもそもプラセボを飲み続けた患者が気の毒です。
 
 マウスじゃないんですから。

 内臓の病気のように血液検査等で明白な数値が出れば分かりやすいのですが、今はまだそこまで至っておらず、患者の行動や口ぶりから診断せざるを得ません。
 今の精神医学の限界なのでしょう。

 私は36歳くらいでうつ病を発症しましたが、2年後くらいに軽躁状態が現れ、病名がⅡ型双極性障害に変わりました。
 もうずいぶん長い間精神障害を負ったまま生きています。

 6月に二つの部署の長を兼務したことがきっかけで長い軽うつ状態に陥っており、その状態がずうっと続いています。
 
 いっそ軽躁状態になりたいものです。
 躁はギャンブルや性風俗、買い物などに大金をつかったり、怒りっぽくなってやたらと喧嘩するようになったりと厄介な状態ですが、当事者には病識が無く、元気になったとしか思いません。     

 私もそうでした。

 

 厄介なことは承知で、またあの軽躁を経験したいと思ってしまいます。
 それほど軽躁は気分が良いのです。

 でも無理でしょうね。
 再発防止の薬を飲んでいますから。

 ここは踏ん張り所と考えて耐えるしかないようです。


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