I~これが私~

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『楽園の薔薇』12.イザベラ、初仕事!<4>

2011-06-23 19:04:40 | 小説『楽園の薔薇』
楽園の薔薇

12.イザベラ、初仕事!

<4>

リネイアの言葉に、一瞬にして集団が静まる。
最初に声を上げたのは、サラティだった。
「え、でも私達見習いだしっ!ムリですよ!?」
赤毛の青年がそれを聞いて目を丸くする。
サラティはイスフィールに同意を求めてきた。
「イザベラもそう思わない?」
「へ?えっと…まぁ。」
「何で微妙なのよ。リネイアさんも、何でそんなこと…!」
「サラティ、やめようよ…!」
思わずイスフィールは言った。
ここまで言うと、もう先が分からない。
「そうよ、サラティ。落ち着きなさい。」
リネイアの冷静な声が届く。
サラティは不満げな顔をしながら口を閉じた。
「では、フレイル様。お話などはありませんか?」
リネイアが笑顔で聞く。
フレイルとやらは「んー」と唸ってから、こう言った。
「そうだな、まず自己紹介から。」
そして、照れくさそうに笑う。
イスフィールは側仕え少女達の顔が赤くなるのを見た。
たぶん。
「俺はフレイル。北のライガールから来た。」
ライガールは楽園の北にある大きな都市。
北と聞いて、イスフィールはフレイルを凝視した。
まあ、そうしても何も起こらないが。
(薔薇姫様、ご安心ください。彼からは闇を感じません。)
密かに着けていたペンダントから、カリスの意志が久しぶりに伝わってきた。
イスフィールはほっと胸をなで下ろす。
(ですが――どうやら彼の近くに闇はあるようです。)
(カリス、それ本当!?)
(はい。私は嘘を言いません。)
イスフィールはまたイズライールになろうかと本気で思った。
だが、今フレイルについていけるなら問題ないことに気付く。
「俺は強い奴がほしい。この中で一番強い奴を。」
フレイルの言葉に数々のため息が出る中、イスフィールは勝利を確信した。
セイレーンやレイアースと体術・剣術・その他いろいろの修行(?)を毎日しているから。

現役薔薇姫、なめんじゃないわよ!


written by ふーちん


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