悪魔祓いという儀式は、世界のあらゆる民族が今なお行っています。
カソリックのエクソシストはローマ教皇庁が正式に認めた神父しかなれず、悪魔祓い自体、ローマ教皇庁が悪魔憑きと認めない限り行ってはいけないことになっています。
ということは逆に言えば、ローマ教皇庁は悪魔憑きというものがごく稀にではあっても存在していると認めていることになります。
日本では狐憑きとか犬神憑きとかが有名ですね。
また、死霊や生霊に憑依されたとされてお祓いを受ける場面は、子ども向けのテレビ番組などで時折見かけます。
南太平洋の島々やアフリカなどでも、泡を吹いた人の周りで踊ったりして憑き物を落とそうとしている映像を見かけます。
精神医学では、おそらく統合失調症の重い症状と見なすのでしょうが、西洋医学の薬物でもお祓いでも、正常な状態に戻れれば方法なんかはどっちだって良いと思うでしょう。
韓国の自称牧師とその妻が、三人の子どもが風邪をこじらせて寝込んでいるのを、悪魔憑きだと判断し、悪魔祓いの儀式を始めたそうです。
自称牧師の父親は自ら断食し、幼い三人の子どもにも断食させ、ベルトで殴るなどの暴行を加えたそうです。
で、結果は子ども三人全員死亡。
遺体のそばでなおもお祈りを続けていた父親は、あわれ、傷害致死罪で逮捕されてしまいました。
風邪をこじらせたのなら、大人しく寝かせ、内科医に診せればじきに治ったであろうものを。
信じるということは怖ろしいものです。
わが国の文芸作品には、怖ろしい怨霊がたびたび登場します。
古くは「源氏物語」で生霊となって登場する六条御息所。
讃岐に配流されて怒りのあまり生きながら鬼となった崇徳院。
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鬼となった崇徳院です。
思ひやれ 都はるかに おきつ波 立ちへだてたる こころぼそさを
「風雅和歌集」にみられる崇徳院の和歌です。
なんだか鬼っぽくありませんねぇ。
そして、日本の怨霊では平将門や菅原道真をしのぐスーパースターといえば、お岩さん。
「東海道四谷怪談」では、旦那の伊右衛門を呪い殺してしまいます。
今なお、芝居や映画で「四谷怪談」をかけるとき、出演者、スタッフ打ち揃って四谷のお岩稲荷にお参りしてお岩さんの霊を慰めていますね。
怨霊や悪魔憑き、狐憑きの真相はともかく、人間が長いこと怖れ敬ってきた超自然の力を前にした時、人は謙虚にそれらの怨みつらみを鎮めるべく、お祈りすべきでしょう。
間違ってもこれを力づくで抑えつけ、祓おうなどと思わないことです。
韓国の自称牧師も、子どもらを寝かせ、ただ祈っていれば良かったのです。
それを絶食させてベルトで殴るなんて、言語道断と言わなければなりません。
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