快読日記

日々の読書記録

「しぶとく 生きろ」野坂昭如

2012年03月23日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
《3/23読了 毎日新聞社 2011年刊 【日本のエッセイ】 のさか・あきゆき(1930~)》

まずタイトルがいいですよね。

2007年から2011年9月に毎日新聞に掲載されたエッセイから抜粋、修正、改題した1冊。
2011年3月の震災以降に書かれたものが冒頭にまとめられ、その後は“食と農”“戦争の記憶”“近況”の4章に分かれています。
震災前も後もその主張は一貫しているから、書いた順に並べなくてもいいわけです。
「ぼくはいろいろな所で話をしてきた。言い続けてきたひとつに、今後十年までに地震が来る、又は原子力発電の事故。そして世界的な飢餓だ」(106p)
これは2008年の2月の文章だけど、多くの日本人はこうした危なっかしい現実に対して、何十年も見て見ぬフリを決め込んできました。
もちろんわたしもです。
「今、若者の集うあたり、賑やかできれいな街。すべて焼け野原だったといって過言ではない。人が折り重なって焼け死んだ。そのあとを生きて歩いているという事実を知っておくべきだろう。(略)『がんばろう日本』もいい、だが今、自分の立っている場所の背負っている歴史も少しかえりみた方がいい」(29p)
「食と言葉に誇りを持て」(132p)

野坂昭如は2003年に脳梗塞で倒れ、現在リハビリ中ですが、もし元気だったら今どんな行動を起こしていただろうか、と考えます。

/「しぶとく 生きろ」野坂昭如
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