http://www.youtube.com/watch?v=nTI1oP762rw
季節や場所によって聞きたくなる曲というものがありますが、
冬になると聞きたくなるのがこのルネッサンスの「燃ゆる灰」(アルバム"Ashes Are Burning"(1973)より)です。
ルネッサンスというと"Kiev"や"Mother Russia"など北の大地を思わせる曲を多く作っています。
北の大地のイメージを損なわないスケールの大きなメロディとクラシカルなピアノをフィーチュアした曲は冬にピッタリ。
ルネッサンスは元々はYardbirdsに在籍していたKeith RelphとJim McCartyが結成したバンドで、
結成当初からクラシックの要素を取り入れたロックを目指していたものの、それほどスケールの大きさは感じなかったものです。
バンドに変化をもたらしたのはキース・レルフがバンドを解散させてしまい、新メンバーによって再結成したことでした。
当時のラインナップはAnnie Haslam(Vo)、John Tout(Key)、John Camp(B)、Terence Sullivan(drs)の4人で、
他に作曲担当としてMicheal Dunford(アコースティックギターも担当)がいました。
中でもアニー・ハズラムとジョン・タウトの存在はバンドにとって大きかったといえます。
前任ヴォーカルのJane Relph(キース・レルフの妹)がやや線の細いヴォーカルだったのに対して、
幅広い音域を歌いこなすアニー・ハズラムは複雑さを増していく楽曲にも対応できるだけでなく、
澄んだ美しい歌声で作品に独特の気品を備えさせることに成功しています。
また基本的にギターはゲスト扱いのルネッサンスにおいて複雑な曲(例えば"Prologue"ではショパンの「革命のエチュード」を弾きこなしている)
を弾きこなすジョン・タウトはサウンド面の大きな核となっています。
吹き寄せる風のサウンド・エフェクトに始まり、囁く様に奏でるジョン・タウトのピアノ。
圧倒的な存在感を魅せるアニー・ハズラムの歌声に続いて、ジョン・キャンプ(この人の歌声も悪くない)のコーラスが重なる。
ギターを挟んでジョン・タウトの長いキーボードソロ。小気味の良いテレンス・サリヴァンのドラムとピアノの絡みが冴える。
気品溢れるヴォーカルを経て最後は客演としてWishbone AshのAndy Powellが哀愁のギターを奏でる。
静と動を兼ね備えたドラマティックな展開が感動を呼ぶ名曲だと思います。特に最後のギターはズルいですよね。
ジャケットはピンク・フロイドのアルバム「狂気」でのプリズムのジャケットで有名なヒプノシスの手によるもの。
私が所有しているCDではアニー・ハズラムが微笑で写っており、微笑みジャケットなどと呼ばれています。
(左からジョン・タウト、ジョン・キャンプ、アニー・ハズラム、テレンス・サリヴァン)