焼き芋みたいな
エッセイ・シリーズ (28)
『空の雪ソリ 』
好きだった。
じきに夜が明ける前の、蒼くて白い雪の街。
氷点下のしんとした住宅街。
一軒、一軒、ポストに新聞を入れて行く。
高校入学時から3年間続けていた朝の新聞配達。
じきに夜が明ける前の、蒼くて白い雪の街。
氷点下のしんとした住宅街。
一軒、一軒、ポストに新聞を入れて行く。
高校入学時から3年間続けていた朝の新聞配達。
そろそろ受験も迫り、辞めることにした。
ある日の朝、いつものように販売店に行くと、
僕の代わりに入ったアルバイトさんが来てるよと言われ、
店の奥に目をやった。
店の奥に目をやった。
その娘がぽつんと立っていた。
あ!っと心の中で声を上げた。
同じクラスの娘だった。
いつも物静かで清楚な感じのする娘だったから、
あ!っと心の中で声を上げた。
同じクラスの娘だった。
いつも物静かで清楚な感じのする娘だったから、
新聞配達をするなんて驚いた。大丈夫かなと思った。
木製の雪ソリに新聞の束を載せ、
少し緊張しながらその娘と配達区域に向かった。
「寒くない?」「はい、大丈夫です」
氷点下10℃の慣れない厳寒の朝だ。大丈夫なわけないだろうに。
配達先を一軒一軒教えながら
白い家の庭先のポストに新聞を入れた時、
「ここ、私の家です」とその娘がはにかむように言った。
「へえー、そうなんだ!」と僕は答えた。お洒落で立派な家だった。
「じゃあ、3年間ずっと、君の家に僕が新聞入れてたんだ」
そう言うと、その娘は微笑みコックンと頷いた。
その日から3日間で、その娘は仕事を覚えて僕とバトンタッチした。
「いろいろとありがとうございました」とお辞儀をしたその娘は、
いつも暖かそうな可愛いマフラーをしっかり首に巻いていて、
それがとてもよく似合っていた。
「じゃ、頑張ってね」と僕。
「はい」とその娘。
その先の会話が続かないのを焦って僕は、
「学校遅刻しないでな」と訳の分からないことを言った。
時々遅刻していたのは僕じゃないか。
木製の雪ソリに新聞の束を載せ、
少し緊張しながらその娘と配達区域に向かった。
「寒くない?」「はい、大丈夫です」
氷点下10℃の慣れない厳寒の朝だ。大丈夫なわけないだろうに。
配達先を一軒一軒教えながら
白い家の庭先のポストに新聞を入れた時、
「ここ、私の家です」とその娘がはにかむように言った。
「へえー、そうなんだ!」と僕は答えた。お洒落で立派な家だった。
「じゃあ、3年間ずっと、君の家に僕が新聞入れてたんだ」
そう言うと、その娘は微笑みコックンと頷いた。
その日から3日間で、その娘は仕事を覚えて僕とバトンタッチした。
「いろいろとありがとうございました」とお辞儀をしたその娘は、
いつも暖かそうな可愛いマフラーをしっかり首に巻いていて、
それがとてもよく似合っていた。
「じゃ、頑張ってね」と僕。
「はい」とその娘。
その先の会話が続かないのを焦って僕は、
「学校遅刻しないでな」と訳の分からないことを言った。
時々遅刻していたのは僕じゃないか。
空っぽの雪ソリを引いての帰り道、すっかり夜が明けた白い街に
「3年間ありがとうございました」と、
僕は心の中でお礼を言った。すがすがしい気分だった。
「明日から朝ゆっくり寝てられるぞー」
それも正直な気持ちだったな。
星空Cafe、それじゃまた。
皆さん、お元気で!
「3年間ありがとうございました」と、
僕は心の中でお礼を言った。すがすがしい気分だった。
「明日から朝ゆっくり寝てられるぞー」
それも正直な気持ちだったな。
星空Cafe、それじゃまた。
皆さん、お元気で!
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