I~これが私~

風の吹くまま,気の向くまま,ありのままの自分で。

『ミゼット ウィング』第10章-4

2011-05-15 20:18:06 | 小説『ミゼット ウィング』
ミゼット ウィング
 ~小さな小さな はね物語~


第10章 罪は償えっ!

4.償いという名でやすらぎを

「手伝い?」
「そう。私達いろいろあるから、お茶の準備・整理整頓・その他諸々。をやってほしいの。」
嬉しそうな笑顔で言うロア。
イブは眉をひそめて首を傾げる。
「それって、償いになるんですか?」
「なるなる。すごぉくなる。それに、雑用って君がマリウォントでやらせようとしてたことじゃない。」
シャープが言っているのは、あの決戦の時のことだろう。
カンペマネージャー・シェンからの報告で聞いた。
「それをマリウォントなしで自主的にやってもらうだけ。」
レストが無表情――いや、少し笑っているかも――で言う。
それをじっと見ていたフラットは、あることに気がついた。
思わず声を上げそうになる。
アイネは悪魔で、イブは堕天使。
そしてホルンは気が合う人がいない――つまりは独りぼっちだ。
悪魔はもちろん、いじめっ子だったイブは仲間はずれにされる。
独りぼっちのホルンは、いくら天使でも性格上声をかけることができないのだろう。
彼女たちは似た者同士。
種族こそ違うが、友達がいない、できないという点は同じ。
そのことをいち早く察したロアが、3人全員ここに居ることができる提案をした。
フラット達6人も同じ感じだから、上手くいくだろう。
「うーん…。やってもいいかな?」
「私はやるよ。ホルンは?」
「私もやります。イブさん、あっちが勧めてくれてるんですから、いいじゃないですか。」
「そっか。…そうだよね!」
「よぉし、じゃあ決まりねっ!」
ロアが、さらに嬉しそうに言う。

イブ達には、通じただろうか。
そう考えたフラットは3人の方を見る。
そして、微笑んだ。
きっと通じただろう。
だって、彼女たちはこんなに嬉しそうに笑っているのだから。


Written by ふーちん


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