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1600Kmバイクひとり旅/1(東京都多摩市→新潟県長岡市)

2021年07月29日 | 焼き芋みたいなショートエッセイ

 
焼き芋みたいな
エッセイ・シリーズ  (49)
「1600Kmバイクひとり旅/1(東京都多摩市→新潟県長岡市)」 


 
introduction

初日から行く先々で豪雨・雷雨・洪水オンパレードの10日間。      
こんなバイク旅ってあんのかあ! 明日はどうなるか分からない・・
旅の間中、そんな緊張の連続だった。

今からちょうど5年前に敢行したこのバイク旅を、改めて振り返ってみようと思いますが、
今は傍に家族がいて、いつもの自宅のくつろげる場所。
ひとり旅の間に思ったこと見たこと、どれだけリアルに綴れるかなと思いつつも、
とりあえずはエイヤっ!と書き始めてみます。

そして、この「バイク旅記録」はいつか本にして、
どこかの「ドキュメンタリー大賞」なんぞを狙おうと思っております。むはは。
(うそです!) 
by S.Y  


 ■バイク旅1日目   2016年7月26日
  AM4:00
「では!でっぱつ!」
 (この書き出しでもう「ドキュメンタリー大賞」はないね。)
と、まだ皆が寝静まる午前4:00、東京・多摩市の自宅を発った。

夜明け前の国立市・国分寺市・小平市の市街地を軽快に走りぬけ、
夜が少しずつ白み始めた彩の国・埼玉県を駆け抜け、そのままの勢いで群馬県へ突入した。


   
 
 初めて装着したバイク・ナビは順調に作動している。
 よしよし。良い感じだ!。

AM9:00
そろそろ群馬県も抜けようという沼田市に入った頃、

空に何やらドス黒い雲がもくもくと現れ、やがて雨脚の強い雨が地面を
叩きつけるように 時おりザーっ!と降るようになった。

「ん?今日は曇り・晴れの予報だったんではないの?
 これから晴れて来るはずだったんではなかったの?
 今夜はキャンプ場でテント泊なんだかんね。頼むよぉ。」

しかし雨はどんどん強くなり、新潟県へ入る頃には大雨の様相になった。
この先は初めて通る三国峠だ。かなり険しい峠だと聞いている。
 道は大丈夫だろか。今回はオフロード・バイクではない。不安が過った。
いつもならここで賢明に立ち止まり、しばらく様子を見ただろう。何なら引き返していたかも知れない。
しかし今回は、故郷・北海道の花火大会を観に行くという旅だ。
その日に間に合わせるには、
一日の行程もロス出来ないスケジュールだった。


   
 いよいよ峠に差し掛かった頃、雨は相変わらず強く、
 山道ルートは山から流れ込んで来る水で、所々、浅い川の様になっていた。
そんな峠道を上り下り、慎重にコーナーリングしながら、やがて三国トンネルを抜けると、
ようこそ苗場スキー場へ!』の看板が見えた。 
「トンネルを抜けると、そこはユーミンのコンサートで有名な苗場スキー場だった・・なんちって」
そんなことをメットの中で呟きながらも、しかし、マズイなと思った。
「なんだかこの天候、普通じゃない・・」
 

PM2:00 
その後、越後湯沢を過ぎた頃から雨は小康状態になったが、
場所によっては突然の強烈なスコールが襲って来る、その繰り返しだった。


                                         

PM4:00 
ようやくのこと幾つかの山を越え、初めて訪れる長岡市街に入り、
予約していた長岡市営のキャンプ場に到着した。

しかし、キャンプ場入口に行くと、
あらまっ?黄色いロープが張ってある。
                                          ん?
                                         ありゃっ!?
じつはこの日の午後、新潟県(特にここ長岡市)に大雨洪水雷警報が発令され、
キャンプの予約客が皆早々とキャンセルした為、キャンプ場は午後に閉鎖したとの事。
僕だけが一人、予定通りこの大雨の中をノコノコとやって来たわけだ。

旧・管理事務所)
入口の管理事務所らしい建物にはカギが掛かっていた。
仕方がないので予約時に教えられた管理人(市の担当職員さん)のケータイに連絡をすると、
10分ほどで駆け付けてくれて、
「来たんですか?うっひゃー!今夜テント張るんですか?うっひゃー!
 夜から更に大雨ですよ!雷凄いらしいですよ!この辺よく落ちますよ!
 ここは水はけも悪いから地面水浸しになりますよ。
 悪い事は言いません。今夜はキャンプやめておいた方がいいです。
 それに、この森、誰もいませんよ今夜 」と。

