快読日記

日々の読書記録

読書中『「反戦・脱原発リベラル」はなぜ敗北するのか』浅羽通明

2016年03月10日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
3月9日(水)

『「反戦・脱原発リベラル」はなぜ敗北するのか』(浅羽通明/ちくま新書)の続きを読む。

デモに関する柄谷行人や小熊英二の意見を「すり替えとはぐらかし」と批判してるわけだけど、
実はこの批判にはもう一段深い指摘があって、
それは多くの知識人と言われる人たちが「リアルな現実生活世界」と「バーチャルな脳内観念世界」の二重の世界に生きているっていう問題点。
だから柄谷みたいに、デモによって何も変わらなかったけど、「デモがある社会」ができたからいいよね、みたいなことを言い出す。

これを読んで、昔、浅羽通明が大月隆寛と一緒にやっていたトークライブで、「等身大で読めるもの」という話をしていたことを思い出した。
そのときは、橋本治の「89」が取り上げられていた記憶がある。
「現実」にぶつからざるを得ない庶民より、学者の方が理念とか観念というバーチャルな世界に逃げがちなんだね、本人たちに逃げてる自覚が全くないところが余計に危険だ。

浅羽通明、言ってることが昔から変わらないなあ、と尊敬しつつ寝る。