星空Cafe

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灰色リス・モーテル

2021年08月27日 | 焼き芋みたいなショートエッセイ


焼き芋みたいな
エッセイ・シリーズ  (52)
「灰色リス・モーテル」



「相変わらず気持ちのいい、木漏れ日が射す部屋だな、ここは」

僕は、ギシギシ軋む床に荷物を放り投げ、大の字になり目を瞑った

「ああ、無事着いた。疲れた」

安堵しながら僕は、

あちこち擦れてしまっている愛用のバックパックに目をやった

「思えば長年の旧友よ・・チミも少々くたびれ気味だけど、
 もう少しだけ付き合ってくれな」


それにしても、ここはいつ来ても静かだなぁ・・
なんだか、ふあぁっとした、心地良い空間だ・・
優しさがぽーんと充満しているような・・

                   

と思った瞬間に目が覚めた

いつの間にか寝入ってしまったらしい

それと、何やら夢を見てた気がするが、どんな夢だったのかを思い出そうとすると、

今そこに浮かんでいたはずの記憶は、

掴もうとする指先からどうしてもするりと消えてしまう


時折り、

僕に何か話し掛けるみたいに、ガタガタと風が窓を叩く

その音を聴きながら、

ぼーっとしたままの頭で、僕は夕暮れの空を寝そべり眺める


「灰色リス・モーテル」・・ここ10年、お気に入りの宿


そう言えば、

いつもここを訪れる度に、何かの忘れ物に気付く

けどそれは、今からじゃ捜せない、今からじゃ戻れない

ここで思い出す忘れ物は、大抵がそうした類のものだ


「ま、そんなもんだろ・・」


忘れ物のことよりも、

いつの間にか、どこかへ消えてしまう夕暮れの空を

この灰色リス・モーテルの部屋からのんびり寝そべり眺めるのは、

なんとも至極の時だ 最高だ。。






       星空Cafe、それじゃまた。
        皆さん、お元気で!   

                  








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2 コメント

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Unknown (ごーるでん・R)
2021-08-29 18:43:57
ごーるでん・Rです。
文章を読んで、詩を感じました。
その詩に曲をつけて、歌うのが、トキ・マスターのワールドですね。
そのような作品は、いつでも、ほいほいと出来るものではなく、ある限られた時期に限られるのだと思います。
たとえば今は梨の季節、おそらく歌にも時季があるのでしょう。
返信する
ごーるでん・R殿へ (さとし.Y)
2021-08-29 19:45:02
文章を読んで「詩」を感じてくれたなら嬉しいですね。

確かにこの世には「限られた時期」というのがあると思います。素直にそう思います。
返信する

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