誰もいない雷雨のキャンプ場。正直、最後のこの一言に気持ちがグラっと揺らいだ。
そりゃ怖いっしょ。いんや、怖い。素直に怖い。
キャンプ場で雷雨の中、一人テントの中で怯えて一晩過ごすのは避けたい。
意気地なしと言われても構わない。「お前、それでも男か!」と罵られたってフンだ。
そういう昭和の時代的な根性論が無謀な事故を招くのだ。んだんだ。
結局、相当警戒しなくてはならない気象状況である事は間違いないらしく、

キャンプはきっぱりと諦め、僕は管理人さんが急きょ手配してくれたホテルに宿泊することにした。
結果的にこれは賢明な判断だった。予報通り、その夜キャンプ場のあちこちに落雷があったらしい。
次の日のニュースで、
「孤独なバイク旅人、雷雨のキャンプ場で落雷に打たれ死亡」
なーんて報道されていたら嫌だもんね。

  

ホテルはキャンプ場のすぐ近くにあった。
(市の担当職員さん、色々とありがとうー!助かりました。)

                                            宿泊することになった HOTEL

                                          突然お邪魔します!by HONDA PS250
とりあえず宿を確保

                                             「両陛下がご来館されました」
そんな格式の高いホテルなのか、ここは。
今夜は森でテント泊のつもりだったのに、一気に襟を正さねば。

                                             おまけにツインルームなのね


                                         
とか何とか思いながらも、とりあえずはほっと一息。しっかし凄い雨だった。

                                       
駈け抜けてきた県境の山々。雨雲が更にがっしりと覆いかぶさっている。                                       


この日の夜、「大雨・洪水・雷」の警報テロップが出され続けていた
                                         
この日の大雨は新潟県観測史上の新記録となり、
あの三国峠も夕方には通行止めになったらしい。(間一髪セーフだったな)

夜9:00頃 
ホテル1Fロビーの自販機で缶コーヒーを買っていると、

60代半ば位の支配人がやって来て、しばし談笑。
今年は苗場や三国峠あたりでも、熊が頻繁に出没しているという話になった。

「熊はですね。普段は人間を警戒するものです。
 が、しかし、何かのキッカケで一度人間を襲って食べてしまうと、
 それ以降は人間を「食糧」だと認識してしまうのですな。

 だから、そんな熊がいる場所で鈴など付けて歩いていると、
 居場所を知らせるようなもので逆に危ないのです。いやはや、それとですな・・・」

                            
物静かな感じの支配人は、静かな夜のロビーで淡々と語り続けた。
そう言えば、あの峠の途中でバイク止めて休憩していた時、
ふいにそこからゴソゴソと熊が出て来そうだったなあ。

「明日の朝は、早く発ちますか?」支配人が訊いた。
「あ、はい。急いでいるので五時頃には出発しようと思います」
「分かりました。ならルームキーはフロントの机の上にでも置いておいて下さい。
 まだ誰も出勤していないですから。」
「えっ?机の上にですか?」
「はい。それで大丈夫ですから」
何とものんびりしたホテルだなと思ったが、言われた通り、翌朝僕は
「お世話になりました」とのメモと一緒に、ひっそりとしたフロントの机の上に
ルームキーを置いてホテルを出た。

                                              
それにしても初日のこの大雨模様に、その後の10日間のバイク旅の間ずっと翻弄される事になろうとは、
この日は全く思いもせず、旅の初日、呑気に眠りについたのだった。
          
この日の走行ルート:東京都多摩市→新潟県長岡市:(走行距離265Km)
                 

<次回>は新潟から山形を抜け秋田へ。何て旅だっ!は続く。




       星空Cafe、それじゃまた。
      皆さん、お元気で!


    
                












 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (山さま)
2021-07-30 19:57:12
男はいくつになっても、「ロードムービー」のような旅に憧れるのですね。
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山さまへ (S.Y)
2021-07-30 22:22:23
「人生は一巻のロードムービーフィルムだ」by S.Y (むはは)

5年前の記事の焼き直しだけど、
懐かしい茨城編では再び山さまも登場するので承諾よろしく!
返信する
Unknown (山さま)
2021-07-31 00:08:38
自由に「ネタ」として、使ってくだされ、むはは!
返信する
山さまへ (S.Y)
2021-07-31 00:31:14
ほほほーい!
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