あれは転職してから
慣れない飛び込み営業してる時だった
頑張れど
頑張れど…
契約は一件もとれなくて
それでも負けるもんかって
這い上がって
1つの課を任されたぐらいの時期に
一人のおっさんが入ってきた
10歳くらい歳上だったかな?
変わりたいんです!
って言って
いっつもハンカチで汗拭いながら
一生懸命若手についていってた
それを遠くから見ていて
いつかの自分と重ねていた
いつもの様に
会社に帰って来たから
今日はどぉだった?
って初めて声をかけた
なかなか皆さんみたいには
上手く喋れないから
今日も後ろについてまわらせて貰いました
研修期間のリミットまで
あと1ヶ月
それで駄目ならクビ
何だかほっとけなくなって
明日から一緒に行こう
とお節介が始まった
一言一句覚えなくていいから
自分が説明しやすい言葉で
ゆっくり話して
そしたら必ず伝わるから
朝となく夜となく
練習した
そんなおっさんの一生懸命さに
今日は1日独りで回って来てと
現場に出した
○○さん今日は絶対諦めるなよ!
オレの賭けだった
ところが帰社時間を過ぎても戻らない
連絡もない
それでも待ち続けた
そろそろ連絡しようかと思ってた時
笑顔の汗まみれのおっさんが帰って来た
やりました!
皆はおっさんの肩や頭を叩きまくった
おめでとう!
よく頑張ったな
が…しかし
おっさんに告げなくてはいけない話を
オレは上司から任されていた
○○さん
処理は明日でいいから
ちょっと来てくれる
はい
座って
実は今日のお客さんから
会社に電話があって
あの人の一生懸命な熱意に負けて契約
しましたが
キャンセルさせて下さい
本当にすまない事をしましたと
おっさんの中で何かが切れた
今まで見たこともないくらいの
男泣きで崩れ落ちた
○○さん
お客さんが続けて
言ってたらしいよ
あの人を認めてあげてください
って
お客さんにその言葉を喋らせる
とはたいしたもんだって
所長が言ってたよ
オレもそぉ思う
明日からまた頑張ろ!
涙を拭うおっさんに
そんな言葉しかかけられなかった
次の日
おっさんは辞めた
負けたんじゃない
逃げたんじゃない
今までより
何倍も成長して
新しい道を探し始めた
あの時間違いなくおっさんは
今までにないくらい
全力だった
是非小説書いて欲しいくらい
ストーリーも文章も素晴らしいと思います!